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介護・福祉
尊厳―あなたがいなければ、私はいない―

個数:
尊厳
―あなたがいなければ、私はいない―

[ 著 ] 佐藤 信人
[ 発行年 ] 2019年5月20日
[ 分類 ]  介護 老人看護
[ 仕様 ]  A5判・102頁
[ 定価 ] 本体 1,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-53-6
[ 主な内容 ]
●ケア職のスキルアップ必須!
●人間の尊厳とは何か、尊厳の保持とは何か。
●対人援助の原点を再確認する問答がここに!


はじめに

 この本を手に取り、お読みくださる皆様に心から感謝申し上げます。
 人の尊厳を保持するための対人援助の仕事をなさっている皆様と、この仕事のもつ価値と、その原点を確認しておきたいと考え、この問答を書きはじめました。
 介護保険法第1条の「目的」には「尊厳の保持」や「自立支援」が規定されていますが、これらはいずれも抽象的で具体性がない言葉です。このため、さまざまに解釈されやすいものと思います。現に今日では、ケアプランの標準化、さらにAIによるケアプランの自動作成化などが進行していますが、その際の尊厳や自立はどのように捉えられているのでしょうか。そのようなことに思いを巡らせると、そもそも私たちは、なぜ利用者を大切にしたいと思い、実際に大切にする方法を身につけたいと考えているのか、改めて問い直す必要を感じ、対人援助のいくつかの根源的な課題について、自らに問い、考え、答えてみました。
 対人援助の仕事は、おそらく「人が幸せになる」ことを支援するための仕事であり、そしてその基には「尊厳の保持」があると思います。このため、自問自答は「人の尊厳」について問うことからはじめることにしました。利用者を大切にし、幸せをともにするための支援の根本がそこにあると考えるからです。
 日本は、今後、未曾有の超高齢社会を乗り越えていかなければなりませんが、それは、大変な困難に満ちた茨の途だと思います。その際、日本が途を間違わないためのよすがは、すべての人々が人を大切にする、「人に対する優しい気持ち」なのではないかと思います。そして対人援助職は、弱い立場にある人を支援する実践知から、そのことを最もよく知っているのではないでしょうか。
 私なりに考えて出した問いと答え、その理念、理由や実践の考え方などを、なるべくシンプルに表してみることにしました。
 もちろん「尊厳」についてはさまざまな解釈があろうかと思います。果たして、この内容が愚問愚答であれば、喜んで読者の皆様のご批判を賜わり、頭を垂れてご指導を頂き考えを改めていきたいと考えております。
 出版にあたりご尽力頂いた株式会社ぱーそん書房に深く感謝申し上げます。
  令和元年5月吉日
佐藤 信人


目次


問1 「人の尊厳」とは何か。
答1 「人がもっている、人を幸せにする力(魂)と
      それを認める力(魂)」なのではないか。


 1.尊厳の定義
 2.尊厳と福祉そしてケア

問2 「自立した日常生活(を営むこと)」とは何か。
答2 「人の幸せを自分の幸せと感じることができる
         (尊厳)日々の暮らし」であり、
     「楽しみのある暮らし」なのではないか。


 1.自立した日常生活
 2.自立支援
 3.自立、自立支援の定義

問3 「尊厳を保持した自立支援」とは何か。
答3 「利用者を大切にするための方法」なのではないか。


 1.尊厳の保持を根拠にした、楽しみのある幸せな生活を
               実現するための支援過程
 2.対人援助の範囲
 3.尊厳の保持と対人援助そして
             地域包括ケア・地域共生社会
 4.介護保険制度、保険給付、ケアマネジメントの理念

問4 「利用者本位(主体)」とは何か。
答4 「利用者を決して裏切らないこと」、「生活を営み
      人生を歩む主人公は、あくまで利用者本人
           であること」なのではないか。


 1.理念の意義
 2.実践の視点

問5 「アセスメント・モニタリング」とは何か。
答5 利用者を大切にするために、「その人のことをよく
      知ること」、「悲しみと深さと希望の高さ
           を測ること」なのではないか。


 1.アセスメントの本質
 2.アセスメントの構造
 3.傾聴
 4.モニタリングにより精度が高まるアセスメント
 5.プライバシーへの関与
 6.家族支援
 7.アセスメント・モニタリングとサービス・サポート




問6 「ケアプラン・個別サービス計画」とは何か。
答6 「利用者・家族と対人援助者が、利用者の自立した
       日常生活の実現について相談し、合意した
       ことを書きとめる道具」なのではないか。


 1.ケアプラン
 2.ケアプラン原案の説明と同意
 3.ケアマネジメントの三重構造

問7 「サービス・サポートの実践」とは何か。
答7 「尊厳を保持した自立した日常生活を成り立たせる
        ための具体的な支援」なのではないか。



問8 「ケアマネジメントの質の向上」とは何か。
答8 「介護支援専門員のモチベーションを引き上げること」
                   なのではないか。


 1.自立支援と介護の特性と困難なジレンマの克服
 2.介護事業所の利潤追求(介護支援専門員の営業職化)
 3.請負的な業務体制
 4.脆弱な研修・教育体制
 5.摘発型の監査・指導

問9 「ケアマネジメントの全額公費負担」とは何か。
答9 「人の尊厳の保持と自立した日常生活の実現の支援を
  必要な人には、もれなく確保すること」なのではないか。



問10 「地域包括ケア・地域共生社会」とは何か。
答10 「あなたが幸せでなければ、私は幸せではない。
     という気持ちをもった地域住民によって支えられた
            地域を創ること」なのではないか。


 1.地域包括ケア・地域共生社会の思想
 2.地域包括ケア・地域共生社会実現の具体的な方策
だいじょうぶだよ―ぼくのおばあちゃん―

個数:
だいじょうぶだよ
―ぼくのおばあちゃん―

[ 作 ] 長谷川和夫
[ 絵 ] 池田げんえい
[ 発行年 ] 2018年10月15日
[ 分類 ] 介護・福祉 絵本
[ 仕様 ] A4変形判・24頁
[ 定価 ] 本体1,200円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-47-5
[ 主な内容 ]
●「パーソンセンタード ケアの理念をこどもたちにやさしく伝えたい」という作者の思いが詰まった絵本。


絵本に寄せて

 このお話は、私の家で何十年も前に実際に起きた出来事をモチーフにしています。
 認知症になると、約束したことを忘れてしまったり、道がわからなくなって迷子になったり、一緒に暮らしている家族の顔がわからなくなったりすることがあります。時にはイライラして怒ったり、泣いたりすることもあります。
 でも、そんなときこそ、家族や周りの皆さんは、その人の目を見て、微笑んで、寄り添って、ゆっくり話を聞いてあげてください。優しく手を握ってあげてください。きっと、安心して笑顔が戻ってきます。
 多くの人が長生きをするようになって、認知症の人も増えてくることが予測されます。家族の皆さんだけでなく、これからは地域の人たちと共に、認知症の人が安心して暮らせるよう、絆を大切にした社会を目指していきたいものです。
長谷川 和夫

大地震から認知症高齢者を守れ!!

個数:
大地震から認知症高齢者を守れ!!
―小規模介護事業所の実体験から―

[ 編著 ] 高橋恵子 中村考一
[ 発行年 ] 2018年6月1日
[ 分類 ] 介護・福祉
[ 仕様 ] B5判・111頁
[ 定価 ] 本体1,800円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-43-7
[ 主な内容 ]
●熊本地震の実体験から、すべての介護サービス事業者に向けたメッセージ。
●災害時に何ができて何ができないか、求められる支援とは何か。実体験から学ぶ医療従事者必携のテキスト。
●マニュアル作成や職場研修にも最適!!


「はじめに」にかえて 震災を体験して改めて思うこと

 3.11東日本大震災、4.16熊本地震、この両日、私は、一生忘れられない日になりました。東日本大震災では、岩手の友人の事業所が被災して、3月22日に熊本からワゴン車で必死に駆けつけた、いわば支援する側の立場でした。しかし、一面の海底の泥に埋まった果てしない瓦礫を見て、いったい、自分たちに何ができるのだろうと呆然と立ちすくんだことを覚えています。その後、何度か岩手に支援のため、物資などを持参しましたが、自分たちは九州からの強行軍で、人手不足に苦しむ事業所に1週間スタッフ1名を出すのがやっとでした。
 そして、熊本地震は起きました。
 東日本大震災の支援後、帰熊すると桜が満開で、あちこちで花見を楽しむ様子がみられ、違和感を抱きながらも日常は過ぎ去っていきました。あのとき、誰が熊本でも、このような巨大地震が起きることを予測できたでしょうか?
 いえ、実は予測はあったのです。2015年、地震研究者は、九州に潜む断層の危険性や地面の見えないうねりを報告していました。しかし、熊本の現地では、災害に対し、あまりに無関心だったのです。
 あのとき、もっとみんなが意識していたら、事はここまで大きくならなかったのではないでしょうか? 震災による死者の数は、もっと少なかったのではないでしょうか? 皆さんの地域では、備えはできているのでしょうか?
 不思議なことに、熊本地震は自分たちの事業所、自分たちの地域に起きた大変な出来事であり、激震と指定されるほどの災害であったのに、私たちの記憶は薄ぼんやりとしています。心理の先生方に聞くと、「PTSDではないか」と言われます。日常に適応するために、私たちの心が震災の記憶を忘れさせようとしています。また、震災から半年後、熊本で被災した多くの県民が、うつなどの病も発症しました。
 熊本地震の体験は、このままそっとしておけば静かに風化していきます。風化とは、被災していない他者が、その気持ちもわからず、気にもとめなくなることだと思っていましたが、そうではなかったのです。被災した自分たちの心が風化を促進していくのだと今、気がつきました。
 そこで改めて、あのときの災害の怖さや、災害支援の素晴らしさを思い起こし、熊本から発信する必要を感じました。私たちには災害時に支えてくれた仲間がいます。その方々にもボランティアで書籍化への協力を求めました。貴重な資料として、フェイスブックに記した内容をもとに記憶を繰り、認知症の人を支えるケア者・地域住民として、必死に暮らしてきた日常とその気づきを皆さんに投げかけたいと思いました。さらに、支援者の立場からの示唆やどこでも使えるマニュアルも考えました。災害は、明日、皆さんの職場で起きることかも知れません。実際、日本の地質や地域の災害の歴史を辿れば、それは、自分たちのこととして、きっとご理解頂けるだろうと思います。この本を、特に現場経験の少ない若手スタッフの皆さんにもご紹介ください。
 まず、災害への備え、どうか間に合いますようにと、心から願っています。
  平成30年5月吉日
高橋 恵子


おわりに

 熊本地震の支援にあたって、私は被災した人や現地で支援をする人のサポートとなるようインターネットなどを利用し、情報を発信しました。その際に「物資は何を、どのように持っていけばいいか」「物資を運ぶ人の心がまえとは何か」「コーディネーターは、被災した人や支援者をどのように受け止められるか」といった具体的な情報がほしかったのですが、すぐには入手できませんでした。本書がそういった災害時の高齢者施設等の支援のための知識を得る手段の1つとして役立てられれば幸いです。
 災害時の状況を自分のこととしてリアルにイメージしたことがあるかどうかは行動のスピードや質を左右します。ここまで読んで頂いた読者の皆様には、被災した人、支援した人の体験を肌で感じて頂けたと思います。高橋さんはじめ被災された方々にとっては、一度でも体験したくない、そして思い出したくない経験だったはずですが、それを風化しないよう形にできたことは意義深いことだと思います。
 読者の皆様にとって、災害時にどのように行動すればよいかを考え、備えるツールとして、ご活用頂けることを祈念します。そしてこれからも、郷里・熊本の復興を応援していきたいと思います。
 最後に、このような機会をくださったぱーそん書房の山本社長にも感謝申し上げます。
  平成30年5月吉日
中村 考一


目次


1 熊本地震とは?
2 熊本地震 災害の実態


 1.緊急段階
 2.応急段階
 3.復旧・復興
 4.予防段階

  インタビュー 若手スタッフ2人が経験した
              グループホーム震災当日
  回想 発災初日、私は台湾にいた!!
  ■災害時、認知症の人を支えるために必要な
             小規模事業所管理者の心得
  コラム 震災から1ヵ月、小規模多機能ホームの状況


3 事業所側の自然災害への備え


  コラム 厚生労働省現地対策本部から熊本の皆様へ


4 震災の支援とフェーズ






5 支援に向かう側からの視点


 1.DCATの活動
 2.日本ホスピス・在宅ケア研究会の活動

  ■緊急時DCATによる熊本支援結果報告
  インタビュー 災害支援活動に心を寄せて
  コラム 震災経験者として思うこと


6 小規模事業所への災害支援活動の心得
7 災害時のコミュニケーションツール―SNSは
              何をもたらしたか―
8 被災者と支援者をつなげるネットワーキング
                   の必要性
9 災害時のフェーズとケアの在り方―主に
       ストレスマネジメントの観点から―
10 復興支援ふれあい活動


 1.避難所カフェ「ふれあいホームほたる」
 2.小規模多機能ホーム「ほたる」の土壁復旧
その人を中心にした認知症ケア

個数:
みんなで学ぼう
その人を中心にした認知症ケア

[ 共著 ] 長谷川和夫 中村考一
[ 発行年 ] 2016年5月8日
[ 分類 ] 介護 老人看護 家庭医学
[ 仕様 ] A5判・104頁
[ 定価 ] 本体1,500円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-33-8
[ 主な内容 ]
●“その人を中心にしたケア”とはどういうケアなのか。
●現場で起こりがちな問題とそのケアについて、43の事例を挙げながら介護者の視点で学ぶ実践本。
●ケア職のスキルアップに役立ちます。


はじめに

 認知症ケアでは、認知症の人のその人らしさを大切にしたケアの「パーソンセンタード ケア」が重要であるという認識が一般的に普及しています。これは、Tom Kidwoodによって提唱された認知症ケアの考え方で、日本には、本書の著者であり、長谷川式認知症評価スケールを開発された長谷川和夫先生によって紹介されました。
 認知症の人のその人らしさを大切にするといってもなかなか難しいものです。人は一人ひとりからだも感じ方も違いますので、同じ出来事を経験しても、ある人は喜び、ある人は怒るかも知れません。「真面目ですね」と言われて喜ぶ人もいれば、それが皮肉に聞こえてしまう場合もあります。その人にはなれない、その人と同じように感じることはできない。でも、それでもその人らしさを大切にしながら、認知症の人にとって役に立つケアをしようとするときにはどうすればいいのか。難しい問題です。
 また、認知症の人はそれまでの人生の中で多くの物事を経験し、多様な考え方・感じ方・価値観をもっています。加えて、認知症によって生じる障害も人それぞれであり、さらに認知症は進行します。そのため、ある認知症の人に行ったケアが、別の認知症の人に有効であるとは限りません。例えば、近所のスーパーに買い物に行った際に同じものをいくつも買って帰って来る人が、「買わないものリスト」を持って行くと、それを買わずに帰って来られるようになる場合がありますが、この人には有効でも、別の認知症の人は「買わないものリスト」を見るのを忘れるかも知れません。また、認知症は進行しますので、同じ人でも、1週間後に同じように「買わないものリスト」を活用できるとは限りません。そのため、認知症の人をよく観察し、その人に合わせた個別ケアをすることが重要なのです。しかし、「認知症ケアは個別ケアだから認知症ケアについて一般論を勉強するのは意味がない」ということではありません。そのような臨機応変な個別ケアをできるようになるためには、いろいろな症状をきちんと理解したうえで、認知症の人の状態を見極められないといけませんし、標準的なケアの考え方を知っておくことで、個別ケアが考えやすくなります。先の例でいくと、「買わないものリストを見そびれてしまったのはなぜだろう」と考えれば、「レジのスタッフに買わないものリストを見るように声をかけてもらおう」といった発想が生まれるかも知れません。このように、基準となるケアの「引き出し」が1つあると、それをもとに応用が利くようになり「引き出し」を増やしていくことができます。新しい知識を得ながら、知識を応用する経験を何度も繰り返す中で徐々に専門職としての専門性が高まっていくのです。
 本書は、現場で起こりがちな認知症の人にとっての問題とそのケアについて、一般的な考え方を事例とともにまとめました。前述のとおり一般論ですので、認知症ケアに携わり始めた方は、まず、自分自身の介護技術を高めるための基準として本書を参考にしつつ、実践を始めてみてください。そして、紹介した視点や考え方だけでは十分解決できたと言いにくいと感じた場合には、自分自身の成長を喜びつつ実践を振り返り、本書にどのような知識・技術が追加できるかを考えてスキルアップの材料にして頂ければ著者として何より嬉しいことです。
  平成28年4月吉日
中村考一


目次


認知症のケア―その人を中心にしたケア


食事・排泄・入浴のケア

  1.食事を始めてもすぐに止まってしまいます
  ●認知症の中核症状とは
  2.三食しっかり食べているのに「食べていない」と言うので
   どう対応していいか困っています
  3.食事を準備して出かけたのに食べてくれませんでした
  ●BPSDとは
  ●BPSD発生のメカニズムとは
  4.「食べたくない」と言って食事をしなくなりました。
   どうしたらいいでしょうか
  5.食べられないものを口に入れるので困っています
  ●失認とは
  6.お風呂に誘っても断られてしまいます。
   どうしたら入ってもらえますか
  ●記憶の分類とは
  エッセイ 認知症ケアの心に向けて
  7.お風呂に入るときに、いつも不安そうで怖そうに
   しています。どうしてですか
  ●注意機能障害とは
  8.トイレ以外の場所で排泄することがあります。
   どうすればいいでしょうか
  ●見当識障害とは

歩行・移動のケア

  9.歩行機能が低下しているのに立ち上がろうとして危険
   です
  10.いつも歩き続けています。本人の自由にしてもらって
   いるという意味ではいいですか
  11.自宅にいるのに「家に帰りたい」と言います。
   どうすればいいでしょうか
  12.「家に帰りたい」といつも言われ、それに対応できずに
   困っています

介護拒否・繰り返しのある人へのケア

  13.1日中、机を叩いています。止めるように言っても止め
   ません
  14.トイレ以外に部屋から出なくて心配です
  15.1日中、大きな声で叫んでいます。周りの利用者もうん
   ざりしています
  16.頻繁にトイレ介助を求めるのですが、排泄がない場合
   もあって大変です
  17.「薬をください」と何度も繰り返します
  18.他人の服を自分の服だと言って困っています
  19.家族に何度も電話したがります。家族も困っています
  20.スタッフは嘘をついてもいいのでしょうか
  21.薬を勧めても飲んでくれません
  22.夜起きて、家中の照明を点けて回っています。どうして
   でしょうか
  23.介護を拒否し、叩いたりつねったりされます
  24.デイサービスへの送迎がスムーズにいきません。
   いい方法はないでしょうか
  25.「あなたが財布盗ったんでしょ」といつも責められて気が
   滅入ります




IADLのケア

  26.鍋を焦がすことが増えてきました。在宅生活が続けられ
   るか心配です
  ●実行機能障害とは
  27.洗濯物を干すのが難しくなってきました
  ●失行とは
  28.ゴミ出しがうまくできません
  29.高額の商品を購入しているようです
  30.知らない間に外に出て行って、警察に保護されてしまい
   ました

疾患を理解したうえでのケア

  31.レビー小体型認知症と診断されました。どのような点に
   注意が必要でしょうか
  32.前頭側頭型認知症の人が生活に馴染めず困っています
  33.コンビニから勝手に物を持ってきてしまいます

認知症の人同士の関係支援

  34.認知症の人同士の関係がこじれているようです。
   うまく対応する方法はないでしょうか

家族支援

  35.あることないこと噂をして困ります
  36.夫が妻に暴力を振るっています
  37.家族の面会が少ないように思います。もっと来てもらえ
   るように声をかけたいのですが
  38.家族から拘束してほしいと求められます
  39.入浴介助の際、数ヵ所にあざを見つけました。虐待かも
   知れません。どうすればいいでしょうか

連  携

  40.スタッフに認知症の人本位のケアをするように伝えます
   が、なかなか伝わりません
  41.スタッフが教えたことしかできません
  42.医師に相談に行ったところ、「診断に口出しするな」と厳
   しく指導されました。どうしてですか
  エッセイ “僕にはメロディーがない”
  43.スタッフ同士で目指しているものにズレがあるようです。
   カンファレンスもスムーズに進みません

認知症 知りたいこと百科

個数:
Q&A介護ガイド
認知症 知りたいこと百科
―毎日、悩んで、迷ったときに―

[ 共著 ] 須貝佑一・竹中星郎・頼富淳子
[ 発行年 ] 2016年3月1日
[ 分類 ] 介護 老人看護 家庭医学
[ 仕様 ] A5判・201頁
[ 定価 ] 本体1,800円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-32-1
[ 主な内容 ]
●診療場面や介護相談で経験した実例をもとに120余の設問に答える最新百科!!
●読者の理解を助けるまめ知識も豊富に掲載!!
●やさしく親しみやすい文章が魅力!!
●認知症の人の進行に合わせたガイドブック。介護家族はもちろん、ケア専門職にも役立つ座右の書!!


この本をお読みになる方へ

 認知症の人を介護している人たちからよく聞かれる声は「自分の人生がなくなるようで…」「共感してくれる人がいない」「どうしてよいかわからない」といった不安と当惑です。認知症は年を追うごとに進行します。「忘れる」「わからない」「できない」ことのほかに行動の異常や精神の変調が加わってきます。その認知症の人と一緒に生活をする介護者にとっては毎日がハラハラドキドキの連続かも知れません。認知症の当事者も介護する人もです。
 今、認知症460万人時代から2025年には730万人時代を迎えようとしています。認知症施策では「認知症になっても安心して暮らせる時代」を模索しています。では、どうしたら安心できるのか。私たちは考えました。ちょうど新米の母親が0歳児から13歳になるまでの子育て中にぶつかる不安と当惑を「育児の百科」を紐解いて乗り切っていく姿と重なるのではないかと。「育児の百科」には医療から子育ての知恵、経験がいっぱい詰まっています。0歳児から始まり年齢に応じてガイドします。それと同じように、認知症の人の進行に合わせてガイドできないか、という発想からこの本が生まれました。
 多くの介護者にとって認知症の人を抱えるのは初めての経験です。認知症かどうか診てほしい、という始まりの頃から1、2年もすると、何度も同じことを聞かれて介護者が疲れ果てる、夜起き出して介護者が起こされる等々、進行するにつれて毎日新しい問題に直面します。不安を抱えこの先どうすればいいのか迷うのは当然です。
 でも、安心してください。認知症の人が460万人いれば介護者も460万人はいるのです。既に介護を経験し終えた人を加えるとそれ以上になるでしょう。それぞれが皆さんと同じ困難に直面し、なんとか乗り切ってきています。その介護経験と知恵を集めてまとめたものがこの本です。よくある質問や疑問に答える形でわかりやすく解説してあります。認知症専門医が解説する医療の知識もたくさん入っています。認知症の人と向き合って困ったとき、迷ったとき、この本を開いて解決のヒントを見つけてください。きっと安心できるよい知恵が浮かぶでしょう。
 認知症の人と毎日を安心して暮らせるように。それがこの本を書いた私たちの願いです。
 平成28年3月吉日
著者代表 須貝佑一


目次


認知症の始まりの頃


◆医療と薬

  Q 1.認知症になりやすい人というのがありますか。
  Q 2.認知症の初期はどうしたらわかりますか。
  Q 3.認知症かも知れないと思ったらどこへかかれば
      いいでしょうか。
  Q 4.認知症だと思って医者へ連れて行ったら、頭の
      MRIは年齢相応で異常はないと言われました。
      どう考えたらいいのでしょうか。
  Q 5.認知症を発症前に診断することはできないの
      ですか。
  Q 6.「俺はどこも悪くない」と言って医者にかかろう
      としません。どうやって病院へ連れて行った
      らよいでしょう。
  Q 7.アルツハイマー病という診断を受けました。
      認知症とどう違うのですか。
  Q 8.自分も忘れっぽくなったのですが認知症になる
      のでしょうか。
  Q 9.認知症と食事の習慣は関係がありますか。
  Q 10.アルツハイマー病は遺伝しますか。
  Q 11.今は認知症の症状はありませんが、両親が
      認知症なので今から薬を飲んでおくことは
      予防になりますか。
  Q 12.「お腹が痛い、足が痺れる」と大騒ぎしますが、
      病院では何もないと言われて治療してくれま
      せん。家族はどう対応したらいいのでしょう
      か。
  Q 13.自分で薬を管理しているのですが、飲み忘れ
      たり、飲み過ぎたり、同じような薬をいろい
      ろな病院や薬局でもらって来てしまいます。
      心配になり、家族でみようとすると、興奮し
      て怒り出し、渡してくれません。
  Q 14.認知症の薬で症状が悪化することはあります
      か。
  Q 15.認知症に効くサプリメントはあるのでしょう
      か。
  Q 16.「軽度認知障害」と言われました。認知症とは
      違いますか。
  Q 17.アルツハイマー病と言われました。本人に知
      らせるべきでしょうか。
  Q 18.認知症を診てもらえるという「認知症疾患医療
      センター」とは、どういうところですか。

◆精神変調と言動

  Q 19.明るく活動的な人でしたが、近頃無気力になり
      趣味の習い事も理由をつけて休み、テレビや
      新聞も見なくなりました。
  Q 20.「もう死にたい」とよく口にしますが、大丈夫
      でしょうか。
  Q 21.「誰かに聞かれるといけないから」と、ひそひそ
      話をするようになりました。認知症でしょう
      か。
  Q 22.最近、多弁になり、いろんな人に作り話をして
      います。寂しいのでしょうか。
  Q 23.お金や通帳を冷蔵庫や畳の隙間など変なところ
      に隠すようになりました。
  Q 24.気前よく人にお金をあげたり高額な物を契約し
      てしまいます。どうすればいいでしょうか。
  Q 25.外では「穏やかで楽しいお年寄り」と言われてい
      ますが、家では性格が変わって気難しくて暴
      力的です。どちらが本当なのでしょうか。家
      族の対応に問題があるのでしょうか。
  Q 26.「財布や預金通帳がない」と言って大騒ぎした
      り、「嫁がセーターを盗った」と交番に届けた
      り、近所の人に言いふらすので困っています。
  Q 27.「毒が入っている」と言ってせっかく用意した食
      事に手をつけません。
  Q 28.「外に男がいる、浮気している」と言って責めま
      すが、私には身に覚えがありません。“色ボ
      ケ”でしょうか。どうすればいいのでしょうか。

◆日常生活

  Q 29.昔のことは覚えているのに、数分前のことを忘
      れてしまうのはなぜでしょうか。
  Q 30.認知症といわれていますが、まだ運転をしてい
      ます。運転は止めさせるべきでしょうか。
  Q 31.夫はまだ54歳なのに認知症になっています。仕
      事は続けさせたいのですが。
  Q 32.母は通信販売などで不要な買い物をしています。
      止められるよい方法はありますか。
  Q 33.お風呂を勧めると「昨日入ったからいい」と言っ
      て入りません。もう1ヵ月以上になります。
  Q 34.調理に時間がかかり、献立はいつも味噌汁とア
      ジの干物です。味つけも変ですが、本人は平
      気で食べています。
  Q 35.同じ物を着て着替えようとしません。どう勧め
      たらよいでしょうか。
  Q 36.危ないので台所の火は使わせないようにしまし
      たが。
  Q 37.パンや納豆など同じ物を買ってきてしまうので
      家に物が余ってしまいます。
  Q 38.大した用事もないのに昼夜かまわず電話をしま
      す。
  Q 39.冷蔵庫や食器棚に腐った物が置いてあります。
  Q 40.郵便物が紛失したり、かかってきた電話の用
      件が伝わらなくて困ります。
  Q 41.認知症で食べてはいけないものがありますか。
  Q 42.認知症の人でもお酒は飲んでもいいのですか。
  Q 43.糖尿病なのに食事制限が守れません。どうやっ
      たらいいでしょうか。

◆介護者の思い

  Q 44.約束したことでも「そんなこと知らない」と怒り
      ます。どう説明したらいいですか。
  Q 45.家事が難しくなっているので、ヘルパーさんを
      頼みましたが、「帰って」と言い、中へ入れま
      せん。
  Q 46.間違ったことをしているのを見るとつい声を荒
      げて叱ってしまいます。私は優しくないので
      しょうか。
  Q 47.一人暮らしの親とは離れているので、年に何度
      かしか帰れません。電話での声は元気です。
      呆けてほしくないと思っているのですが、ど
      のようにして見守りをしたらよいですか。
  Q 48.毎日、日記を書かせてその日の出来事を思い出
      させるようにするのは効果がありますか。
  Q 49.孫が遊びに来る日に「今日は孫が来るのか」と5
      分おきに聞いたり、デイサービスの日に朝か
      ら何度もそれを確認するので疲れてしまいま
      す。忘れが進んだのか心配です。どのように
      対応したらいいのでしょうか。
  Q 50.耳が遠くなったので補聴器を買ったのですが、
      本人は「うるさい、いらない」と言って使い
      ません。当人は「困らない」と言いますが、
      家族は話が通じないので困っています。
  Q 51.認知症の介護認定はどうしたらよいのでしょ
      うか。
  Q 52.1日のうちでも落ち着いているときと、調子の
      悪いときがあります。認定調査はどのような
      時間に設定すればよいですか。
  Q 53.認定調査のとき、本人は、実際よりよくみせ
      ようとして「なんでもできる」と言ったり、
      頑張って普段できないようなことをやって
      みせたりします。普段の様子が正しく伝わる
      かどうか心配です。
  Q 54.ケアマネジャー(介護支援専門員)の方には、
      日常で困っていることをなんでも相談して
      よいのですか。


認知症の進む頃


◆医療と薬

  Q 55.認知症の母がいます。アリセプトRという薬を
      飲んでいても症状が進んでいるようです。別
      な薬に替えてもらえるでしょうか。
  Q 56.認知症が進んで夜寝ません。睡眠薬は使って
      も大丈夫ですか。
  Q 57.認知症の人に急に病気が併発したらどうすれ
      ばよいでしょうか。
  Q 58.昼夜逆転、徘徊、暴言などがあり、医師から
      アリセプトRが処方されました。飲んでも症
      状が落ち着きません。どのくらい飲めば落ち
      着きますか。
  Q 59.「自分はどこも悪くないから」と薬を飲もうと
      しません。
  Q 60.肺炎や骨折などの急病のときに病院で診ても
      らえるか心配です。
  Q 61.認知症が進むと暴れたり、妄想をもつように
      なるといわれているので、これから先が心配
      です。
  Q 62.怒りっぽく精神症状がひどいので安定剤をも
      らっています。却って症状が進行するのが
      心配です。
  Q 63.認知症の薬の量がだんだん増えていきます。
      一度増やしたらもとに戻せないのですか。
  Q 64.認知症が進み在宅介護が難しくなりました。
      入院または入所できる施設サービスにはどの
      ようなものがありますか。
  Q 65.「認知症サポート医制度」があると聞きました
      がどんな制度ですか。

◆精神変調と言動

  Q 66.「お父さん遅いわね」と、もう亡くなった夫が
      いるようなことを言います。
  Q 67.夕方になると「お世話になりました。家に帰
      ります」と他人行儀に挨拶して、家を出てい
      こうとします。「ここが自分の家だ」と説明
      しても5分もしないうちに同じことを言って
      きます。どうしてでしょうか。
  Q 68.「家に帰る」とは生まれた家のことで、子ども
      時代に返ったのだから、その頃の思い出を
      話してもらうと落ち着くといわれますが、
      本人は「そんなこと忘れた」と話に乗ってき
      ません。そういうときにはどうすればいい
      のですか。
  Q 69.毎日同じことを言っても通用するのでしょう
      か。嘘をついてもいいのでしょうか。
  Q 70.昼夜が逆転して、夜は眠らずに起きていて、
      昼間は眠っています。昼間は起こしている
      方がいいのでしょうか。
  Q 71.会話をしていてニコニコしていると思って
      いると「何笑っているんだ」と突然怒り出し、
      びっくりすることがたびたびあります。
      何か原因があるのでしょうか。

◆日常生活

  Q 72.家でお風呂に入れようとすると抵抗して大騒
      ぎになります。
  Q 73.トイレを汚して困っています。自分で始末さ
      せた方がいいですか。
  Q 74.猫を飼っているのですが、世話ができずに部
      屋の中が猫の糞尿で大変不潔な状態です。猫
      を里子に出そうと相談しても納得してくれま
      せん。放っておいた方がいいのでしょうか。
  Q 75.数分おきにトイレに連れて行けと言います。
      連れて行っても排泄はないのです。
  Q 76.石鹸やトイレットペーパーを口に入れてしま
      うので危ないのですが。
  Q 77.隙をみては玄関から出て行こうとします。鍵
      をかけてはいけませんか。
  Q 78.留守の間、大きい字で張り紙をしておいたの
      ですが、用事が通じません。
  Q 79.認知症の人がたくさん食べているのに太らな
      いのはなぜですか。
  Q 80.食事をした後でもすぐに「ご飯まだ食べてない
      から」と要求します。
  Q 81.引っ越しや入院は認知症が進んでしまうので
      しない方がいいと聞きますが。
  Q 82.汚れた下着をしまい込んで、カビが生えてし
      まいます。
  Q 83.おむつ外しで不潔になるのでつなぎ服を使い
      ました。人からはつなぎ服はいけないと言わ
      れました。




◆介護者の思い

  Q 84.毎日1人で散歩していますが、道に迷わないか
      と心配です。行き倒れになったらとか、ほか
      の人たちに迷惑をかけるのではないかと気が
      かりですが、対策があるのでしょうか。
  Q 85.行方不明になったらまず、どうしたらいいで
      しょう。
  Q 86.プライドが高くて、デイケアのようなお年寄
      りの集まりには行こうとしません。
  Q 87.デイサービスに母と見学に行きましたが、「あ
      んなところに行きたくない」と行きたがりま
      せん。どうしたらよいでしょう。
  Q 88.認知症のお年寄りにはグループホームがいい
      と聞きましたが。
  Q 89.グループホームとはどのような施設なのでし
      ょうか。利用するにはどのようにすればいい
      ですか。
  Q 90.家族が入所施設を選ぶときに何か注意するこ
      とはありますか。
  Q 91.ショートステイを利用すると認知症が進むの
      でしょうか。
  Q 92.親戚の不幸を知らせても大丈夫でしょうか。
  Q 93.娘の私をお手伝いさんと思っているようです。
      何度言ってもすぐ忘れて悲しくなります。
  Q 94.「どうしたらいいの」といつも私(主たる介護者)
      の後をついて歩くのでやり切れません。
  Q 95.たまには旅行したいのではと思い、温泉に誘
      ったところ喜んで「行きたい」と言います。
      家族と一緒に旅行に連れて行きたいのですが
      、かまわないですか。
  Q 96.たまに来る娘や親戚の人には上機嫌でそつなく
      応対するので、日常の大変さがわかってもら
      えず「世話の仕方が悪い」と言われます。
  Q 97.病気だからと思っても聞き流せないことや排泄
      の失敗などが重なると、ついきつく叱ってし
      まい自己嫌悪に陥ります。
  Q 98.隣の家からお年寄りの大声で泣くのが聞こえま
      す。虐待でしょうか。どこに通報したらよい
      ですか。
  Q 99.認知症の姑を看ています。若い頃いろいろつら
      い思いをさせられたこともあって複雑な気持
      ちです。介護経験のある友人は「介護者の会」
      の入会を勧めますが、「知らない人には話した
      くない、知っている人には聞かれたくない」と
      いう気持ちがあり揺れています。
  Q 100.在宅で看るのが限界ですが、施設に預けると
      なると後ろめたさや寂しさを感じて決心がつ
      きません。
  Q 101.訪問介護では何人ものヘルパーが入れ代わり
      立ち代わり入ると聞きますが、混乱しないで
      しょうか。
  Q 102.母は認知症ですが、母の性格に合うような静
      かでこじんまりとした施設に入ってもらいた
      いと思います。家族が選ぶことはできますか。
  Q 103.施設の入居者とよく喧嘩をして迷惑をかけて
      いるようです。あまりひどいときには退所さ
      せられるのでしょうか。その後は別の施設を
      紹介してもらえますか。
  Q 104.ショートステイを利用したら疥癬に感染して
      しまいました。「治るまでデイサービスは休
      んでほしい」と言われて困っています。


認知症が重くなった時期


◆医療と薬

  Q 105.認知症が重くなったときの薬はありますか。
  Q 106.薬を飲ませるのが難しくなっています。
  Q 107.薬を飲ませるようになってから、口をもぐも
      ぐさせる、よだれが出る、舌が出る、午前中
      ボーッとしている、足がもつれるなどが目立
      つようになりました。とても気になるのです
      が。
  Q 108.常に足がピクピクひとりでに動きます。
  Q 109.たびたび痙攣が起きるようになりましたが、
      救急車を呼ぶべきでしょうか。

◆精神変調と言動

  Q 110.テレビに映っている人にお辞儀したり、アナ
      ウンサーの話に受け答えするようになりまし
      た。
  Q 111.毎朝、洗面所の鏡の前に行って、鏡に映る自
      分の姿に話しかけたり、挨拶するのはなぜで
      しょうか。
  Q 112.暴力行為がひどいので、どこでもショートス
      テイを断られてしまいます。
  Q 113.デイサービスを利用して認知症の夫を預けて
      います。施設の連絡帳にたびたび「職員に手
      を上げます」「廊下に放尿がありました」とい
      った様子が書かれて帰って来ます。施設の方
      々に申し訳ないので預けるのを止めようと思
      っていますが。
  Q 114.昼も夜も大声を出して何度も人を呼ぶので介
      護する方が疲れます。
  Q 115.夜中に急に起き出して「空襲だ、火事だ」とか
      「どろぼーがいる」と大声を出して興奮し、落
      ち着きなく動き回ります。
  Q 116.大便を手でこねたり、衣類や壁などに塗りた
      くるので困っています。対策はあるのでしょ
      うか。

◆日常生活

  Q 117.食べ物をよくむせるようになりました。
  Q 118.食べた物を口に入れたまま、いつまでたって
      も飲み込もうとしないので困っています。
  Q 119.口から食べ物を摂れなくなりました。これか
      らどうしたらよいでしょう。
  Q 120.最近、冷蔵庫にある肉や大根やネギなどの野
      菜を、なまのまま食べてしまいます。またバ
      ターを1ケース食べたり、お歳暮で届いたミカ
      ンを1箱食べてしまいました。身体に害はない
      のでしょうか。
  Q 121.穏やかな表情で眠っている時間が長くなりま
      した。そっと寝かせておく方がいいのでしょ
      うか。

◆介護者の思い

  Q 122.言葉も出なくなり、無表情で絶えず大声で叫
      ぶなど、ほとんどコミュニケーションがとれ
      ません。意思疎通を図る手立てはないもので
      しょうか。
  Q 123.もし、介護する人が急にいなくなってしまっ
      たらどうすればいいですか。
  Q 124.「成年後見制度」とはなんでしょうか。
  Q 125.後見、保佐、補助の意味を教えてください。
  Q 126.アルツハイマー病の「終末医療」はどのように
      行われるのでしょうか。


知っておきたいまめ知識


●認知症であるための3つの条件
●アルツハイマー型認知症とは
●アルツハイマー型認知症の原因
●アミロイドβはどこから生まれるのか?
●アルツハイマー型認知症の診断
●アルツハイマー型認知症の初期症状
●高齢者のうつ病
●血管性認知症とは
●血管性認知症の原因
●盗られ妄想
●血管性認知症の症状
●血管性認知症の診断
●血管性認知症の治療
●在宅生活を支える福祉サービスなどについて
●介護保険でヘルパーさんを頼むには
●その他の認知症:レビー小体型認知症
●その他の認知症:前頭側頭型認知症
●その他の認知症:クロイツフェルト・ヤコブ病
●健康を保つためには、介護者の目が重要です
●その他の認知症:慢性硬膜下血腫
●認知症を起こしやすい身体疾患
●認知症・精神症状を起こしやすい薬物
●補聴器―心が通う会話のために
●在宅支援機関・団体(1)
●在宅支援機関・団体(2)
●薬物療法
●嗜銀顆粒性認知症が意外に多い
●アルツハイマー型認知症の中期症状
●抗精神病薬の効用
●知っていてほしい身体の病気
●認知症の人とのコミュニケーション
●褥瘡(床ずれ)
●「GPS」で徘徊高齢者の現在位置を知る
●デイサービス、デイケアとは何か
●骨折、外傷―寝たきりの要因になりやすい
●薬についての注意点
●アルツハイマー型認知症の末期症状
●白内障―早期発見が決め手です
●鏡現象
●弄便はなぜ起こるか
●肺炎―認知症の人に多い
●肺炎球菌ワクチン
●なかなか水分を摂ってくれない
●口腔ケア―認知症の人のQOL向上のために
●言葉が失われてもコミュニケーションはできる
●精神鑑定
認知症ケア最前線

個数:
知っておきたい
認知症ケア最前線
―理解と実践―

[ 監修 ] 長谷川和夫
[ 編集 ] 本間 昭 永田久美子
[ 発行年] 2014年6月1日
[ 分類 ] 介護・福祉 精神科
[ 仕様 ] B5判 本文304頁
[ 定価 ] 本体2,700円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-13-0
[ 主な内容 ]
●日々、認知症の人と向き合っているケア専門職必携の実践テキスト。
●認知症ケアに携わる関係者が共通の理解をもつために必要な、ケアの理念、知識、スキルをすべて網羅。


監修のことば

 超高齢時代にある日本に生きる私たち誰もが認知症と無関係でいることはできない。このような状況にあって本書、“認知症ケア最前線―理解と実践”が刊行されることは誠に意義の深いものと考えられる。
 21名の執筆者はいずれも認知症ケアに日夜献身的な努力を継続しておられる方である。また本書の編集に携わった本間昭氏と永田久美子氏は同じ職場にあって研鑽を積み合った仲間であり、本書刊行のキーパーソンであった。
 目次のテーマをみると、まずパーソンセンタード ケアという認知症ケアの基本理念が詳述され、次いで認知症の人の地域ケア、認知機能障害をもつ人への介護の基本、自立支援とリスクマネジメント、若年性認知症のケア、災害時のケアと課題、虐待とその防止、認知症の終末期ケアなどが解き明かされている。
 ところで2013年12月11日、G8(主要8ヵ国)の閣僚級が話し合う世界で初めての「認知症サミット」が英国のロンドンで開催された。主催国のDavid Cameron首相は認知症への対策を国の重要課題として位置づけ、各国に連携協力を呼びかけた。サミットではG8の保健担当閣僚のほかに研究者、製薬企業の代表者らが参加、2025年までに治療法を確立することを目指し、研究費の大幅増や研究データの共有などが承認され大きな成果をあげた。国際アルツハイマー協会の推計によると、2010年の時点で世界のアルツハイマー型認知症は3,560万人でその費用は医療介護費や家族などによる無償のケアを含めると約6,040億ドル(約63兆円)とされている。殊に将来アジア地域では高齢化が急速に進み認知症の激増が予測される。多くの認知症対策の先行国として、日本に対する期待は大きいとされている。このような現況から考えても本書の刊行は誠に時宜を得たものであろう。
 認知症ケアは身近な課題として今後ますます重要視されてくるだけに、認知症の人のケアに携わるケア職をはじめ、多くの関連職種の方々に、本書を通して認知症について理解を深め、より深く学んで頂きたいと願っている。
 平成26年5月吉日
              長谷川 和夫


はじめに

 認知症ケア(ここでは介護のみではなく医療も含めた意味でケアを用いる)の目標がそれまでの生活を可能な限り維持できるように支援することであることに異論はないであろう。認知症の代表的な原因疾患であるアルツハイマー病(AD)を例にとれば、短期的には一時的にいくつかの機能が改善されることはあっても、数年という中長期的な経過をみればすべての機能が悪化方向に変化することは間違いがない。このような特徴をもつ疾患であるからこそ、認知機能障害によってもたらされる生活の不自由さをいかに支えるかということが目標となる。独居のADの例を考えればわかりやすい。高血圧症などの生活習慣病を合併していることが多いが、彼/彼女のそれまでの生活をできるだけ長く維持するためにはADとともに生活習慣病の治療が必要になる。認知症の重症度が軽度であったとしても、彼/彼女が1人で生活を続けるためには、服薬をきちんとできるかどうかが大きな課題になる。服薬がきちんとできているかどうかの確認は医療機関の診察室の中では難しい。服薬カレンダーなどの利用で済むこともあるが、その都度手渡しして服薬を確認することが必要になることもあり、他職種の手助けがなければ生活を支えられない。食事の確認や金銭の管理についても同様である。認知症の人の生活は多職種の足並みが揃わなければ支えることができない。
 このように認知症の人の生活を支援するためには認知症ケアの目標が関係者間で共有されることが前提になるが、そのためには認知症ケアに関連するさまざまな考え方や用語について共通の理解がなければできない。例えば、認知症の人にみられる行動・心理症状はBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれることが多いが、この用語は1996年と1999年に国際老年精神医学会が主催して行った会議で、従来さまざまな呼称が用いられていた症状や行動が“原因を問わず認知症の人に起きるさまざまな心理的な反応や精神症状、行動を示すために用いられる用語”と定義され、提唱されることから始まっている。しかし、従来のいわゆる問題行動と同義に用いられていることも少なくない。
 本書は、認知症ケアに携わる関係者が共通の理解をもつために認知症ケアの理念、知識、ケアスキルにとどまらず、認知症の人を支えるために必要な事柄が網羅されている。関係者それぞれの職場などで活用して頂ければ幸いである。
 平成26年5月吉日
              本間 昭


目次


1 パーソンセンタード ケアとは


1.認知症ケアの基本
2.パーソンセンタード ケア
3.認知症ケアの環境
4.認知症ケアの技法
5.スピリチュアル ケアについて

2 長寿社会と認知症―社会的な取り組み


1.長寿社会における認知症の現状
2.認知症施策の流れ
3.「今後の認知症施策の方向性について」
4.「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」
5.オレンジプランの現状について

3 認知症の人の地域ケア
    ―本人のよりよい暮らしを地域で支えていくために


1.すべてのケア関係者が、地域ケアに取り組もう
2.地域ケアに取り組むために
    ―基本の考え方と方針を共有しよう
3.地域ケアの実践

4 生活障害の理解と支援


1.生活障害としての症状

  1.アルツハイマー型認知症
  2.前頭側頭型認知症
  3.レビー小体型認知症
  4.血管性認知症

2.認知機能障害をもつ人への介護の基本

  1.易疲労性(疲れやすさ)
  2.失見当識
  3.記憶障害
  4.失語
  5.失行
  6.失認
  7.注意障害
  8.実行機能障害
  9.生活の質

3.行動・心理症状をもつ人への介護の基本

  1.妄想(物盗られ妄想、見捨てられ妄想など)をもつ人
  2.不安をもつ人
  3.抑うつ気分をもつ人
  4.混乱や戸惑いが目立つ人
  5.衝動性が目立つ人
  6.睡眠・覚醒リズム障害がある人
  7.幻覚(幻視・幻聴)をもつ人


5 自立支援とリスクマネジメント


1.転 倒

  1.認知症の人の転倒の特徴
  2.認知症の人の転倒の原因とアセスメント
  3.認知症の人の転倒に関するリスクマネジメント

2.食 事

  1.食事の自立支援
      ―認知症の人の食べる力を引き出す環境づくり
  2.食事に伴うリスクマネジメント

3.排 泄

  1.排泄のメカニズム
  2.排泄ケアの実際

4.入 浴

  1.認知症の人にとっての入浴とは
  2.認知症の人が、快適に、
      安心して入浴できるための環境づくり
  3.できるはずのことを奪わないための自立支援
      ―入浴動作のアセスメント
  4.組織としてのリスクマネジメント
  5.その他

5.入居者のトラブルについて

  1.認知症の人とそうでない人のトラブル
  2.認知症の人同士のトラブル





6 認知症の人のためのケアマネジメント


1.ケアマネジメントの基本
2.認知症の人のケアマネジメントの実際
3.センター方式の課題
4.チームアプローチとチームケア
5.ケアマネジメントに必要な技術

7 虐待について


1.養介護施設従事者等による高齢者虐待とその防止
2.養護者による高齢者虐待の現状と防止

8 成年後見制度について


1.権利擁護の必要性と成年後見制度
2.成年後見制度とは
3.成年後見制度の活用
4.成年後見制度の課題と展望―本人の最善の利益のために

9 若年性認知症とケアの課題


1.若年性認知症の実態
2.原因となる疾患
3.老年期認知症との違い
4.若年性認知症に対する支援
5.介護保険の利用状況
6.若年性認知症のデイケア

10 災害時のケアと課題


1.東日本大震災で起こったこと
2.災害の想定
3.災害時の施設におけるケア
4.避難所におけるケア
5.防災と減災に向けた備え

11 認知症の終末期ケア


1.認知症の人の終末期とは
2.認知症緩和ケア
3.死に向かうプロセス
4.終末期の生活支援
5.医療連携
6.終末期認知症ケアの実際

12 家族のケア


1.在宅介護者の心理的理解と支援方法
2.在宅介護継続に向けた観察と声かけ
3.介護離職と介護を苦にした自殺の防止
4.家族を支援する介護者交流会の企画と開催

13 認知症医療とケアの今後の課題


1.認知症の医療
2.認知症ケアの現状
3.認知症医療とケアの今後の課題

Q&A


1.薬物療法の対象となるBPSDとはどういう症状でしょうか。
2.散歩やデイサービスに誘っても、いろいろと理由をつけて
  動こうとしません。
3.夜中に大声を出すので家族は眠れません。大きなストレスに
  なっています。
4.認知症が疑われる介護保険の利用者ですが、家族は医療機関
  を受診しようとしません。
5.なんでも物を集めてくるので部屋が溢れて困っています。
6.「どこも悪くない」と言って診療や治療を嫌がります。
7.食事が配膳されると、ご飯やおかずをごちゃまぜにして食べ
  ようとしません。
8.同じことを何回も聞かれたりするとついきつい口調になって
  しまいます。どうすれば穏やかに対応できるでしょうか。
認知症ケアの作法 よりよいケアを目指して

個数:
認知症ケアの作法
よりよいケアを目指して

[ 著 ] 長谷川和夫
[ 発行年 ] 2013年6月1日
[ 分類 ] 介護・福祉
[ 仕様 ] A5判 本文96頁
[ 定価 ] 本体 1,200円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-08-6
[ 主な内容 ]
●認知症の介護を専門職とした方のための書籍です。
●認知症の人はどういう気持ちでいるのか、どんなケアを求めているのか、わかりやすく解説されています。
●パーソンセンタード ケアを理念とした認知症の人とのかかわり方について説いています。


序にかえて

 本書は、認知症の人を介護専門職として支えている方々を対象にしたものです。超高齢社会の現在、今や認知症は決して他人事ではありません。私たち一人ひとりの課題です。
 介護保険が施行されて以来、認知症ケアは施策のうえでも研究・研修の面でも、そして市民の認識のうえでも著しく進化してきたと思います。殊に地域包括ケアの考え方が成熟しつつある現在、ケア専門職への期待は大きいと考えられます。
 私たちは、認知症の人が発症されてからその看取りの時期までの長い体験の旅を関係者と連携を保ちながら支えてゆくことになります。そのときの認知症ケアの作法をお互いに学んでいきたいとの思いで本書を上梓しました。
 “ケアする人の思いと行動によって、ケアされる人の人生は変わる”という言葉をどこかで読みました。重い意味があります。
 私は精神科医として過去約50年にわたり診療の現場にいます。最近、かかりつけ医の先生方にもその人らしさを大切にする考え方、パーソンセンタード ケア(Tom Kitwood, 1997)の理念を診療の面にも活かして頂くことを念願して、ささやかな活動をしています。
 高齢化が進む世界の人々は、日本がこの面でトップランナーとして走っていることに注目しています。殊にアジアの国々は速いスピードで人口の高齢化が進んでいます。このような状況で認知症の人と家族を専門職として支える私たちの責務は大きいと思います。
 神様からの希望をもって、お互いの絆を大切にする日々を過ごしていきましょう。本書がその役目を果たしてくれることを確信しています。
 平成25年5月吉日
 長谷川 和夫
             

目次


【1】 物語の始まり


  1.アルツハイマー病の始まり
  2.認知症の物語『恍惚の人』
  3.認知症を取り巻く近年の現状

【2】 認知症の医学的知識


  1.認知症の判断はどのように行われるのか
  2.長谷川式認知症スケールの使い方について

【3】 認知症の原因疾患


  1.アルツハイマー型認知症
  2.血管性認知症
  3.レビー小体型認知症
  4.前頭側頭型認知症
  5.その他
  6.軽度認知障害
  7.認知症と似ているが認知症でない病気

【4】 認知症の心理学的特徴


  1.認知症の人がもつ心理学的問題
    コラム 「Doing」でも「Going」でもない「Being」がある
  2.認知症の人にみられる行動 BPSD

【5】 認知症ケアの理念


  1.パーソンセンタード ケアとは
  2.認知症の人の内的体験とは






【6】 認知症ケアの実際 パーソンセンタード ケア


  1.認知症の人へのかかわりの基本
  2.質の高いケアとは
  3.認知症の人が求めるケアとは
  4.やってはいけないこと
    コラム 零の音
  5.老いることとは
    コラム 絶対者 神との出遭い
  6.介護のストレスを避けるためには

【7】 認知症ケアの作法


  1.服装、態度あるいは言葉遣いに配慮すること
  2.その人に寄り添ったケアを
  3.連携について
  4.家族への対応を工夫する
  5.感性をもつこと それを保持する努力
  6.認知症の人の暮らしを第一に考えていくこと
  7.明るい対応 笑いをもっていくこと

【8】 グリーフ ケア



【9】 地域におけるサポート体制と連携


  1.町づくりについて
  2.これからの認知症ケア

【10】 災害時における認知症ケア


  避難所でがんばっている認知症の人・家族等への支援ガイド


認知症の介護

個数:
認知症の介護
共に暮らす家族のために

[ 著 ]  長谷川和夫
[ 発行年 ] 2013年5月10日
[ 分類 ]  介護・福祉
[ 仕様 ]  B6判変形・138頁
[ 定価 ] 本体 1,200円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-04-8
[ 主な内容 ]
●「認知症とは何か」についてまず医学的な基本知識をわかりやすく解説しています。
●認知症の人はどんな気持ちでいるのかを知って、本人の視点に立った支え方、パーソンセンタード ケアについて紹介しています。
●介護者の思いが述べられて、介護によるストレスを招かないための工夫が記述されています。
●介護サービスの利用の仕方や自分が認知症にならないための予防などが続きます。


まえがき

 認知症の御本人に最も真剣に、そして真心をもって向き合っているのは、その人と一緒に暮らしている家族の方です。“これまではすべてのことを相談して頼りにしてきたのに、日常生活の中でこの私に頼っている状態になってしまった”、“これではまさに立場の逆転で到底私には受け入れられない”“もの忘れがひどくなって、何回も同じことを聞いてくるし、こちらの言うことも理解していない様子で会話が成り立たないことが多くなってしまった。どうしてこんな状態になってしまったのだろうか”“脳はいったいどうなっているのだろう。どうして治らないのだろうか”“日を重ねるにつれて、次第にひどくなっていくようだ”“たまにやってくる身内の人は、これくらいなら歳をとったら誰にでもあるよ、とか、少し大げさに考え過ぎているんではないのかと、むしろ非難がましく私に注意して帰ってしまう。私1人で苦しまなくてはならない。どうしたらいいのだろうか”というようなことを日夜考えあぐみ困惑しています。
 本書は、このような体験をされている家族の方に読んで頂くことを念願して編集されています。
 ところで日本は長寿の国です。高齢になればどんな人でも認知症になる可能性があります。決して他人事ではありません。まず認知症についてよく知ることです。知識は力です。
 本書は認知症とは何か、についてまず医学的な基本知識をわかりやすく解説しています。続いて認知症の人はどんな気持ちでいるのかを知って、本人の視点に立った支え方、パーソンセンタード ケアについて紹介しています。次に介護者の思いが述べられて、介護によるストレスを招かないための工夫が記述されています。そして介護サービスの利用の仕方や自分が認知症にならないための予防などが続きます。
 私は1953年以来、東京慈恵会医科大学に勤務、精神科医として臨床の現場に立ちました。若いときには4年間アメリカに留学しました。認知症の医療にかかわったのは1968年でした。そのとき、老年精神医学の権威でいらした新福尚武先生との出会いがあり、多くのことを教えて頂きました。1973年(当時44歳)、新設された聖マリアンナ医科大学の教授に就任、翌年の1974年に長谷川式認知症スケールを開発しました。1989年から多くの専門医の御協力のもとにエーザイ研究所の開発したドネペジル(商品名 アリセプト)の臨床治験統括医となり、1999年、本邦最初の認知症薬を用いることに成功しました。また「認知症の人と家族の会」の顧問として高見国生代表らに協力して、家族の皆様から学んでいます。2000年に社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・研修東京センターにセンター長として赴任してからは、主に認知症介護指導者の育成にかかわり、多くの専門職との交流をしています。本書は、このように多くの人との絆の中で授けられた経験をもとにして得られた情報です。是非、多くの方に読んで頂きたいと願っています。
 平成25年5月吉日
              長谷川 和夫
             

目次

  まえがき

1 認知症とはどんな病気か

  ・認知症は身近な病気です
  ・家族が認知症かと疑い始めるのはどんな時か
  ・家族に押し寄せる不安
  ・認知症とはどんな病気か
  ・健康な人のもの忘れとの違いは
  ・家族が認知症かどうかを見極める3つのポイント

2 診断はどのようにされるのか

  ・本人には嘘をつかないで病院へ連れて行きましょう
  ・医師による正しい診断
  ・長谷川式認知症スケールとは
  ・認知症の重症度評価とは
  ・告知について

3 認知症の原因疾患

  ・アルツハイマー型認知症
  ・血管性認知症
  ・レビー小体型認知症
  ・前頭側頭型認知症
  ・軽度認知障害
  ・その他
  ・若年性認知症について
  ・認知症と間違いやすい状態

4 認知症の人と暮らすということ

  ・認知症の人に起こるさまざまな症状とその対応

5 認知症の人はどういう気持ちでいるのか

  ・認知症の人の思い
  ・「パーソンセンタード ケア」を目指しましょう
  ●コラム「ケアする心」
  ・自分の視点で介護をしないこと
  ・認知症の人との接し方
  ・健康管理に目を配りましょう






6 介護者の思い

  ・介護する側とされる側との関係性による負担の違い
  ・虐待について
  ・介護ストレスを招かないための工夫
  ●コラム「笑ってください」

7 介護サービスを利用しましょう

  ・介護サービスを利用する方法
  ・居宅サービスと施設サービス
  ・施設に入居することになったなら
  ・終末期を迎えたら

8 自分が認知症にならないための予防

  ・認知症の予防について
  ・認知症の予防対策
  ・認知症予防のまとめ ― 認知的予備力を貯える

9 認知症になっても安心して暮らせる町づくりを

  ・「認知症の人と家族の会」について
  ・「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン
  ・成年後見制度について

10 あとがき

  ・老いについて思うこと

認知症ケアの新しい風

個数:
認知症ケアの新しい風
支え合う温もりの絆を創る

[ 著 ] 長谷川和夫
[ 発行年 ] 2014年8月8日
[ 分類 ] 介護・福祉
[ 仕様 ] A5判 本文152頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-16-1
[ 主な内容 ]
●「長谷川式認知症スケール」で世界的に知られる筆者が“なぜ、認知症ケアは難しいといわれるか”の問いに答える。
●認知症ケアの今、そしてこれからを思うすべての方に「認知症ケアへの新しい風」を送る。


はじめに

 顧みると2001年、21世紀初頭においてエーザイ株式会社は、認知症ケアなどに関わる多岐にわたる専門職を対象に、小冊子「痴呆ケアサポート」(現、「Dementia Support」)を刊行しました。その最初のページに筆者が「認知症ケアへの新しい風」を執筆しました。これを33編まで連載したものをテーマごとに5つの章にまとめ、上梓したのが本書です。
 私が認知症の医療に関わるようになったのは、1966年に故新福尚武先生が鳥取大学から私の所属していた東京慈恵会医科大学精神神経科教室へ主任教授として赴任されたときからでした。運命的な出遭いだと思っています。すでに、新福先生は日本の老年精神医学者としてご高名な方でした。たまたま1968年に、東京都内の老人ホームなどの利用者について精神保健調査をすることになりました。そのとき新福先生が、痴呆(当時の呼称)診断の際に起こるブレを防ぐために診断尺度をつくることを提案されました。これが「長谷川式簡易知能評価スケール」(HDS)の開発につながったのです。精神科医が痴呆の診察をするときに用いる設問から11項目を選んで、「老人の痴呆審査スケールの一検討」と題して1973年に専門誌に発表しました。同年、私は聖マリアンナ医科大学に教授として赴任し、その前年(1972年)に有吉佐和子の有名な小説『恍惚の人』が出版されました。
 HDSは質問項目の難易度に対応して、各項目の配点に重み付けをしたのが特長でした。本スケールの得点の標準化をギルフォード法に準じて行った結果、満点は32.5点で、10点以下を痴呆と評価しました。痴呆の診断にあたって数量化した試みは、一般臨床医にも扉を開いたことになり、広く用いられる結果になりました。
 1991年、施設利用者を対象としたHDSを一般利用者にも使用可能にするために改訂したものが、「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール」(HDS-R)です(通称「長谷川式認知症スケール」)。遅延再生や言葉の流暢性を評価する設問を新しく加え、全設問数をHDSの11問から9問に減らしました。本スケールの信頼性と妥当性が検証され、カットオフポイントを20/21に設定した場合(HDS-R得点で20点以下を認知症、21点以上を非認知症とした場合)に弁別力が最も高く、感受性が0.90、特異性は0.82でした。総得点は30点で、20点以下が認知症の疑いと判定されます。ただし、本スケールは簡易スクリーニング検査であって、これのみによって認知症の診断を下すことはできません。
 聖マリアンナ医科大学在籍当初は、認知症はまだ未解の脳疾患でした。現在は使用されている臨床症状の進行を抑止するドネペジル(アリセプト)も医療現場にはまだなく、また介護保険制度もありませんでした。臨床医は認知症の診断はできても何の治療薬もなく、患者さんに対して申し訳ないという苦しみと無力感を体験しました。
 不思議なめぐり合わせだと思いますが、私はしばしば組織の創設に立ち合うチャンスに遭遇しています。まず、1972年に東京都老人総合研究所が設置されたとき、短期間ではありましたが参事研究員、心理精神医学部長として関わり、多くの俊秀の研究者と出遭い、創業のエネルギーを吸収しました。次いで1973年4月に聖マリアンナ医科大学神経精神科講座が創設され、付属病院の診療科と研究室新設の際には設計から始めました。その後21年間にわたり教授を務め、学長、副理事長、理事長と計32年間、大学生活を送りました。
 そして2000年4月、介護保険制度施行と期を同じくして、社会福祉法人浴風会 高齢者痴呆介護研究・研修東京センター(現 認知症介護研究・研修東京センター)にセンター長として赴任しました。それからは、姉妹センターである仙台センターおよび大府センターとともに日本の認知症ケアの索引役として実地に役立つ認知症ケアの研究・研修、ならびに啓発活動に努めることになり、現在に至っています。
 ところで2013年12月11日、「G8認知症サミット」が英国のロンドンで開催され、世界の主要8ヵ国の保健施策担当者、研究者、製薬企業の代表者たちが集まりました。主催国のデーヴィット・キャメロン(David Cameron)首相は、認知症を国の重要課題として位置付け、各国に連携協力を呼び掛けました。2025年までに治療法を確立することを目標にして、研究費の大幅増や研究データの共有などが承認されました。
 国際アルツハイマー協会の推計によると、2010年の時点で世界にアルツハイマー型認知症は3,560万人に達し、その医療および介護費は家族等による無償のケアを含めると約6,040億ドル(約63兆円)とされています。ことに将来、アジア地域では高齢化が急速に進み、認知症の激増が予測されます。認知症対策の先行国として、日本に対する期待は大きいのです。
 原因疾患の70%とされるアルツハイマー型認知症を例に挙げても、30年前までは未知の脳疾患であり、病態や経過などは明らかではなく、診断、治療、ケアの方法などは確立していませんでした。しかし、この30年で大きな進歩を遂げました。医療と福祉の連携、地域ケア、そして認知症になっても大丈夫な町づくりへと進んでいます。
 これからの時代、広く認知症に関わる多様な職種の方々が、認知症本人を支える技術とパーソンセンタードケアの心をもち、お互いに励まし合って活躍されることを祈ります。
 なお、本書の上梓にあたり、メディア・ケアプラスの松嶋薫氏に感謝いたします。

    2014年7月 初夏の空が広がる認知症介護研究・研修東京センターにて
              長谷川 和夫


目次


はじめに

第1章 ケアについての私の考え方


1.介護のストレスを避けるには
2.妄想への対応
3.出遭いと感性
4.認知症の人が求めるケア
5.老いることの意味
6.認知症ケアの基本にある想い
7.“ケアする心”
8.ある一日の出遭い
9.認知症ケアの専門性
10.新しい絆を創りましょう
11.認知症ケアの作法(1)
12.認知症ケアの作法(2)

第2章 私とパーソンセンタードケア


1.新しい認知症ケアの流れ ─ 何が新しいのか
2.物語を大切にしたケア
3.帰って来てくれ、僕の心よ
─ 認知症の人の喪失体験を理解する
4.認知症ケアの基本課題
5.高齢期をかけがえのない尊い存在に
6.認知症ケアと出遭い体験
7.新しい絆を尊重するケアへ
8.認知症の基本課題 ─ 今とこれから

第3章 認知症の人が医師に求めること
― 認知症と医療


1.認知症ケアのポイント
2.長谷川式スケールをめぐって
3.認知症の方との出遭いをめぐって
4.認知症をめぐる想い
5.認知症診療をめぐる想い
6.認知症治療薬の開発




第4章 認知症施策と私の考え


1.2005年、春 「痴呆」から「認知症」に改称
─ どこが新しいのか
2.認知症の人とともに暮らす町づくり
3.「『認知症でもだいじょうぶ』町づくりキャンペーン」の発展
4.認知症対応の地域診断とマップ作り
5.認知症ケアで大切なこと ─ 今再び考えよう
6.オレンジプランが示すこれからの認知症ケア
7.認知症の地域ケア ─ 今とこれから

第5章 私が認知症に出会うまで


1.精神科医を目指す
2.アメリカ留学により国際性を身につける
3.新福先生との出逢い
4.長谷川式簡易知能検査スケールの誕生
5.認知症ケアの拠点として
 認知症介護研究・研修センター創設
6.新しい風を吹き込むために

chronicle ─あとがきに代えて


平成21年度日本認知症ケア学会・読売認知症ケア賞を受賞
年譜 認知症医療・ケアと私の歩み
2019年11月 新刊追加
      正誤表追加