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産婦人科
病院前 周産期救急実践テキスト

個数:
病院前 周産期救急実践テキスト

[ 著 ] 高橋文成
[ 発行年 ] 2015年12月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学 産婦人科
[ 仕様 ] A4判・81頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-29-1
[ 主な内容 ]
●母体搬送に必要なエキスが満載!!
●病院前周産期救急の基本を簡潔にまとめた解説書。
●さまざまな場面を想定した10個のケースを提示。
●母体急変対応の基礎が学べる必携書!!。


発行にあたって

 救急救命士、救急隊員の皆さんは、日々大変な思いをしながら現場活動をされていることと思います。
 交通事故による多発性外傷に対応したり、火災現場での救急救命活動であったり、災害現場での救助活動であったり。
 どのような場所であっても、どのような人であっても、また、どのような年齢層であっても適切な判断と対応が要求される大変な仕事だと思います。
 傷病者の搬送を速やかに適切にするためには、重症度と緊急度の判断を適切に行い、適切な処置を行うことが要求されています。心肺機能停止、意識障害、呼吸困難、腹痛、外傷、熱傷、溺水など、ケースにより要求される内容は異なると思います。
 さまざまなケースの傷病者の搬送がある中、周産期救急は病院前救急での対応がわかりづらい領域かと思います。
 何よりも母体と新生児(胎児)2人の傷病者の対応を1回の活動で行わなければならないということが特殊だと思います。
 今回紹介した京都産婦人科救急診療研究会の「京都プロトコール」の中では、「急変の感知」の中で救急救命士に関する記載があります。このプロトコールの中で記載されているということは素晴らしいことだと思います。
 本書では、まず初めに女性に関する話を書いています。直接救急救命には関係のない内容かも知れませんが、知っておくとよいことを中心にまとめました。
 その後、周産期救急救命総論の中で京都プロトコールを紹介しています。この内容は目の前で急変しつつある母体を、高度医療機関に搬送するまでの間に、その場にいるメンバーが行うべき救命処置に関するアルゴリズムです。この中で周産期救急救命の基本を理解できると思います。
 また基本的に理解しておいてもらいたい疾患(病態)をケーススタディとして10ケース挙げています。ここで具体的な内容を各論として理解してもらえると思います。
 周産期領域の救急現場学を習得するには、教科書の勉強も大事ですが、可能であれば分娩に関する研修実習や、新生児蘇生法に関する講習会などに積極的に参加することをお勧めします。
 ただ、救急救命士を対象にした実習や講習会が少ないことも事実です。定期的に、実習や講習会を受講できるような社会的な環境整備を行うことも重要なことだと考えます。
 この本が皆さんにとって、どのくらい役に立つのかはわかりませんが、周産期救急救命の総論や各ケーススタディをしっかりと読んで頂ければ、妊産婦の傷病者搬送にあたっても、少しはドキドキを緩和できると信じています。
 最後に「京都プロトコール」の引用に関してご快諾を賜わった、京都府産婦人科医会理事・京都産婦人科救急診療研究会幹事・ハシイ産婦人科院長の橋井康二先生に改めて深謝致します。
 平成27年11月吉日
高橋 文成


目次


Ⅰ・総 論


1.はじめに
2.女性のからだ
3.月経とは

  1.「搬送時に聞いておきたい内容(問診)」について

4.妊娠

  1.妊娠による母体の変化、胎児の発育
  2.妊娠に関連する疾患について
  3.未受診妊婦について

5.高齢妊娠について

  1.合併症妊娠について

6.分娩に関して
7.母体搬送に関して

Ⅱ・周産期救急


1.搬送時の母体急変のサインとは
2.バイタルサインのおさらい
3.妊婦の急変対応(病院内では)
4.急変対応の心肺蘇生
5.死戦期帝王切開

Ⅲ・ケーススタディ


1.妊娠初期に出血をきたしたケース

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  病院到着時
  院内で行われた処置
  ●解説 流産

2.切迫早産治療中患者が子宮収縮抑制不能となったケース

  傷病者情報
  現場(病院)到着時
  救急車内
  高度医療機関到着時  
  高度医療機関で行われた処置
  ●解説 切迫早産

3.正常分娩後に出血が増加し、全身状態悪化のため母体搬送と
  なったケース

  ●解説 弛緩出血
  このケースでの搬送に際して行うべきこと
  搬送中の急変サイン(例外もあるため参考値)
  弛緩出血について
  産婦人科領域の救急救命処置の範囲について
  子宮輪状マッサージ

4.胎盤娩出直後に腹部激痛および大量出血を引き起こしたケース

  ●解説 子宮内反症
  救急車に乗った後にモニタリングする項目
  このケースで搬送に際して行うべきこと
  搬送中の急変サイン
  子宮内反症について




5.未受診妊婦が自宅で性器出血をきたし搬送となったケース

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  高度医療機関到着時  
  高度医療機関で行われた処置とその後
  ●解説 前置胎盤
  未受診妊婦について

6.常位胎盤早期剥離のケース

  陣痛室
  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  高度医療機関到着時
  高度医療機関で行われた処置
  ●解説 常位胎盤早期剥離

7.けいれんと意識障害を起こした妊婦

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内での母体管理のポイント
  ●解説 妊娠高血圧症候群・子癇
  妊娠中の頭痛、けいれん、意識障害を起こすもの

8.破水妊婦が分娩進行とともに呼吸苦を訴えたケース

  「入院後個室」午後12時30分
  「陣痛室」午後12時50分
  午後12時55分
  傷病者情報
  13時00分
  現場到着時
  救急車内で行われた処置
  ●解説 羊水塞栓症

9.精神疾患合併妊娠について

  症例
  ●解説 精神疾患合併妊娠

10.車内分娩のケース

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  今回のケースの児の状態
  産婦人科領域で可能な処置
  一連の流れ
  胎盤の処置  
  新生児の蘇生(口腔内吸引、酸素投与、保温)
  アプガースコア
  ●参考 酸素投与
  ●まとめ

最新 女性心身医学

個数:
最新 女性心身医学

[ 監修 ] 本庄 英雄
[ 編集 ] 日本女性心身医学会
[ 発行年 ] 2015年8月1日
[ 分類 ] 心身医学 産婦人科
[ 仕様 ] B5判・356頁
[ 定価 ] 本体5,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-24-6
[ 主な内容 ]
●時代の変遷の中で新たにクローズアップされてきた諸問題や最新の研究成果を取り入れた、初学者にも理解しやすい実践的な指南書。
●産婦人科領域のみならず、心身医学・精神医学・心理学・教育学など、女性とかかわる研究者や臨床家にとって真に役立つ座右の書である。


序文

 わが国で産婦人科心身症研究会が発足して40年あまり、日本女性心身医学会として新たなスタートを切ってから間もなく20年、という大きな節目の時期に、本学会の発展を象徴するかのような、この最新テキストブックの発刊が実現したことは、われわれにとって望外の喜びである。21世紀は心の時代といわれ、また、性差医学の重要性が取り沙汰されて久しいが、それらをはるかに遡る半世紀以上前から、女性の心と身体の相関をめぐる諸問題を解明しようとする試みは、熱心な研究者・臨床家先輩諸氏によって地道に脈々と受け継がれ、現在に至っている。しかし、それが1つの体系的かつ重要な領域として注目されるようになり、多彩な分野の専門家同士が積極的な交流をもつようになったのは、近年になってからであり、本学会の歩みは、まさにその足跡とともにあるといえる。
 本学会は、かつて、国際女性心身医学会の主催を控えた2006年に、『TEXT BOOK女性心身医学』を出版した実績があり、それまでにない視点から女性特有の心身医学的諸問題を網羅的に解説した成書として、現在もさまざまな分野で活用されているものと思う。今回の『最新 女性心身医学』は、その後の目まぐるしい時代の変遷の中で新たにクローズアップされてきた諸問題や最新の研究成果も取り入れ、より体系的な、それでいて初学者や身体診療科の医療者にも理解しやすい、手元で実践的に使用できるコンパクトな指南書を、というコンセプトのもとに、まったく新たに編纂されたものである。これはまさに、近年、本学会が700余名の会員を擁し、産婦人科周辺領域のみならず心身医学・精神医学・心理学・看護学・助産学・教育学等々の多岐にわたる分野の専門家が一堂に会する組織へと成長したことによって、達成できた成果といえる。本書の執筆者は、学会の主要メンバーを中心に、今まさに日本の女性心身医学領域を、各方面から牽引している実力者ばかりであり、非常に密度の濃い内容となっているうえ、この領域が少しでも広く認知され活用されていくことを願う各執筆者の熱い思いが、ひしひしと伝わってくる書籍となった。
 第Ⅰ章の総論では、女性心身医学の歴史を概説するとともに、心身医学的あるいは精神医学的な診断・検査・治療法の基礎を、専門外の初学者にもわかりやすい非常に具体的な記述で解説している。第Ⅱ章の各論では、思春期・性成熟期・更年期・老年期という女性の複雑なライフステージと、内分泌学的変化・月経・妊娠出産・閉経・加齢・身体疾患・社会とのかかわりといった具体的諸事象とが交錯して生じる女性特有の心理社会的問題を、さまざまな角度から詳説している。この領域が包含する課題は、非常に複雑かつ多岐にわたるため、いまだ研究途上の部分も多い。よって、各項目間でやや内容の重複している部分も見受けられるが、むしろそれは、現時点での各研究者の独自の視点からの多様な見解として記述されているものであり、読者諸氏が、今後の研究・実践の中でさらに発展・統合していってくださることを切に望むものである。
 われわれは、本書が、女性とかかわるさまざまな研究者・臨床家にとって真に役立つ座右の書となり、1人でも多くの女性の生涯にわたる心身の健康に資することを心から願ってやまない。
 そして最後に、刊行にあたり、多忙を極めながら惜しまぬご尽力をくださった執筆者各位の熱意と、発案・企画から1年半という出版計画を見事に達成してくださったぱーそん書房の山本美惠子氏の昼夜兼行の実行力に、改めて深い感謝の念を捧げたいと思う。
 2015年初夏
日本女性心身医学会『最新 女性心身医学』
編集ワーキンググループ代表 中澤 直子


目次


Ⅰ.総 論


1 女性心身医学の歴史と方向性

  Ⅰ.国際女性心身医学会
  Ⅱ.日本女性心身医学会
  Ⅲ.現況と将来

2 心身医学的診断法

  Ⅰ.医療面接とは
  Ⅱ.面接時の基本的姿勢
  Ⅲ.面接の場面設定
  Ⅳ.面接の導入
  Ⅴ.現病歴の聴取
  Ⅵ.生育歴の聴取
  Ⅶ.病態仮説の作成
  Ⅷ.精神疾患の除外
  コラム1 境界性パーソナリティ障害と発達障害

3 心理検査の活用

  Ⅰ.心理検査の目的
  Ⅱ.心理検査の種類
  Ⅲ.心理検査実施における留意点
  Ⅳ.心身医学の現場で役立つ心理検査

4 精神療法―一般心理療法と心身医学の三大治療法
         (交流分析、自律訓練法、行動療法)

  Ⅰ.精神療法
  Ⅱ.交流分析
  Ⅲ.自律訓練法
  Ⅳ.行動療法

5 その他の治療法

 1.認知療法、森田療法
  Ⅰ.認知療法
  Ⅱ.森田療法
  Ⅲ.認知行動療法と森田療法の違いについて
 2.漢方治療、代替医療
  Ⅰ.漢方治療
  Ⅱ.代替医療


Ⅱ.各 論


1 女性のライフサイクルとメンタルヘルス

  Ⅰ.日本の女性のライフコースの構成要素
  Ⅱ.日本の女性のライフコース上のストレス

2 摂食障害

  Ⅰ.疫学
  Ⅱ.発症要因
  Ⅲ.臨床像
  Ⅳ.診断
  Ⅴ.治療
  Ⅵ.症例とその対応
  Ⅶ.予後
  コラム2 無月経への対応
  コラム3 女性アスリートのメンタル課題

3 思春期の性行動と避妊

  Ⅰ.性行動の実態
  Ⅱ.人工妊娠中絶と避妊
  Ⅲ.10代の妊娠・出産
  Ⅳ.10代の性感染症
  Ⅴ.性被害

4 性と気分障害、不安障害、睡眠障害

 1.気分障害、不安障害
  Ⅰ.気分障害
  Ⅱ.不安障害
 2.睡眠障害
  Ⅰ.不眠症(不眠障害)
  Ⅱ.睡眠時無呼吸症候群
  Ⅲ.周期性四肢運動障害とレストレスレッグス症候群
  Ⅳ.ナルコレプシー

5 女性と身体症状症および関連症群

  Ⅰ.身体症状症および関連症群の概要
  Ⅱ.身体症状症および関連症群の治療
  Ⅲ.薬物療法
  コラム4 月経関連片頭痛

6 月経困難症

  Ⅰ.定義と頻度
  Ⅱ.リスク因子と心理社会的要因の関与
  Ⅲ.治療における心身医学的アプローチの可能性
  Ⅳ.子宮内膜症に伴う心身医学的問題
  Ⅴ.子宮筋腫に伴う心身医学的問題

7 月経前症候群(PMS)

  Ⅰ.定義と診断基準
  Ⅱ.症状の種類と出現様式
  Ⅲ.疫学的知見
  Ⅳ.病因
  Ⅴ.診断
  Ⅵ.治療




8 月経前不快気分障害(PMDD)

  Ⅰ.PMSの診断と歴史
  Ⅱ.PMDDの歴史
  Ⅲ.PMDDの症状と診断
  Ⅳ.PMDDの疫学
  Ⅴ.PMDDの発症機序
  Ⅵ.PMDDとうつ病の異同
  Ⅶ.PMDDの危険要因・関連要因
  Ⅷ.PMDDの治療

9 慢性骨盤痛と外陰痛

  Ⅰ.慢性痛とは
  Ⅱ.骨盤痛患者における心身症
  Ⅲ.慢性痛の発現機序
  Ⅳ.診断
  Ⅴ.治療
  Ⅵ.慢性骨盤痛と外陰痛の治療例
  Ⅶ.疼痛の性差
  Ⅷ.心身症としての慢性痛の診療における留意点

10 セクシュアリティと性機能障害

  Ⅰ.セクシュアリティと女性心身医学
  Ⅱ.性反応と性機能障害
  Ⅲ.性機能障害の診断と治療

11 不妊症とメンタルケア

  Ⅰ.不妊治療患者の特徴
  Ⅱ.不妊治療患者の求めているもの
  Ⅲ.今後の生殖医療とメンタルケア

12 妊娠と遺伝カウンセリング

  Ⅰ.妊娠中の遺伝カウンセリングとは
  Ⅱ.これからの遺伝子検査が出生前診断にもたらす課題
  Ⅲ.子どもとして受け入れること=自分を受け入れること

13 妊娠中のメンタルケア―精神疾患合併の妊娠管理
             および流産・死産と心理反応

  Ⅰ.妊娠前の留意事項
  Ⅱ.うつ病
  Ⅲ.統合失調症
  Ⅳ.パニック障害
  Ⅴ.双極性障害
  Ⅵ.産科異常(流産、死産)に対する心理反応
  コラム5 妊娠中の向精神薬の使い方

14 周産期のメンタルヘルス

 1.産後のメンタルケア、育児ストレス
  Ⅰ.産後の母親の心理状態
  Ⅱ.産後の母親のストレス状態の評価
  Ⅲ.産後の母親の精神心理的生活の評価
  Ⅳ.産後のストレスを軽減する支援
  Ⅴ.産後の母親へのメンタルケアの基本
  Ⅵ.行政で行われている具体的な育児への支援
  Ⅶ.母子に対する支援者の方向
 2.周産期のうつ病、その他の精神疾患
  Ⅰ.周産期の精神疾患
  Ⅱ.新生児喪失に関連した精神病理
  Ⅲ.産褥期の精神疾患
  コラム6 乳幼児虐待と世代間連鎖

15 更年期のメンタルヘルス

  Ⅰ.更年期障害の病態
  Ⅱ.更年期の精神症状

16 高齢女性をめぐる諸問題

  Ⅰ.老年期・寿命・身体疾患
  Ⅱ.老年期・精神疾患・女性
  コラム7 百寿女性の心身の健康

17 婦人科腫瘍とメンタルケア

  Ⅰ.婦人科腫瘍のメンタルケア
  Ⅱ.婦人科悪性腫瘍の緩和ケア

18 有職女性の心理社会的問題

  Ⅰ.女性の労働状況
  Ⅱ.有職女性の心理社会的問題
  Ⅲ.有職女性の健康支援の在り方

19 女性と暴力被害

 1.DV被害の実態と精神科的治療
  Ⅰ.DVの形態
  Ⅱ.DVの実態
  Ⅲ.精神健康被害
  Ⅳ.DV被害者への対応
 2.性暴力被害
  Ⅰ.性暴力の形態
  Ⅱ.性暴力被害の実態
  Ⅲ.精神健康被害
  Ⅳ.性暴力被害者への対応

20 女性のトラウマとPTSD、複雑性悲嘆

  Ⅰ.女性における心的外傷的出来事の体験とPTSD
  Ⅱ.女性における死別体験と複雑性悲嘆

21 女性と依存症

  Ⅰ.依存症の概要
  Ⅱ.依存症と発達障害・気分障害
  Ⅲ.買い物依存
  Ⅳ.タバコおよびアルコール依存

高齢妊娠・出産とどう向き合うか

個数:
より一層のスキルアップを目指して
高齢妊娠・出産とどう向き合うか

[ 著 ] 吉村 泰典
[ 発行年 ] 2014年12月1日
[ 分類 ] 産婦人科学
[ 仕様 ] B5変形判 本文107頁
[ 定価 ] 本体5,500円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-20-8
[ 主な内容]
●著者の豊富な経験に基づき、臨床医として高齢妊娠・出産にどう向き合い携わっていくのかを解説している。
●高齢妊娠・出産に関連する疾患や生殖補助医療などについて、わかりやすくまとめている。


はじめに

 社会に進出して仕事に生き甲斐を見い出す女性が増えている。このキャリア形成願望が未婚化につながり、晩婚化・晩産化傾向がみられるようになっている。
 キャリア形成に力を注ぐため晩婚化が進み、結婚したとしても子どもをつくらないというカップルも増えている。その中には、「つくらない」というより「つくれない」という場合もある。社会的なインフラなどの体制の不十分さが問題であり、子どもをつくらない、つくれない夫婦が悪いわけではない。しかし、30歳代後半になり、妊娠時期を逸してしまうのではないかと焦ったり、自分の力やこれからのキャリア形成に限界が見えてきたりすると、急に子どもをつくる方に意識が傾く女性が多くなり、その結果として高齢妊娠、出産が多くなってくる。
 女性の結婚年齢の上昇や生殖補助医療の発達により、高齢妊娠は増加する傾向にある。高齢妊娠においては、偶発合併症妊娠、流産、染色体異常、多胎妊娠などのリスクの増加があり、分娩時には難産や帝王切開率の増加が挙げられる。高齢妊娠では、妊娠高血圧症候群や子宮筋腫などの合併症妊娠の増加により、子宮内胎児発育遅延や早産が起こりやすく、結果として低出生体重児が多くなる。偶発合併症のために母体適応で早産とせざるを得ない症例が増えることや、生殖補助医療により多胎の頻度が上昇することも関与している。一方、糖尿病合併妊娠、妊娠糖尿病の頻度が高くなることから、巨大児も多くなる。また、母体死亡や周産期死亡についても高齢妊娠で増加すると考えられている。
 生殖現象の中で妊娠ほど男女間で理解がかけ離れているものはない。有史以来、妊娠は女性を象徴する現象として捉えられてきた。女性の理想的な妊娠時期は25~35歳であり、この時期に分娩できるような社会や職場の環境づくりが大切である。そのためには、高齢妊娠の困難性や危険性を思春期の頃より教育することが重要となる。そして若い男女に自らの身体の仕組みを理解してもらうことが必要となる。このような情報が、女性の社会進出や真の意味での男女平等を考えるうえで、重要な視座を提供することになる。心健やかに産み、安心して子育てや教育ができる成熟した社会の実現なくして、加速する少子化を断ち切ることはできない。
 産婦人科医は、高齢妊娠であっても女性が無事に出産できるよう全力を尽くしている。私自身も、生殖医療や周産期医療の臨床、研究に長年携わり、子どもがほしいと願う女性の力になりたいと心から思っている。そして、そのように尽力してきた。とはいえ、「50歳になっても月経がある間は自然妊娠できる」と約4割の独身女性が考えているとなれば、これを看過できない。こうした荒唐無稽な弊習や誤解が広まってしまったのには、私たち産婦人科医にも責任がある。妊娠には適齢期があることについて、積極的な働きかけを行ってきたとは言い難い。その反省もあり、この本の執筆を決意した。本書は、高齢妊娠や分娩する女性と社会とのかかわりを通して、産婦人科医が広く国民に対して何を啓発し、教育すべきかを主題にしている。科学的な検証にも耐えうる記述を心がけてはいるが、医学や医療に携わっていない若い男女の方々にも、妊娠という生命現象の中でも最も崇高な現象を理解して頂きたいというのがもう1つの狙いでもある。
 最後に、本書出版にあたり校正のみならず、適時適切な御教示を頂いた(株)ぱーそん書房の山本美惠子氏に深く感謝致します。
 平成26年12月吉日
              吉村 泰典


目次


1 高齢妊娠とは


Ⅰ.高齢妊娠・出産とは
Ⅱ.高齢出産の現状
Ⅲ.高齢出産のリスク

  1.高齢妊娠による妊娠中の母体リスク
  2.高齢妊娠による分娩時の母体リスク
  3.高齢妊娠による児へのリスク

column1.思春期の頃から生殖に関する教育を!

2 加齢と妊孕能


Ⅰ.卵子のaging
Ⅱ.精巣機能と加齢
Ⅲ.卵巣予備能

  1.エストラジオール(E2)
  2.インヒビンB
  3.卵胞刺激ホルモン(FSH)
  4.抗ミュラー管ホルモン(AMH)
  5.卵胞計測

column2.女性の理想的な妊娠時期は25~35歳

3 高齢女性の生殖補助医療


Ⅰ.わが国におけるARTの現状
Ⅱ.高齢者に対する卵巣刺激

  1.調節卵巣刺激法
  2.低刺激法

Ⅲ.高齢者における治療成績
column3.人としての尊厳を守り、
     家族として受け入れ育てていけるかが課題

4 高齢妊娠と胎児異常


Ⅰ.高齢出産の頻度
Ⅱ.流 産
Ⅲ.染色体異常
column4.ART総出生児のうち2/3以上が凍結胚移植

5 高齢化に伴う妊娠合併症


Ⅰ.早 産

  1.高齢妊娠との関連性
  2.高齢妊娠の早産のリスク因子

Ⅱ.妊娠糖尿病(GDM)

  1.GDM診断基準の改訂
  2.高齢妊娠とGDM
  3.GDMにおける妊娠合併症
  4.GDMの管理

Ⅲ.妊娠高血圧症候群(PIH)

  1.PIHの定義と分類
  2.加齢とPIH発症率
  3.肥満および耐糖能異常とPIH

Ⅳ.前置胎盤

  1.定義
  2.発症頻度とリスク因子
  3.診断と管理方法

Ⅴ.常位胎盤早期剥離

  1.定義
  2.発症頻度とリスク因子
  3.診断と管理方法

column5.日本は世界で最もART実施施設の多い国

6 婦人科疾患合併妊娠


Ⅰ.子宮筋腫

  1.疾患概念
  2.頻度
  3.妊娠・分娩・産褥経過
  4.妊娠・分娩時の管理

Ⅱ.子宮頸がん

  1.疾患概念
  2.頻度
  3.診断
  4.治療

Ⅲ.卵巣腫瘍

  1.疾患概念
  2.頻度
  3.診断
  4.妊娠中の管理
  5.悪性腫瘍が疑われる場合
  6.分娩方法
  7.良性卵巣腫瘍のがん化

column6.妊娠中に卵巣腫瘍が発見されたら




7 乳がんと妊娠


Ⅰ.乳がんの頻度
Ⅱ.乳がん発症のリスク
Ⅲ.遺伝性乳がん
Ⅳ.乳がんと妊孕性
Ⅴ.乳がん合併妊娠
Ⅵ.乳がん治療後の妊娠
column7.がん患者が妊娠を希望したら
     どのようなカウンセリングが必要か?
column8.妊孕性温存の方法には
     どのようなものがあるか?

8 出生前診断と着床前診断


Ⅰ.出生前診断

  1.概念
  2.非確定的検査
  3.確定的検査
  4.新型出生前遺伝学的検査(母体血胎児染色体検査;NIPT)
  5.遺伝カウンセリング

Ⅱ.着床前診断(PGD)

  1.概念と方法
  2.わが国の対応
  3.海外における適応
  4.遺伝カウンセリング

column9.高齢妊娠を理由に羊水検査を希望する
     クライエントへの説明と対応の仕方
column10.出生前診断における遺伝カウンセリング
     には何が必要か?
column11.羊水検査は結果への対応を決めている
     クライエントのみが受けるべき
column12.妊娠中の超音波検査で重度の障害や
     予後不良が予想される場合

9 不妊治療の助成


Ⅰ.基本的な考え方
Ⅱ.特定不妊治療をめぐる現状
Ⅲ.今後の助成制度の在り方

  1.助成対象年齢の見直し
  2.助成回数の見直し
  3.医療機関の指定要件

column13.男性が、そして社会が妊娠や子育てを
     支える成熟した社会の実現を
column14.Human+女と男のディクショナリー
column15.ARTのリスクについてクライエントも
     含めた教育システムの構築を

10 卵子提供による妊娠・分娩


Ⅰ.わが国における卵子提供

  1.卵子提供に対する考え方
  2.卵子提供後分娩の実態調査

Ⅱ.医学的問題点
Ⅲ.倫理的問題点
column16.ART出生児の予後調査について

11 卵子や卵巣の凍結


Ⅰ.基本的な考え方
Ⅱ.医学的適応による卵子の凍結
Ⅲ.社会的卵子凍結を実施できる施設
column17.生殖医療は、可能な限り
     エビデンスに基づく医療提供を

12 高齢女性に対する心理的サポート


Ⅰ.生殖医療の必要性
Ⅱ.生殖医療開始後のサポート
Ⅲ.高齢妊娠・分娩女性へのサポート
Ⅳ.生殖医療終結にあたってのサポート
column18.メンタルケアとしての
     臨床心理士の役割とは?

13 高齢妊娠を望む女性に


Ⅰ.子どもをもつということ
Ⅱ.妊娠した際の心得
Ⅲ.生まれてくる子どものために
Ⅳ.子どもの長期予後
column19.ART由来出生児調査の現況
column20.健常者は障害者によって支えられて
     生活している
婦人科手術手技

個数:
より一層のスキルアップを目指して
婦人科手術手技
基本操作と応用(慈大式横切開法、腟式手術など)

[ 著 ] 安田 允
[ 発行年 ] 2014年4月20日
[ 分類 ] 産婦人科学
[ 仕様 ] B5変形判 本文110頁
[ 定価 ] 本体5,500円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-11-6
[ 主な内容 ]
●スキルアップを目指す若い産婦人科医のための婦人科手術手技書。
●著者の豊富な経験に基づき、臨床医として必要な基本手術手技を、症例を提示しながら写真とイラストでわかりやすく解説しているカラーアトラス。


はじめに

 従来の手術書は著名人による成書が多く、また術式の解説や手技論の多くは外科医が中心になって書かれたものが主流であった。今回の執筆にあたっては、婦人科の視点に立ち、基本技術の原点に戻り、基礎的な知識欲を満たし、誰にでもわかる基本手技の手術書にしたいと心がけた。本書では筆者自身の経験に基づいた手技と教育医療機関病院で行うべき必要最低限の基本操作を中心に述べた。
 産婦人科医、特に若い研修医たちにとっては臨床医としての必要かつ十分な手術技術を習得し、手術の能力を保持しなければ専門医としての資質を満足することはできない。
 産婦人科手術の特徴は、
①骨盤内手術は静脈との戦いであること。特に静脈叢の解剖を理解しその対応と技術を身につける。
②婦人科手術は「層の手術」であり、正しい組織層の分離と剥離が手術成功の近道となる。
③保存手術は最も難しく、結果がよくて当たりまえで、術後のクオリティーがよくなければ手術を行う意味がないものと理解する。特に広汎子宮全摘手術の基靱帯処理や仙骨前面の直腸剥離操作などは静脈叢と神経叢との戦いである。さらに瘻孔や子宮脱の手術は組織層の手術であり、質的にも難しいので心して慎重に操作する。
④産婦人科医がよく利用する連続縫合は術者と助手の共同作業であり、息を合わせ、あくまでも慎重に操作する。
などである。
 手術成績の良否は、①術者の正しい知識および技量に基づいた手術操作、はもちろんのこと、②手術設備、③術前・術後の処置・管理、により左右され、そのいずれを欠いてもよい結果は得られない。
 筆者は、術式は単純明快にて安全・確実、さらに出血量を最小限に抑えた完璧な手術を心がけてきたが、少しでも本書が皆さまのお役に立てれば幸せである。また不十分なところは読者の忌憚ないご意見とご批評をお願いする次第である。
 最後に本書が上梓できたのも、ぱーそん書房の山本美惠子さんの終始一貫した熱意溢れる編集努力によるものと、深甚の感謝の念を捧げるものである。
 平成26年4月吉日
              安田 允


目次


Ⅰ 産婦人科手術の大切な基本事項


1 手術学

  Ⅰ. 手術戦略学
  Ⅱ. 手術基本手技

2 婦人科解剖学の基本

  Ⅰ. 外陰部
   ・外陰・鼠径部の解剖
  Ⅱ. 骨盤底
  Ⅲ. 骨盤内
    1. 血管系
    2. 神経系
  Ⅳ. 腹部・後腹膜腔

3 術者が心がけること
4 助手の心がまえ
5 手術手技の原則、基本操作

  Ⅰ. 縫合針、縫合糸、持針器
    1. 縫合針
    2. 縫合糸
    3. 持針器
  Ⅱ. 運針法
  Ⅲ. 結紮法
  Ⅳ. 結紮の手技
  Ⅴ. 縫合法
    1. 結節縫合
    2. 連続縫合
    3. Z字縫合、8字縫合
    4. 纏絡縫合
    5. タバコ縫合、巾着縫合
    6. 減張縫合
    7. 真皮縫合
  Ⅵ. メス、ハサミ・剪刀の使い方
    1. メス
    2. ハサミ、剪刀
  Ⅶ. 鉗子
  Ⅷ. 鑷子(ピンセット)

6 止 血

  Ⅰ. 止血法の種類
    1. 圧迫止血
    2. 局所止血剤
    3. 結紮
    4. 縫合
    5. 電気凝固
    6. ヘモクリップ
    7. Sonic coagulation shears
    8. 動脈塞栓術(間接法)(TAE)
  Ⅱ. 手術用電気器具
    1. モノポーラ(単極式)
    2. バイポーラシザース(双極式)
    3. 低電圧凝固
    4. 超音波凝固切開装置
    5. その他





7 皮膚切開と皮膚縫合

  Ⅰ. 皮膚切開と皮膚縫合の心がまえ
  Ⅱ. 皮膚切開の実際
  Ⅲ. 皮膚縫合の実際
  Ⅳ. 被 覆


Ⅱ 婦人科手術の実際


1 腹壁切開:樋口式横切割法

  Ⅰ. 腹壁横切開法
    1. 皮膚切開
    2. 閉 腹

2 腹式子宮全摘出術(慈恵医大式子宮動脈集束結紮法)

  Ⅰ. 腹腔内の確認
  Ⅱ. 円靱帯の結紮・切断
  Ⅲ. 卵巣提索の結紮・切断
  Ⅳ. 膀胱腹膜と膀胱の剥離操作
    1. 第一ステップ
    2. 第二ステップ
  Ⅴ. ダグラス窩と仙骨子宮靱帯の操作
  Ⅵ. 子宮動静脈と基靱帯の処理
  Ⅶ. 腟壁の切断
  Ⅷ. 腟断端の縫合
  Ⅸ. 腹膜開放部の点検と閉腹

3 腟式子宮全摘出術(無結紮法、2回結紮法)

  Ⅰ. 子宮腟部の輪状切開
  Ⅱ. 膀胱の剥離
  Ⅲ. ダグラス窩の開放
  Ⅳ. 仙骨子宮靱帯および基靱帯の処理
  Ⅴ. 子宮動脈と基靱帯の処理
  Ⅵ. 膀胱腹膜の開放と子宮体部の翻転
  Ⅶ. 附属器の処理
  Ⅷ. 腹膜の閉鎖
  Ⅸ. 腟壁の縫合閉鎖

4 子宮脱根治手術

  Ⅰ. 前腟壁形成術
    1. 前腟壁切開
    2. 前腟壁と腟中隔の剥離
  Ⅱ. 後腟壁形成と会陰形成
    1. 後腟壁切開
    2. 肛門挙筋の縫合
  Ⅲ. 会陰形成


2018年10月 新刊追加