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救命・救急医学一覧

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救命・救急医学
Vol.3 POTファシリテーター養成マニュアル

個数:
Vol.3 POTファシリテーター養成マニュアル

[ 著 ] 南 浩一郎
[ 発行年 ] 2018年7月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A4判・80頁
[ 定価 ] 本体3,200円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-45-1
[ 主な内容 ]
●傷病者観察のトレーニングに最適!!
●救急振興財団救急救命東京研修所の南先生らが中心となって進めているPOT講義のファシリテーター養成マニュアルの第3弾。
●講義の進行役として参加者の意見交換を促し、相互理解が得られるための指南書として、具体的にわかりやすく解説している。


はじめに

 POTアドバンスを始めて既に4年が経過している。最初の頃は、やり方も行き当たりばったりで、機器が整わなかったり、ファシリテートがうまくいかずデスカッションもままならなかった。しかし、数年の試行錯誤の末にやっと『誰でもやろうと思うと、開催が可能な形』に進化することができた。タブレットを用いて数名のグループで議論しながら進める今のやり方は、講義スタイルというより討論会スタイルになっている。症例も最初は診断にこだわってきたが、今は救急活動時に問題となることを中心に議論するように変化してきている。今のPOTアドバンスは『救命士が救命士を養成するためのケーススタディ』という形になり、ファシリテーターも徐々に増えて、自分の職場で開催するところも増えてきている。これは、私の理想としていた『POT アドバンス=考える救命士の養成ツール』に少し近づくことができたのではないかと思う。
 今回は、POTアドバンスの普及により、同じ症例を目にする機会が増えて、勉強する症例を新たにイノベーションさせることが必要となってきたために、新たに20症例をPOT ファシリテーターマニュアルVOL.3として書き上げた。以前の2冊は私の個人的な経験などに基づく症例が主であったが、今回の多くは医師国家試験に出題されている症例を用いている。救命士の方にも医師国家試験にどのような問題が出されているのかと興味をもってもらえると思う。“なんだ、こんな症例が出ていたのか”とおもしろく思って頂ければ幸いである。
 POTアドバンスは『救命士が救命士を要請するためのケーススタディ』が目標であり、これを用いて臨床能力や病態推論能力をつけるために開発されたものである。「POTファシリテーターマニュアル」、「続POTファシリテーターマニュアル」、今回の「POTファシリテーターマニュアルVOL.3」を活用して、ぜひOJTを充実させて頂きたい。
 平成30年6月吉日
              南 浩一郎


目次


症例 1  急性心筋梗塞(左冠状動脈)、プレショック、
                     関連通
症例 2  心原性ショック、心筋梗塞(右冠状動脈)
症例 3  僧帽弁閉鎖不全症による心原性ショック
症例 4  感染性髄膜炎
症例 5  軽いくも膜下出血からの脳血管攣縮
症例 6  脳梗塞(心原性脳塞栓症)
症例 7  アスピリン喘息
症例 8  緊張性気胸
症例 9  敗血栓塞栓症
症例 10 肝硬変、食道静脈瘤からの出血






症例11 急性膵炎による敗血症性ショック
症例12 糖尿病ケトアシドーシス
症例13 高浸透圧高血糖症候群
          (非ケトン性高浸透圧性糖尿病昏睡)
症例14 低血糖
症例15 周期性四肢麻痺(甲状腺機能亢進症、バセドウ病)
症例16 急性腎障害
症例17 腸管出血性大腸菌感染症
症例18 WPW症候群による頻拍性不整脈
症例19 アナフィラキシーショック
症例20 ギラン・バレー症候群


翻訳 外傷手術手技アトラス

個数:
外傷手術手技アトラス
ATLAS OF SURGICAL TECHNIQUES IN TRAUMA
                 (翻訳)

[ 監訳 ]  大友康裕
[ 編訳 ]  森下幸治 松島一英
[ 発行年 ] 2018年7月1日
[ 分類 ]  救命・救急医学 外科一般
[ 仕様 ]  A4変形判・392頁
[ 定価 ] 本体 17,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-44-4
[ 主な内容 ]
●待望の翻訳版が刊行! 救急医・外科医、必読テキスト!
●原著は、全米で最も多忙なレベル1外傷センターとして知られるLos Angeles County + University of Southern California Medical Centerの外科医たちによる執筆。
●630枚を超える高画質の写真や図表を掲載し、臨床に即した解剖、一般原則、術野の露出、手術手技、コツとピットフォールなど、外傷外科手術のキーポイントを解説。


原著 序文

 この外傷手術手技アトラスは、外傷診療に携わる外科医にとって有用な手術室でのガイドとなることを目的としている。外傷手術手技にかかわる重要な解剖、手順、陥りやすいピットフォールなどが写真や図を多用した形でまとめられており、修練医のみならずすべての外科医が手術室へ向かう前にさまざまな手技をレビューできるようになっている。
 このアトラスは解剖学的部位によってそれぞれの章、セクションにまとめられている。630枚を超える高画質の写真や図表に加え、実際の臨床に即した外科解剖、一般原則、術野の露出、損傷修復法、さらには手術のコツやピットフォールなども読者にわかりやすい形で記載されている。
 このアトラスがユニークなのは、実際の外傷患者のように還流、換気された新鮮な遺体を使用している点である。University of Southern CaliforniaのFresh Tissue Dissection Laboratory(FTDL)にて長期間かけて作成された。これによって、文章のみではなかなか伝わりにくい外傷手術手技のキーポイントを読者がすぐに理解できるようになっている。米国の外傷センターにおける臨床の経験が豊富な編者、著者による高画質の写真、図表を満載した本書は外傷診療に携わる外科医にとって重要な助けとなるはずである。
Demetrios Demetriades, Kenji Inaba, and George Velmahos


翻訳版 監修のことば

 この度、「ATLAS OF SURGICAL TECHNIQUES IN TRAUMA」日本語翻訳版を上梓させて頂いた。
 昨今、外傷の外科手術症例は、保存的治療の増加やIVRの発達に伴い、世界的に激減しているが、一方でメスの力でなければ救うことのできない外傷症例は、一定数存在する。このため、外科医は外傷手術の修練をしておかなければならない。わが国では、経験できる外傷手術症例が極めて少ないことから、外傷外科手術指南塾などの講習会やATOM、DSTC、ASSET、SSTTなどのoff-the-job trainingが再開されている。
 本書のEditorである、Dr. Demetriades, Dr. Inaba, Dr. Velmahosは、いずれも現在またはかつて、Los Angeles County Hospital(LAC)で勤務している(していた)Trauma Surgeonであり、Dr. Demetriades率いるLAC外傷外科チームの中心的存在である。LACは、全米屈指のハイボリュームトラウマセンターであり、圧倒的な外傷外科手術症例の診療にあたっている。Dr. Demetriadesが、本書を「手術室で外傷患者の治療を行う外科医のための手引き書」と称しているように、外傷手術の重要な解剖・一連の手術手技およびそれに付随するピットフォールについて理解し、実際に適切な手術実施につなげることが、本書の目的である。修練中の外科医に最適であるとともに、既に独り立ちしている外科医にとっても有益な内容となっている。
 フレッシュカダバー(fresh cadaver)を用い、南カリフォルニア大学Fresh Tissue Dissection Labにおいて数百時間を費やして撮影した画像、豊富な重症外傷の実臨床での経験とクオリティーの高い術中写真やイラストなど、解剖学的領域ごとに、630ものハイクオリティーな写真、イラストが掲載されている。視覚的に美しいとともに、個々のsurgical exposureとprocedureの最も重要なポイントについて、一目瞭然に短時間で理解することができる。
 わが国で、Acute Care Surgeonを志しているものの、「外傷手術について豊富な経験をもつ指導者がいない」と悩んでいる若い外科医の皆さんに、手にとって実際の手術に役立てて頂きたい良書である。
大友 康裕


目次


Section 1 手術室に関する基本事項


01.外傷に対応する手術室

Section 2 救急室における蘇生的手技


02.輪状甲状靱帯切開
03.胸腔チューブ挿入
04.救急室蘇生的開胸

Section 3 頭部


05.頭蓋内圧モニター挿入法
06.急性硬膜外血腫・硬膜下血腫の開頭血腫除去術

Section 4 頸部


07.外傷に対する頸部手術:一般原則
08.頸動脈および内頸静脈損傷
09.鎖骨下動静脈
10.腋窩動静脈
11.椎骨動脈損傷
12.気管・喉頭
13.頸部食道

Section 5 胸部


14.胸部外傷 手術の基本原則
15.心損傷
16.胸部大血管
17.肺損傷
18.胸部食道
19.横隔膜損傷




Section 6 腹部


20.外傷症例に対する腹部手術の一般原則
21.ダメージコントロール手術
22.消化管
23.十二指腸
24.肝損傷
25.脾損傷
26.膵臓
27.泌尿器系外傷
28.腹部大動脈と内臓枝
29.腸骨損傷
30.下大静脈

Section 7 骨盤


31.骨盤骨折に対する外科的出血コントロール

Section 8 上肢


32.上腕動脈損傷
33.上腕筋膜切開
34.上肢切断

Section 9 下肢


35.大腿動脈
36.膝窩動脈
37.下肢切断
38.下肢筋膜切開

Section 10 整形学的ダメージコントロール


39.整形学的ダメージコントロール
POT Basicガイドブック

個数:
POT Basicガイドブック

[ 著 ] 尾方 純一
[ 発行年 ] 2017年12月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A4判・174頁
[ 定価 ] 本体4,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-41-3
[ 主な内容 ]
●救急救命士国家資格取得後、5年目までの救急救命士と、主催者(インストラクターまたはプロバイダー)を対象とした生涯学習・再教育プログラム。
●救急現場で遭遇する(内因性)疾病傷病者の「防ぎ得た死亡と後遺症」を防ぐための評価と判断処置に重点を置いた必携マニュアル。


序文にかえて―アスクレピオスの杖を以ってカドゥケウスを成す者

 米国運輸省幹線道路交通安全局が1973年に採用した救急車両のマークが「The Star of Life(生命の星)」だ(図A)。六芒星の枝には6つの職務が振り分けられているが、中央には1匹の蛇をまとった杖「Rod of Asclepius(アスクレピオスの杖)」が描かれる(図B -左)。ギリシャ神話が伝えるところによれば、アポロンの息子アスクレピオスは非凡な才能を発揮して、ついには死者をも蘇らせたという。生命の星は1997年に全米救命士登録制度へ譲渡され、現在は米国救命士スピリットの象徴として全米で使用される。彼が持ったと伝えられる杖は、まさに、病院前救護に携わる救急救命士の覚悟を表している。なにしろ、死者を蘇らせようというのだから。
序文
図A

 もともと、アスクレピオスの杖は「医学」のシンボルである(図B -左)。世界保健機関(WHO)、全米医学協会、米空軍医療部隊など、アスクレピオスの杖を徽章やロゴのモチーフとする医療団体は数多い。
 一方、米国の医療機関では、2匹の蛇と羽のついた杖「Caduceus (カドゥケウス)」をシンボルにしている場合がある(図B -右)。例えば、米陸軍医療部隊は徽章にカドゥケウスを採用している。アポロンの弟ヘルメスが持つカドゥケウスは神々の伝令と交渉役の証だが、転じて交渉と商業、旅行の象徴となった。本邦でも、一橋大学の校章にはカドゥケウスが使用されている。医療カドゥケウスは、搬送や情報伝達を含む医療搬送・情報システムの象徴である。
序文
図B

 ならば、アスクレピオスの杖とカドゥケウスは、共に救急救命士にこそふさわしい。現在、救急救命士は多くの医療行為を救急現場で行う。その一方で、迅速な搬送および適切な情報伝達を行うことは医療行為に等しく重要だ。すなわち、救急救命士こそアスクレピオスの杖を以ってカドゥケウスを成す者である。
 アスクレピオスの偉大な系譜は、アスクレピオスの娘で薬学の象徴ヒュギエイア、癒しの象徴パナケイア、そしてその末裔ヒポクラテスへと続く。そのアスクレピオスに教育を授けたのは、半人半馬のケンタウロス、賢者ケイローンである。救急救命士もまた、アスクレピオスの杖とカドゥケウスを共に授けられた高度なハイブリッドだ。ならば、ケイローンとなって未来の救急救命士の系譜を支えるのもまた、救急救命士ということになるだろう。このガイドブックがその一助になれば幸いである。
 平成29年11月吉日
尾方 純一


目次


1 POT


1-1 POTの名称
1-2 POTの種類
1-3 POTが扱う疾患
1-4 POTの目的
1-5 救急救命士の生涯教育・再教育

2 POT Basic


2-1 POT Basicの概要
2-2 POT Basicの受講者
2-3 POT Basicの主催者

3 POT Basic開催の準備


3-1 POT Basicのコア・アーキテクチャー(基本設計)
3-2 スキャホールディング
3-3 スキャホールディング1.難度―やさしい
3-4 スキャホールディング2.難度―中程度
3-5 スキャホールディング3.難度―難しい
3-6 POT Basicの開催形態
3-7 POT Basicの教育技法
3-8 POT Basicの開催時間
3-9 POT Basicで使用するシナリオ
3-10 POT Basicの認定
3-11 POT Basicに必要な視点

4 POT Basicで使用する定義


4-1 「気づき(認知)」を与える指標としての定義
4-2 ハイリスク傷病者
4-3 ハイリスク症候(症状)
4-4 内因性ロード&ゴー
4-5 緊急安静搬送(Hurry,But Gently)
4-6 輸液プロトコルの適応
4-7 ブドウ糖投与プロトコルの適応

5 POT Basicで使用するアルゴリズム


5-1 PEMECおよびPCEC/PSLS標準アルゴリズム
5-2 PEMEC標準アルゴリズム
5-3 PCEC標準アルゴリズム
5-4 PSLS標準アルゴリズム




6 POT Basic 1 循環


6-1 POT Basic 1 のスキャホールディングと
                コンピテンシー
6-2 POT Basic 1で使用するシナリオ
6-3 POT Basic 1で使用するプロトコル
6-4 POT Basic 1ではショックおよび急性心筋梗塞
            に関する事前学習が必要

  1.ショック
  2.急性冠症候群(ACS)
  3.POT Basic 1 の症例


7 POT Basic 2 呼吸


7-1 POT Basic 2のスキャホールディングと
                コンピテンシー
7-2 POT Basic 2で使用するシナリオ
7-3 POT Basic 2で使用するプロトコル
7-4 POT Basic 2では異常呼吸音およびガス交換障害
            に関する事前学習が必要

  1.呼吸音と病態
  2.POT Basic 2 の症例


8 POT Basic 3 意識障害


8-1 POT Basic 3のスキャホールディングと
                コンピテンシー
8-2 POT Basic 3で使用するシナリオ
8-3 POT Basic 3で使用するプロトコル
8-4 POT Basic 3では意識障害を生じる疾患
            に関する事前学習が必要

  1.意識障害の原因
  2. POT Basic 3 の症例
  ・意識レベルの確認
  ・意識障害の評価が困難な場合


9 POT Basic ネームカード


災害薬事標準テキスト

個数:
災害薬事標準テキスト

[ 監修 ] 一般社団法人日本集団災害医学会
[ 編集 ] 大友 康裕
[ 発行年 ] 2017年8月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A4判 本文76頁
[ 定価 ] 本体1,800円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-39-0
[ 主な内容 ]
●災害時における薬剤師の役割と必要性を学ぶためのPhDLSテキスト。
●災害薬事トリアージやフィジカルアセスメント、医薬品供給等についてわかりやすく解説。
●薬剤師はもとより、医療スタッフや行政職員等にも役立つ実践書。


監修の序

 日本における災害医療は、阪神・淡路大震災以降、体制整備がなされ多くの医療職の関与が求められるようになってきています。その中でも医療提供にあたり重要な位置を占めるのが、医薬品供給体制の在り方や、薬事関連業務の在り方です。日本集団災害医学会では、災害医療におけるさまざまな標準化トレーニングコースを開催していますが、災害時における薬事対応コースとして、災害薬事研修:PhDLS(Pharmacy disaster Life Support)を開発し、コース開催して参りました。災害医療においては多くの職種と連携し協働することが必要とされます。その際、効率的・効果的に働くためには、共通言語(理念・知識・標準手順)が求められます。PhDLS には、薬事対応特有の教育内容が含まれるのみでなく、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)などの医療チーム、消防・警察職員を対象とした多数傷病者対応 MCLS(Mass Casualty Life Support)コースなどとも共通の教育内容も含まれており、組織を超えた整合性も図られております。
 PhDLS の教育内容は、薬事にかかわるすべての者が対象者であり、災害医療の導入コースとしてご活用頂けたら幸いです。PhDLS は 2016 年からコース開催を重ね、薬剤師だけでなく医師、看護師、他の医療スタッフ、行政職員、卸業者など医療者から、非医療者まで幅広く受講頂き好評を得ております。全国の皆様から、各地域での開催要望の声だけでなく、テキストの必要性のお声を頂き、PhDLS 運営委員会のコアメンバーにて本書を編集・執筆致しました。災害医療の基本対応や薬事関連対応などより多くの方に購読して頂き、災害時における医薬品供給から薬物治療の対応能力の向上、医療チームにおける多職種連携力の向上、そして、薬事に平時にはかかわりの少ない方にも知識として持ち合わせて頂き、災害医療の底上げに寄与することを願っております。
 平成 29 年 7 月吉日
日本集団災害医学会 代表理事 小井土 雄一


緒言

 東日本大震災では、多くの医療関係者が被災者の医療等に尽力した。従来備えていた災害医療体制が機能したと評価できる部分がある一方、多くの新しい課題が教訓として挙げられた。広範囲にわたる被害により、ライフラインの途絶や燃料の不足、医薬品等の物資の供給不足などにより、多くの医療機関で長期的に診療機能が低下した。
 さらに最大 42 万人に及ぶ避難者は、過酷な環境の中での生活を余儀なくされ、十分な保健医療・公衆衛生的対応がとられず、残念ながら多数の災害関連死を招くこととなった。
 そのような中で、全国から薬剤師が被災地に赴き、献身的に医療支援等の活動を長期間にわたり提供した。その経験から、大災害時の薬剤師の必要性が、改めて認識された。
 現在、災害医療における研修は、DMAT ほかの医療救護班向けのもの、および日本集団災害医学会が多職種向けとして全国各地で開催している MCLS など、系統的研修が展開されている。しかしながら薬剤師の分野では対応は遅れているのが現状である。
 前述のように災害医療の現場での薬剤師の存在意義は大きく認められつつあり、その要請に応えられるよう、災害医療に強い薬剤師の育成は必須である。このため、日本集団災害医学会では、災害薬事研修会(Pharmacy Disaster Life Support;PhDLS)を開発した。2014 年 12 月から試行コースを開催し、10 回の試行コースを経て、2015 年 7 月より正規コースを開催している。
 薬剤師は、平時は医師からの処方箋の発行を待って施薬するという、やや受け身の業務を行っている。しかし災害時は、医療ニーズに対して、提供できる医療者が不足している状況である。このため、薬剤師には薬剤師としての専門性を発揮するとともに、一医療者としての活躍も期待して、コースでは災害時の保健医療・公衆衛生活動の内容および他の医療従事者の業務負担軽減につながる災害薬事トリアージを取り入れた。災害薬事トリアージを実施する際、患者のフィジカルアセスメントを実施する必要がある。2006 年より薬学部 6 年制課程が導入されて、大学教育でもフィジカルアセスメント技術習得教育が実施されていることから、コースでもこの内容を入れた。
 PhDLS コースで、災害時に適切に活動できる知識・技能を有する薬剤師を、できるだけ多く養成し、実災害発生時に活躍して頂くことを期待している。
大友 康裕


目次


1 災害時における薬剤師の必要性と役割


1.東日本大震災で得た新たな教訓

  1) 東日本大震災での災害医療対応
  2) 新たな防ぎえる災害死

2.大災害時における薬剤師の必要性

  1) 災害時の公衆衛生的対応
  2) 薬剤師の役割

3.PhDLSコースでの獲得目標と
       日本集団災害医学会災害医療認定薬剤師

2 災害医療の原則


1.救急医療と災害医療の違い
2.災害医療の原則
3.メディカル・マネジメント(医療管理)

  1) C:Command & Control
           [指揮と統制(連携、連絡・調整)]
  2) S:Safety(安全)
  3) C:Communication(情報伝達)
  4) A:Assessment(評価)

4.メディカル・サポート(医療支援)

  1) T:Triage(トリアージ)
  2) T:Treatment(治療)
  3) T:Transport(搬送)


3 災害薬事支援の原則


1.Pharmaceutical Triage(災害薬事トリアージ)
2.Preparation(準備)
3.Provide Medicines(医薬品供給・調剤)

4 災害薬事トリアージとフィジカルアセスメント


1.災害薬事トリアージの概要
2.災害薬事トリアージの1つとしての問診

  1) 自覚症状の聴取:LQQTSFA
  2) 社会的情報についての問診
  3) 既往歴・服薬歴・アレルギー歴

3.フィジカルアセスメント

  1) 意識の評価「意識レベル」
  2) 呼吸の評価
  3) 循環の評価
  4) 体温

4.災害薬事トリアージ




5 災害における医薬品供給


1.災害時の医薬品供給

  1) 発災後3日まで(超急性期)
  2) 発災後3~7日頃(急性期)

2.災害時の集積所の役割(保管と仕分け)
3.災害時のロジスティックで考える医薬品供給
4.情報断絶のときの「プッシュ型供給」

6 災害時、薬事関連通知(規制緩和)


1.大規模災害時の処方箋および調剤について
2.調剤を行う場所について
3.医薬品医療機器の融通について
4.診療報酬の取り扱いについて
5.被災地での医療費患者負担について
6.医療用麻薬の取り扱いに関する
          東日本大震災の際の特例について

7 避難所での情報収集と医療救護班との連携


1.避難所での情報収集(アセスメント)

  1) 避難所を評価するキーワード
  2) PHARMACIST

2.避難所での薬剤師の役割

  1) 避難所における薬剤師活動

3.避難所における医療救護班との連携
4.避難所における多数の支援団体との連携

8 わが国の災害医療体制


1.わが国の災害対策関連法体系

  1) 災害対策基本法
  2) 災害救助法

2.阪神・淡路大震災以降の災害医療に関する国の取り組み
3.厚生労働省局長通知
4.厚生労働省防災業務計画

  1) 災害拠点病院
  2) 広域災害・救急医療情報システム(EMIS)
  3) DMAT
  4) 医療搬送
  5) 災害医療コーディネーター
  6) 医薬品などの安定供給の確保

5.地域公共団体の取り組み

附録 薬事関連における災害対応通知一覧


緊急検査すぐ確認!!

個数:
ER若手スタッフ便利帳
緊急検査すぐ確認!!

[ 編集 ] 三宅 康史
[ 発行年 ] 2017年4月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] 新書判・319頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-38-3
[ 主な内容 ]
●若手ER医師・ERナース、関連スタッフのための、ポケットサイズの緊急検査の指南書。どこから読んでもすぐに役立つ便利帳。
●簡潔な文章で検査の基礎を集約。あやふやに覚えていたことを、何度も読んでぐらつかない知識に!


緒言

 この度、「緊急検査すぐ確認!!」と題した書籍が上梓されました。編集は帝京大学医学部救急医学講座の三宅康史教授です。彼は帝京大学医学部附属病院の救命救急センター長でもあり、臨床医として長きに渡り救急医療の最前線で、まさに陣頭指揮にあたってきました。その中で例えば、精神医学的な背景を有した救急患者や熱中症を疑う患者への対応といった極めて現実的な課題に果敢に取り組んできたことでもよく知られています。
 そのような立場から、今回は本書によってER(救急外来、救急蘇生室など)で活躍するスタッフに緊急検査の取り扱いを指南しています。そこには血液、尿、髄液などの検体検査から、感染症や免疫学的な諸々、超音波、レントゲン撮影といった画像診断までもが含まれていて、まさにERに出入りするすべての人々を“支援する”にふさわしいものであると言うことができます。
 総論での説明にありますように、ERに働く医師が、患者が来院する前にサッと目を通す、ないし上級医らにプレゼンテーションを行うにあたり確認のために用いるなどが具体的な本書の使用法と書かれています。しかし、ERには医師のみならず、看護師やその他多くの職種が展開しています。日本臨床救急医学会における議論を参考にしますと、薬剤師、臨床放射線技士、臨床検査技師、場合によってメディカルソーシャルワーカー(医療福祉士)も各々に固有な職能に加えて、それぞれが救急医療分野において特徴的な専門性を発揮できるキャリアアップの方策(資格認定を行う仕組みなど)を構築しています。つまり、ERを軸に多職種が既に本書を待ち望んでいたことになります。
 保健師助産師看護師法の改正によって、看護師にとってかつては“難しいから”という理由でできなかった医行為についても一定の研修を経て、いわゆる特定行為については診療の補助として行うことができるようになりましたし、診療放射線技師も同じく造影剤の静脈内投与ないし下部消化管内への注入が、医師による包括的な指示の下で可能になりました。医師や看護師の職能がそれぞれ看護師や診療放射線技師に移譲されたわけです。このように多くの職種が情報共有などのノンテクニカルスキルのみならず、専門的な作業であるテクニカルスキルについても、相互に乗り入れるチーム医療の方法が救急医療の分野でも普及しつつあると認識できます。
 以上により、本書が多職種のスタッフに、そして将来そのようになる学生諸君にも、救急患者の搬入前に目を通したり、合同カンファランスにおいて参考にしたりと、そしてそこから湧いた疑問を医療チームの仲間に尋ねたり尋ねられたりとなれば、本書の利用は誠に奥深いものとなり得ます。多くの医療者やそれらを目指す学生らが、便利帳たる本書を手に取ることを大いに期待します。
 平成29年3月吉日
独立行政法人労働者健康安全機構 理事長
有賀 徹


本書の使い方

◆発刊までの経緯
 ぱーそん書房から2015年10月に「ERドクター便利帳 輸液再確認!!」なる単行本(新書判,305頁)が出たのを御存知の方もいらっしゃるかと思います。今回企画のこの本、実はその第2弾なのです。ERドクター便利帳がシリーズ化されるという話は最初の頃はなかったと認識していたのですが、輸液の便利帳ができれば、当然ながら次は検査に関する便利帳でしょ…との山本美惠子代表のありがたいお誘いもあってここに至った次第です。
 最近ではPOCT(Point of Care Testing)の言葉もだんだん身近になりました。その迅速性という利点を活かして、救急患者のERでの重症度・緊急度評価、次なる検査の選択、そして現状で最良と思われる治療法に導くこと…は救急診療に携わるスタッフにとって、まさに目の前でリアルに展開される救命救急医療の醍醐味そのものといえます。
 というわけで、さっそくERでの診療中に結果がわかり、その後の検査選択、鑑別診断、確定診断と初期対応、ケアにも役立ち、リスクが高いといわれるERでの感染対策など医療安全にも大いに寄与する緊急検査(≒POCT)について、現場で日々そのアドバンテージを実感し、簡便性の裏に隠れたリスクについても熟知している先生方に執筆をお願いしております。
 急患が来たので、静脈路を確保してとりあえず採血はしたけれども、その結果も見ず、評価もし忘れて、上級医や受け持ち看護師さんから指摘されて初めて「ギョギョッ!!」となることのないよう、この1冊で緊急検査についてしっかり学んでしまいましょう。
◆具体的な使い方
 「便利帳」と銘打っているからには、患者が来る前に調べておきたい項目や、プレゼンテーションの前に確認しておきたい事項がすぐにわかるように、項目立てを工夫しています。また執筆にあたっては、平易な表現を用いて短い文章で簡潔・簡便にまとめて覚えやすいようにしています。図、写真を多用して視覚的情報をなるべく多く盛り込み、一覧して理解できるよう工夫しています。
◆総論
 ここでは緊急検査を行う意味、避けることのできるリスクについて書いてあります。
 買った後に帰りの電車の中で(買わない場合には医学書コーナーの立ち読みで)読んで頂き、POCTとはこういうもので、このように使うと便利で役に立つんだな、と現代医学の進歩をたくさん享受できる喜びをかみしめてください。
◆各論
①この検査を緊急でやる意義について:短時間で全体像を把握できるよう要点を箇条書きにしてします。ここだけ読んで、この章が自分に必要かどうか判定します。
②実際の測定手順:必要と思われる項目では測定法についても詳述しています。検査技師のいない、検査のできない医療機関もあるからです。検査のタイミングや検査にあたっての注意事項、検体の管理、医療機器の取り扱い方法などにも言及しています。
③検査結果に応じて、病態と重症度の把握、鑑別診断を系統的に想起できるようにします。
④次の一手として、追加の検査オーダー計画、既往歴・現病歴などの情報収集とのすり合わせ、鑑別・確定診断への道筋にどう役立てるか、を考えていきます。
⑤緊急検査の結果確認後に、第2回目の検査は何を目的にどのタイミングで行うべきか、結果を正常値、異常値の場合に分けて考察していきます。
編者 三宅康史


総 論


■緊急検査を行う意味、避けることのできるリスク

  ・ERにおける身体所見―病歴聴取―緊急検査の関係
  ・確定診断へ早く到達する方法
  ・緊急検査の価値
  ・注意すべきピットフォール
  ・最後に


各 論


1 血糖

  1.高血糖
  2.低血糖
  3.血糖測定器

2 動脈血液ガス分析

  1.解釈の手順
  2.動脈血液ガス分析でほかに測定できるもの
  3.静脈血液ガス分析は実現可能か
  4.動脈血液ガス分析の解釈に必要な呼吸生理
  5.P/F比について
  6.A-aDO2について
  7.機械の設定について
  8.一酸化炭素(CO)について

3 電解質

  Ⅰ ナトリウム異常
   1.ナトリウムの異常と調節機構
   2.高ナトリウム血症
   3.低ナトリウム血症
  Ⅱ カリウム異常
   1.カリウムの異常と調節機構
   2.高カリウム血症
   3.低カリウム血症
  Ⅲ カルシウム異常
   1.カルシウムの異常と調節機構
   2.高カルシウム血症
   3.低カルシウム血症

4 BUN・Cre

  1.尿素窒素(BUN)とは?
  2.血清クレアチニン(Cre)とは?
  3.BUN/Cre比からわかること
  4.BUN/Creの解離と消化管出血
  5.Creと急性腎障害の重症度分類
  6.急性腎不全の鑑別診断指標

5 CRP・PCT・P-SEP

  Ⅰ CRP
   1.CRPとは
   2.CRPの解釈
  Ⅱ PCT
   1.PCTとは
   2.PCTの有用性
   3.臨床におけるPCTの有用性
  Ⅲ P-SEP
   1.P-SEPとは
   2.P-SEPの有用性

6 緊急凝固系検査

  1.実際の測定手順
  2.検査結果で何を考えるか
  3.次の一手
  4.POCT後、次のチェックはいつ行うか

7 SpO2

  1.測定原理
  2.測定方法
  3.モニターの基本
  4.ERでの実際の使用方法

8 ETCO2

  1.測定原理
  2.測定方法
  3.カプノグラムの基本波形
  4.ERでの実際の使用方法
  5.PETCO2異常の原因

9 心電図(Ⅱ誘導)

  1.注意点
  2.実際の測定手順
  3.不整脈の診断
  4.緊急治療が必要な不整脈

10 尿比重

  1.尿比重・尿浸透圧測定の意義
  2.尿比重と尿浸透圧の関係
  3.尿比重測定の実際
  4.尿濃縮の生理学
  5.異常がみられた場合の検査の進め方

11 尿一般定性

  1.尿一般定性検査の適応
  2.尿観察・尿一般定性(試験紙)検査の実際
  3.異常がみられた場合の考え方

12 心筋マーカー

  1.検査の意義
  2.測定により何がわかるか
  3.検査結果に応じて何を考えるか
  4.異常となるほかの疾患
  5.次の一手




13 BNP

  1.BNPおよびNT-proBNPとは
  2.実際の測定―どういうときに検査するか
  3.BNPとNT-proBNPの使い分け
  4.検査結果で何を考えるか
  5.異常となる疾患―測定結果に影響する因子
  6.検査結果を次にどう役立てるか

14 D-ダイマー/FDP

  1.凝固と線溶
  2.一次線溶と二次線溶
  3.D-ダイマーとFDP
  4.測定後の判断
  5.異常値を示す疾患
  6.偽陽性となる場合
  7.問題点
  8.Get the Knock

15 髄液一般

  1.目的
  2.実際の測定手順
  3.検査結果
  4.髄液検査の臨床への応用
  5.髄膜炎に対する治療の評価

16 感染症迅速診断(免疫学的手法)

  1.インフルエンザ
  2.A群β溶連菌感染症
  3.マイコプラズマ感染症
  4.レジオネラ肺炎
  5.肺炎球菌性肺炎

17 グラム染色・顕微鏡検査

  1.グラム染色・鏡検の適応となる患者
  2.グラム染色の方法
  3.鏡検のポイント
  4.グラム染色・鏡検の臨床への応用
  5.抗菌薬決定のその後
  6.グラム染色・鏡検の限界について

18 結核関連・抗酸菌検査

  1.救急外来で結核を想定する患者群
  2.抗酸菌検査の解釈について理解する
  3.結核である場合の対応について理解する

19 尿中薬物定性試験

  1.尿中薬物定性試験の意義
  2.尿中薬物定性試験の種類と特性―特にトライエージDOA
    について
  3.トライエージの測定原理、測定方法
  4.検査結果を解釈する際の注意点
  5.検査結果をどのように臨床に活かすか?
  6.POCT後の追加検査とその目的

20 HCG定性

  1.HCGとは?
  2.HCG検査の実際

21 血液型とRh

  1.血液型の測定方法
  2.輸血の手順
  3.危機的出血の際の緊急輸血
  4.大量輸血
  5.輸血の副作用・合併症

22 胸部X線写真

  1.撮影体位による見え方の違い
  2.重要な異常所見
  3.臨床症状と鑑別疾患
  4.胸部外傷

23 腹部超音波検査

  1.腹部救急診療における超音波検査の役割
  2.腹部救急疾患の超音波像

24 心臓超音波検査

  1.心臓超音波検査を行う前の準備
  2.救急の現場における心臓超音波検査の必要最小限の
    チェックポイント
  3.救急疾患別のチェックポイント

25 産科超音波検査(FASO含む)

  1.産褥期の出血への対応
  2.Focused assessment with sonography for obstetrics
    (FASO)
  3.産褥期の出血の原因
  4.FASOを行う手順と鑑別診断


Topics


・SMBG機器とPOCT対応機器について
・FGMシステムについて
・乳酸についての考え方(Advanced)
・FDPとD-ダイマーの違い
・SpO2測定時に陥りやすい代表的なピットフォール
・百聞は一見にしかず
・G式アンチバイオグラム
・IGRAについて
・抗酸菌塗抹検査と同定検査、感受性検査
救急用語事典 改訂第2版

個数:
救急用語事典 改訂第2版

[ 編集 ] 坂本哲也 畑中哲生
[ 発行年 ] 2017年4月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学、事典
[ 仕様 ] A5判 本文1,380頁
[ 定価 ] 本体 7,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-37-6
[ 主な内容 ]
●無比無二の“スタンダード救急事典”、充実した内容で改訂版が刊行。
●1,000項目を新たに加えた6,000語を収録。
●救急医療の現場に携わる医師、看護師、消防職員はもとより、救急医療を学ぶ学生諸氏にとっての机上の1冊、必携書!!



改訂第2版序文

 2013年7月に本書の第1版を上梓してから3年以上が過ぎた。この間、わが国では2016年の熊本県をはじめとした地震・豪雨・噴火などの自然災害、長野県のバス事故や富山県の広域火災などの人為災害、さらには相模原市での大量殺傷事件など、多数の傷病者を巻き込んだ悲惨な事件が発生した。世界に目を向ければエクアドルやイタリアの地震のほか、ヨーロッパや北米などで無差別テロが頻発するようになった。いずれも地域あるいは国としての救急医療体制の真価が試されるような事態であった。救急医療における学術面では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や敗血症、救急蘇生のガイドラインが改訂され、ITLSやJPTECTMでは止血や脊椎運動制限に関する考え方に多少の修正が加えられた。救急救命士が行う業務としてはショックに対する輸液や低血糖状態に対するブドウ糖の投与が特定行為として救急救命処置に追加され、これに関連して指導救命士を含めたメディカルコントロール体制の再整備が進められた。救急用語事典改訂第2版ではこれらの変化に対応できたものと自負している。
 改訂第2版では新たに約1,000の項目を追加して、総項目数を6,000余とした。また、必要と思われる部分については図やイラストを追加した。これらの多くは本来、第1版から存在して然るべきもので、編集者一同、汗顔の至りである。
 内容を一部修正・追加した項目は1,200を超えた。その多くは近年の定義や考え方の変化に対応したものであるが、中には誤字・誤植、説明上の不備、誤った記述などもあった。第1版の読者にはこの場を借りて陳謝する次第である。
 編集上で頭を悩ませたことの1つに項目のまとめ方がある。例えば改訂第2版で追加した「温覚」や「冷覚」はいずれも「⇨表在感覚」として、個々の項目に関する説明を1か所にまとめた。同様に、中毒に関する記述はすべて「中毒」にまとめてある。互いに関連する項目を1か所にまとめる手法はまさに両刃の剣である。「温覚」を調べたい読者は、この項目にたどり着いて「表在感覚」を参照させられることを知る。読者にとっては二度手間であろう。編集者としては、しかし、このことによってより深い理解が促されるものと期待している。本書の位置づけはあくまでも事典であって、辞典ではないからであるが、その是非については読者諸氏の判断を仰ぎたい。
 読者から頂いたお叱りの1つに「心膜炎」や「腎盂腎炎」が載っていないのは事典として不備ではないかというものがあった。このもっともな指摘を頂くに至った理由は「急性」という接頭語にある。上記の2項目について第1版では「急性心膜炎」「急性腎盂腎炎」として取り扱っていた。改訂第2版ではこのような不備を補う目的で、「⇨急性心膜炎」などのように、ほかの本文を参照させる項目として約500を追加した。別称や略号などについても参照項目をできるだけ追加することによって、本来の項目にたどり着けるようにしたつもりである。
 忙しい臨床業務の中で時間を割いてくださった著者の皆様、そして本書の内容について貴重な指摘・助言をくださった読者の皆様、第1版出版直後から改訂作業開始の命を下した髙山静氏、そして著者や編集者からの度重なる修正・追加の指示に顔を引きつらせながらも快く作業をこなしてくださった山本美惠子氏をはじめとするぱーそん書房の皆様に感謝する。
 ドクターカー・ドクターヘリの導入が進み、プレホスピタルを含めた救急業務がますます進化する中、そして東京オリンピックを控えて救急医療体制のさらなる整備が求められる時代にあって、本書が微力ながらも救急診療の一助となることを願う。
 2017年3月吉日
坂本哲也、畑中哲生

MCLS-CBRNEテキスト

個数:
MCLS-CBRNEテキスト
―CBRNE現場初期対応の考え方―

[ 監修 ] 一般社団法人日本集団災害医学会
[ 編集 ] 大友 康裕
[ 発行年 ] 2017年2月20日
[ 分類 ] 救急医学
[ 仕様 ] A4判 本文103頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-36-9
[ 主な内容 ]
●待望のMCLS-CBRNEテキストがついに刊行。
●CBRNE災害での現場活動の要点をわかりやすく解説。
●災害現場で活動する消防、警察職員必携の書。


発刊にあたって

 国際的緊張の高まりやイスラム過激派の活動などにより、海外ではテロが頻発している。わが国でも、国際的会議が頻回に実施され、さらに2020年オリンピック・パラリンピック開催などから、CBRNEテロ発生の蓋然性は決して低くない。こういった状況から、テロへの医療対応体制を確立することは喫緊の課題となっている。
 CBRNEテロ・災害では、通常の大規模交通事故による多数傷病者事案や地震などの自然災害とは異なる対応が求められる。消防、警察機関などの関係機関は特殊な検知・防護設備を用いた部隊を展開し、防護、除染、ゾーニングなどの現場対応を実施する。よって、CBRNE災害での現場活動の注意事項や多数の関係機関がどのような考えと方針に基づいて活動するのかを知ることは、良好な連携のために非常に重要である。通常、訓練を通して連携を深めるが、頻繁にCBRNE災害に関する実動訓練で実施することは困難である。そこで、幅広く関係機関が机上でシミュレーション演習をするMCLSの概念・手法を発展させ、CBRNE災害に特化したコースを厚生労働省科学「CBRNE事態における公衆衛生対応に関する研究」(以下、研究班)において開発した。試行コースでは、消防、警察、海上保安庁、自衛隊など関係する複数の機関から参加頂き、コースの内容に反映させた。なお、本コースはMCLSコースで学ぶ多数傷病者対応の概念をさらに発展させたものなので、MCLSのプロバイダーとしての知識・能力を土台として、その上乗せとして実施するものである。
 CBRNEとは、化学(chemical)・生物(biological)・放射性物質(radiological)・核物質(nuclear)・爆発物(explosive)を総称したもので、これらによって発生したテロ・災害をCBRNEテロ・災害と称する。ただし、政府等の公的機関では、依然として「NBCテロ・災害」という文言を使い続けていることから、本テキストでは、公的文書・体制に関する表現では、「NBC」を用いることとする。
 平成29年2月吉日
大友 康裕


目次


1 MCLS-CBRNEの基本的コンセプト


 1.わが国のCBRNE対応体制の課題
  1) CBRNE特殊災害に対する医療対応体制が、
    N・B・Cそれぞれ縦割り体制となっている
  2) テロ対応の初期には、テロと認識できないことの
    方が多い
  3) テロ対応は国民保護法に基づき、国が主体となって
    対応するとなっているが……
  4) 消防による現場除染体制整備の結果および
    水除染神話によって搬送開始が大幅に遅延する
 2.MCLS-CBRNEの基本的コンセプト
 3.MCLS-CBRNE現場対応の全体的な流れ

2 MCLSコースの復習


 1.MCLSコースのコンセプト
  1) MCLS標準コース学習目標
  2) MCLS標準コース受講対象
 2.コース教授内容
  1) 多数傷病者事故における災害現場医療対応の原則
  2) 最先着隊の活動要領
  3) 災害現場のマネジメント
  4) 傷病者救護部門の管理

3 CBRNE災害共通の対応(All hazard対応)


 1.特 徴
 2.出動要請のいろいろ
 3.どのようにしてCBRNE災害だと気づくか?
 4.指揮命令系統の確立
 5.安全の確保
  1) 検知
  2) エリア設定:ゾーニング;自分、現場の安全
  3) 救助者個人の安全;自分の安全
  4) 除染;傷病者、自分の安全
  5) 救助者の被ばく問題
 6.現場活動のための資機材
 7.初動時の活動指針

4 CBRNE災害現場活動


●1・検知・ゾーニング
 1.検 知
 2.ゾーニング
●2・防 護
 1.防護の原則
 2.防護に必要な知識
  1) 給気式呼吸用保護具とろ過式呼吸用保護具
  2) 吸収缶
  3) 防護服
 3.防護具のレベル
  1) レベルA
  2) レベルB
  3) レベルC
  4) レベルD
 4.ゾーニングと防護服
●3・除染前トリアージ
 1.除染前トリアージ
  1) 適宜数人に対し放射線測定を行う
  2) 重篤外傷の有無の判断
  3) 除染方法の判断
 2.除染前トリアージの現実的な対応手順
 3.放射線が検知された場合の対応
●4・除 染
 1.多数傷病者に対する除染
 2.より現実性を追求した除染方法の提案
 3.その他の除染法
 4.長時間の除染中に必要とされる医療行為
 5.除染準備
 6.除染手順
 7.放射線が検知された際の除染
 8.体内除染(放射性物質の場合)
●5・除染後トリアージ
 1.除染後トリアージエリアの装備・資器材
 2.除染後トリアージ
  1) 自力歩行可能な傷病者に対し「CBRNEによると
    考えられる症状」の有無を確認する
  2) 呼吸停止の傷病者であっても致死的外傷を
    認めなければ安易に黒としない




5 CBRNE災害種別特性


●1・C(化学剤:chemical agents)
 1.化学剤の特性
 2.曝露された化学剤の特定方法
  1) 患者の症侯(症状)から推定する(トキシドローム)
  2) 化学的検知
  3) 定性と定量
  4) 検知方法
  5) その他の注意事項
 3.傷病者に対する治療
 4.各 論
  1) 神経剤
  2) びらん剤
  3) 血液剤
  4) 窒息剤
  5) 催涙剤、その他
 5.重要事項
●2・B(生物剤:biological agents)
 1.生物剤の特性
 2.B災害・テロの特徴
  1) 原因物質について
  2) 発生様式(化学剤との比較)
  3) 検知について
  4) 散布方法
 3.生物剤の侵入経路および防護・予防方法
  1) 生物剤の侵入経路
  2) 病原体感染防護方法
  3) 発症防止方法
  4) CDCによる標準的感染制御法
   (Standard precautions for infection control)
 4.生物剤の除染
 5.生物剤曝露患者の医療対応
  1) 生物剤の推定
  2) 医療機関への搬送
  3) 未発症被害者への予防的治療
  4) 発症患者への治療
 6.生物剤各論
  1) 天然痘
  2) 炭疽菌
  3) ペスト
  4) 野兎病
  5) ボツリヌス毒素
  6) ウイルス性出血熱
  7) リシン
  8) ブドウ球菌エンテロトキシンB
  9) トリコセシン真菌毒素(T2)
●3・R(放射性物質:radiological)/N(核物質:nuclear)
 1.R/Nの特性(核・放射線災害はどこでも起こりうる)
 2.放射線基礎知識
  1) 放射線とは
  2) 放射線と放射能、放射性物質およびその単位
  3) 被ばくと汚染
  4) 放射線の測定
  5) 放射線の人体影響
  6) 放射線防護
 3.放射線災害への対応
  1) スイッチ&こりゃ変だ(事象の認知)
  2) 指揮
  3) 安全(検知、ゾーニング、3S&個人防護、除染、
    トリアージ)
 4.まとめ
●4・E(爆発物:explosive)
 1.爆発の特性
 2.爆発のメカニズム
 3.爆発により生じる損傷
  1) 一次爆傷:爆発の衝撃により生じる損傷
  2) 二次爆傷:飛翔物により生じる損傷
  3) 三次爆傷:爆発により吹き飛ばされた結果により
    生じる損傷
  4) 四次爆傷:一~三次爆傷以外の爆発に関連した損傷
 4.爆傷対応の留意点
  1) 救護者の安全
  2) START法でのトリアージ
  3) PAT法でのトリアージ
  4) 参考:その後の処置

View point Advanced クライムシーンでの活動


Ⅰ・クライムシーン、特にクリティカル・インシデントに
  おける医療対応の概要
 1.事案運用について
 2.クライムシーンにおける医療・救護の3つのフェーズ
 3.事態対処医療現場での傷病者評価と処置
 4.クライムシーンでの医療対応の特異点について
Ⅱ・クライムシーンがCBRNE現場であった場合の事態対処医療
 1.交戦中であれば、そのエリアは法執行機関に委ねなければ
   ならない
 2.制圧を確認後、あるいは交戦/事態対処現場と一線を画した
   エリアで、関係機関はCBRNEの手順を開始する
 3.犯罪捜査の観点から現場の保全、証拠物質の確保、現場に
   いた人のID確認が必要
必携 救急観察処置スキルマニュアル

個数:
必携 救急観察処置スキルマニュアル

[ 著 ] 安田 康晴
[ 発行年 ] 2017年2月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A4判・191頁
[ 定価 ] 本体3,500円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-35-2
[ 主な内容 ]
●救急教育課程で学ぶ手技習得のための必携テキスト。
●若手隊員の指導に最適!!
●手技確認のためのチェックシートで再確認を。


はじめに

 平成3年に救急救命士制度が発足し、その後平成15年に救急救命士による包括的指示下での除細動の実施が可能となり、平成16年には気管挿管、平成18年には薬剤投与(アドレナリン)が、そして平成26年には心肺機能停止前の重度傷病者に対する輸液と低血糖に対するブドウ糖溶液の投与が可能となった。救急救命士制度発足から20年を経て救急救命士の処置範囲は大きく拡大し、処置を行う救急救命士の責任もますます重くなっている。
 近年、救急救命士の処置範囲の拡大がクローズアップされ、教育施設や地域、メディカルコントロール協議会での訓練や講習は特定行為に主眼が置かれている印象をもつ。しかし、救急現場活動でこれらの特定行為を実施する症例の割合は少ない。特定行為の訓練をないがしろにする気持ちはないが、特定行為の手技はそれ以前に行われる基本的手技の上に成り立つことは言うまでもない。
 本書は救急教育課程での手技の習得のため、また救急課程を修了し現場で活動している救急救命士(救急隊員)が救急教育課程で学んだ手技を再度確認するためにチェックシートを付して作成した。救急救命士や消防学校などの教育施設では、教員(教官)と学生が手技を共有し修得して頂きたい。また、現場活動している救急救命士(救急隊員)は、署内での救急訓練で再度、自身の手技の確認や若手隊員の指導に本書を活用して頂きたい。
 本書の内容は救急救命士標準テキストや救急隊員標準テキストに準拠して作成してはいるが、教育施設や所属、あるいはメディカルコントロール協議会での活動基準すべてを網羅したものではない。そのため、表現方法や手順などに多少の齟齬が生じていることも予想されるが、「こうしなければならない=must」という記載とはしていないので、教育施設や地域によって大いに修正し活用して頂ければ幸いである。また、表現方法や手順についての疑問や修正、また追加してほしい項目があれば、今後の改訂の参考のためご連絡頂きたい。
 本書で救急現場活動での手技が向上し、傷病者救護の一助となれば幸いである。
 平成29年1月吉日
広島国際大学保健医療学部
医療技術学科救急救命学専攻
教授 安田 康晴




目次


1.感染防止


  1・手洗いスキル
  2・手袋外しスキル
  3・サージカルマスク装着スキル
  4・N95マスク装着スキル

2.観察1


  1・状況評価スキル
  2・意識観察スキル
  3・呼吸・脈拍観察スキル
  4・初期評価スキル
  5・聴診・触診・打診スキル
  6・瞳孔・体温観察スキル
  7・運動機能観察スキル
  8・外傷初期評価スキル
  9・外傷全身観察スキル

3.観察2


  1・血圧測定スキル
  2・血中酸素飽和度測定スキル
  3・心電図測定スキル
  4・血糖測定スキル

4.処置


【1】気道管理
  1・用手による開口スキル
  2・器具による開口スキル
  3・指拭・吸引スキル
  4・頭部後屈顎先挙上スキル
  5・下顎挙上スキル
  6・トリプルエアウエイマニューバースキル
  7・経口(口咽頭)エアウエイスキル
  8・経鼻エアウエイスキル
  9・喉頭鏡・マギール鉗子による異物除去スキル
【2】酸素投与
  1・リザーバーバッグ付きマスクスキル
  2・ベンチュリー型マスクスキル
  3・鼻カニューレスキル
  4・酸素ボンベ交換スキル
【3】人工呼吸・補助換気
  1・ポケットマスクスキル
  2・バッグ・バルブ・マスク(成人)スキル
  3・バッグ・バルブ・マスク(小児・乳児)スキル
  4・永久気管孔・気管切開孔スキル
【4】循環管理
  1・胸骨圧迫(成人)スキル
  2・胸骨圧迫(小児・乳児)スキル
  3・除細動スキル
  4・エピペンスキル
  5・エピペントレーナーの使い方スキル



【5】外傷

  ➊創傷処置

  1・たたみ三角巾スキル
  2・被覆スキル1
  3・被覆スキル2
  4・被覆スキル3
  5・止血スキル
  6・外傷創処置スキル

  ➋固定処置

  1・固定(梯状副子)スキル
  2・牽引固定スキル
  3・固定(陰圧副子)スキル
  4・頸椎カラースキル
  5・ログロール(仰臥位)スキル
  6・ログロール(腹臥位)スキル
  7・バックボード固定(立位)スキル
  8・全身固定スキル
  9・スクープストレッチャー固定スキル
【6】分娩介助
  1・分娩介助スキル

5.特定行為


【1】器具による気道確保
  1・i-gelスキル
  2・コンビチューブ(ツーウェイチューブ)スキル
  3・ラリンゲルチューブスキル
  4・ラリンゲアルマスクスキル
  5・気管挿管スキル
  6・ビデオ喉頭鏡による気管挿管スキル
  7・気管吸引スキル
【2】静脈路確保
  1・輸液回路準備スキル
  2・静脈路確保スキル
【3】薬剤投与
  1・アドレナリン投与スキル
  2・ブドウ糖投与スキル

6.体位管理・搬送


  1・体位管理スキル
  2・徒手搬送スキル1
  3・徒手搬送スキル2
  4・徒手搬送スキル3
  5・ストレッチャーの上げ下げスキル
  6・車外救出(用手)スキル
  7・車外救出(毛布)スキル
  8・車外救出(KED)スキル
  9・ヘルメット外しスキル
続POTファシリテーター養成マニュアル

個数:
続POTファシリテーター養成マニュアル

[ 著 ] 南 浩一郎
[ 発行年 ] 2016年11月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A4判・98頁
[ 定価 ] 本体3,500円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-34-5
[ 主な内容 ]
●傷病者観察のトレーニングに最適!!
●救急振興財団救急救命東京研修所の南先生らが中心となって進めているPOT講義のファシリテーター養成マニュアルの続編。
●講義の進行役として参加者の意見交換を促し、相互理解が得られるための指南書として、具体的にわかりやすく解説している。


はじめに

 現在までの救急救命士(救命士)の職務は、心肺蘇生法の質の維持と、心肺機能停止傷病者の救命率の向上に重点がおかれていたが、現在、心肺機能停止前の医療行為および応急処置を含む救急業務に救命士の能力を活用する流れに変化しつつある。その中で、どのように理学的所見の観察の仕方や思考の仕方などを教育していくのかが議論されてきた。
 POTは約4年前から救命士の観察能力の向上を目的に心肺停止前トレーニングとして開発され、今まで普及が図られてきた。今日では多くの地域でこれを参考に生涯教育が行われている。
 前書『POTファシリテーター養成マニュアル』は、POTの教育技術を多くの救命士の方に学んでもらおうと平成27年12月に刊行された。ありがたいことに多くの方に活用して頂いている。しかし、前書ではPOTの講義症例全体の前半部分しかなかったために、後半の症例も必要との声を頂いていた。この『続POTファシリテーター養成マニュアル』は前書の続編としてつくられたものである。
 心肺機能停止前における特定行為の適否を判断するには、心肺機能停止の判断以上に高度な医学的知識・ 技術に基づいた初期観察・全身観察が必要となる。現在は、心肺機能停止を予防するための応急処置・医療行為こそ、今後の救急救命士制度発展の鍵になると考えられている。
 本書を参考に、各消防本部で自分たちの力でPOTを開催してほしい。また、この手法は救急隊でのOJTや想定訓練(シナリオトレーニング)にも活用できる。本書を日々の訓練や臨床に活用し、観察能力を伸ばし疾患の知識を深めてほしい。
 また、『POTファシリテーター養成マニュアル』『続POTファシリテーター養成マニュアル』は救命士のみならず、救急に携わる看護師や研修医のケーススタディにも十分活用可能である。ぜひ、幅広い医療従事者に勉強会などの資料としてご活用頂き、理学的所見を用いた救急での診断、観察能力を養って頂ければ幸いである。
 平成28年10月吉日
南 浩一郎


あとがき

 POTが開発されてから4年が経過して、毎年15~20回を超える講義が全国各地 で開催されるようになってきました。また、各地ではこれをアレンジした方法で 地域に合ったPOTが開催されてきており、最初は手探りで始めたものが、救急救 命士の生涯教育の1手法として確立してきた感があります。これも、多くの救急 救命士、医療関係者の皆様のご指導、ご鞭撻の賜物と御礼申し上げます。
 この『続POTファシリテーター養成マニュアル』と前書『POTファシリテーター 養成マニュアル』の発刊にあたり、貴重な写真をご提供くださったり、編集にご 協力頂きましたすべての方々に心から御礼申し上げます。おわりに、ぱーそん書 房の山本様、レールダルジャパンの皆様方には格別のお力添えを賜わり深甚の敬 意と謝意を表します。
 平成28年10月吉日
南 浩一郎


目次

POTとは何か
POTにおけるファシリテーターとは
POTの講義の進め方
会場の設営
講義資料の準備
POTの構成
POTでの症例提示の方法
症例提示のポイント
プレゼンテーションのやり方
プレゼンテーションの評価
ディスカッションのやり方
講義のやり方



  症例20 出血性ショック
  症例21 敗血症性ショック
  症例22 敗血症性ショック
  症例23 高血糖1.糖尿病性ケトアシドーシス
  症例24 高血糖2.非ケトン性高浸透圧性昏睡
  症例25 低血糖発作
  症例26 甲状腺機能亢進症(甲状腺クリーゼ)
  症例27 副腎皮質機能低下症(急性副腎不全)
  症例28 敗血症性ショック
  症例29 腎性心不全、心不全、肺水腫
  症例30 透析患者、肺水腫、腎性高カリウム血症
  症例31 急性腎不全
  症例32 頻拍性不整脈
  症例33 徐脈性不整脈
  症例34 致死性不整脈(Brugada症候群)
  症例35 偶発性低体温症
  症例36 熱中症
  症例37 アナフィラキシーショック
  症例38 神経原性ショック(脊髄損傷)
  症例39 溺水

必携 救急資器材マニュアル

個数:
必携 救急資器材マニュアル

[ 編集 ] 安田康晴
[ 発行年 ] 2015年12月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A5判・120頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-31-4
[ 主な内容 ]
●救急資器材について最低限知っておくべき内容をわかりやすくまとめたマニュアル本。
●現場活動ではもとより、救急養成の教育現場のサブテキストとして最適!!



はじめに

 リスクマネジメントとは、一般的に「事故を未然に防ぐことや発生した事故を速やかに処理することによって、組織の損害を最少にくい止める」ことと位置づけられている。
 救急現場活動において、救急隊員自らが使用する救急資器材の管理や取り扱いの不備によって、事故を起こしてはならない。救急資器材には必ず添付文書が添えられ管理や取り扱いについての注意事項が記載されており、その内容を熟知したうえで使用することがリスクを防ぐうえで必要であるが、記載された内容は膨大かつ詳細過ぎて、十分理解されないまま使用されていることが推測される。また、所属によっては、資器材管理部署が一括して添付文書を保存し、使用する救急隊まで周知されていないこともある。
 本書は救急資器材について、最低限知っておくべき使用方法と注意事項、やってはならない事項を抽出し、さらに救急現場活動の豊富な救急救命士の使用経験を踏まえ、注意事項も追加した。
 現場活動を行っている救急隊員や救急救命士養成の教育現場で、自分たちの「商売道具」である救急資器材の正しい取り扱いと管理について、今一度見直すことによって、トラブルを回避し、円滑な救急現場活動が行えるものと信じている。
 平成27年11月吉日
広島国際大学保健医療学部救急救命学専攻
教授 安田 康晴


目次


Ⅰ.観察資器材


  1・聴診器
  2・聴診器
  3・パルスオキシメータ
  4・カプノメーター
  5・アネロイド血圧計
  6・電子血圧計
  7・耳式体温計
  8・腋窩電子体温計
  9・ペンライト
  10・血糖測定器
  11・血糖測定器
  12・血糖測定器

Ⅱ.処置資器材


■【1】 気道管理資器材

  1・開口器(エスマルヒ式)
  2・開口器(コラン式・ハイステル式)
  3・バイトブロック
  4・口腔エアウェイ
  5・経鼻エアウェイ
  6・手動式吸引器
  7・手動式吸引器
  8・手動式吸引器
  9・新生児用吸引カテーテル
  10・電動吸引器
  11・携帯用電動吸引器
  12・携帯用電動吸引器
  13・吸引用カテーテル(テーパー型)
  14・吸引用カテーテル(ヤンカー型)
  15・喉頭鏡
  16・マギール鉗子
  17・コンビチューブ
  18・ラリンゲアルマスク
  19・ラリンゲアルチューブ
  20・i-gel
  21・気管内チューブ
  22・スタイレット
  23・食道挿管検知器(EDD)
  24・ポジチューブ
  25・呼気終末期炭酸ガス検知器(イージーキャップ)
  26・呼気ガスディテクタ
  27・チューブホルダー
  28・ビデオ硬性喉頭鏡
  29・潤滑剤

■【2】 呼吸管理資器材

  1・酸素ボンベ
  2・医療用圧力調整器(酸素用)
  3・酸素吸入装置
  4・ソフト鼻腔カニューラ
  5・マルチベントマスク
  6・中濃度用酸素マスク
  7・高濃度用酸素マスク
  8・ポケットマスク
  9・バッグ・バルブ・マスク
  10・バッグ・バルブ・マスク
  11・携帯用人工蘇生器
  12・携帯用人工蘇生器
  13・人工呼吸器




■【3】 循環管理資器材

  1・心肺蘇生用背板
  2・ショックパンツ
  3・自動心臓マッサージ器
  4・心肺人工蘇生器
  5・半自動除細動器
  6・半自動除細動器
  7・半自動除細動器
  8・一時使用ペーシング機能付き除細動器

■【4】 外傷処置資器材

  1・ハイテクバックボード
  2・スクープストレッチャー
  3・バキュームスプリント(部分固定用)
  4・バキュームスプリント(全身用)
  5・副子
  6・梯状副子
  7・牽引副子
  8・頸椎カラー
  9・KED

■【5】 感染防護具

  1・手袋
  2・サージカルマスク
  3・N95マスク
  4・感染防止衣
  5・ゴーグル

■【6】 輸液・静脈路確保

  1・輸液製剤(乳酸リンゲル液)
  2・輸液セット
  3・駆血帯(井の内式)
  4・静脈留置針
  5・針廃棄容器
  6・静脈可視化装置


Ⅲ.搬送資器材


1・メインストレッチャー
2・メインストレッチャー
3・メインストレッチャー
4・サブストレッチャー
5・サブストレッチャー
6・バスケット型ストレッチャー
病院前 精神科救急 55事例から学ぶ対応テキスト

個数:
病院前 精神科救急 55事例から学ぶ対応テキスト

[ 著 ] 市村 篤
[ 発行年 ] 2015年12月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学 精神科
[ 仕様 ] A4判・134頁
[ 定価 ] 本体2,500円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-30-7
[ 主な内容 ]
●救急現場の目線で捉えた精神科救急テキスト。
●救急隊員が現場で苦慮するのが精神科救急対応である。こうした悩ましい傷病者への対応の原則を、55の事例で提示。
●傷病者のためにも救急隊員自身のためにも精読したい必携書!!


序文

 筆者が東海大学救命救急センターに常駐する精神科医として勤務したのは平成7(1995)年であった。途中で職場を離れた時期もあったが、救命救急センターとはもう20年ものつきあいになる。それまでは、救命救急センターで精神症状を呈する患者の対応をしたこともあったが、多くの時間は精神科病院に勤務して精神疾患の診療を行う普通の精神科医であった。
 救命救急センターに勤務して、さまざまなことに気づかされた。精神科医療の枠の中だけにとどまっていては、到底わからなかったであろうことだ。そのお陰で、救急医学の立場から精神医学を考えることができた。
 まず、自殺企図者が連日搬送されてくることを知った。しかも、その手段の多くは精神科医の処方した薬であること。身体治療が終了して帰宅しても、また同様に精神科医の処方した薬を過量服薬し、リピーターとして搬送されることが多いこと。患者が自殺企図で入院しても、主治医の精神科医が救命救急センターを訪れたことがないことを知った。
 また、身体科救急と精神科救急とは別のシステムで運営されており、夜間・休日の精神科救急がほとんど機能していないこともわかった。本来、精神科救急で扱われるべき事例も、救急医たちが、患者のため、救急隊のために受け入れていることもわかった。
 救急現場は他の一般的な診療科に比べて、救急医と救急隊員のつながりが強く、救急隊員のプレホスピタルケアなしには、患者を救えないことも知った。救急医や看護師、検査技師、ケースワーカー、救急隊員による多職種連携によって、救急医療が行われていることを知ったのである。
 これらのことは、救急施設に常駐しなくては、一生知らぬままに終わったであろう。
 精神科医が身体科医とチーム医療を行うための精神医学的対応を体系化した、リエゾン・コンサルテーション精神医学と呼ばれるジャンルがある。近年、救命救急センターに精神科医が積極的にかかわって、リエゾン・コンサルテーション精神医学が行われるようになってきた。しかし、こうした精神科医は全体の一部であり、精神科医不在の救急施設も多い。日本臨床救急医学会では、PEEC(Psychiatric Evaluation in Emergency Care)と呼称される、精神科医のいない状況を想定した、救急外来や救急病棟・救命救急センターの医療スタッフを対象に、精神症状を呈する患者にとって、安全で安心な“標準的”初期診療ができるための教育コースを開発している。
 しかしわが国では、主に病院に来院または入院した患者への対応に関する書物はあるが、病院前の精神科的対応については、救急救命士や救急隊員のための教科書に少し記載されているのみである。救急現場で精神症状を呈する傷病者に苦慮している救急隊員のための、救急隊員に特化した実践的なテキストがないので、今回、筆者の経験をもとに、そのテキストに挑んでみたわけである。
 今まで筆者を成長させてくれた、救急隊員に対する御恩返しのつもりで執筆した。
 この場を借りて、推薦文を書いてくださった畑中先生・安田先生、そしてぱーそん書房の編集部の皆様に御礼を申し上げます。
 平成27年11月吉日
市村 篤


目次


■第Ⅰ章 総 論


1.精神障害と精神病の定義
2.精神障害の分類と治療
3.精神障害の観察と判断
4.重症度・緊急度の判断
5.精神疾患と身体疾患の意識障害について
6.精神科救急傷病者対応時の一般的留意点
7.精神科救急について
8.精神科救急に関連する法律
9.精神保健福祉法について
10.精神保健福祉法による入院形態
11.救急搬送の一連の流れ
12.病院選定の原則
13.精神科救急の現状
14.精神科救急の運営について
15.傷病者への具体的対応法
16.家族への対応
17.搬送先(身体科)医師への対応
18.搬送先(精神科)医師への対応
19.MC(メディカルコントロール)医師への相談
20.警察官への対応
21.一般市民に対する啓発




■第Ⅱ章 各 論


1 気分障害(双極性障害、単極性障害)(症例1)
2 中毒性精神病(症例2~7)
3 統合失調症(症例8~12)
4 認知症(症例13、14)
5 身体表現性障害(症例15、16)
6 解離性(転換性)障害(症例17)
7 器質性精神病(症例18)
8 症状精神病(症例19、20)
9 神経症性障害(症例21)
10 パニック障害(症例22)
11 急性ストレス障害(症例23)
12 心的外傷後ストレス障害(症例24)
13 適応障害(症例25)
14 精神遅滞(症例26、27)
15 発達障害(自閉症スペクトラム障害)(症例28)
16 ADHD(注意欠如・多動性障害)(症例29)
17 パーソナリティ障害(症例30)
18 てんかん性精神病(症例31)
19 自殺企図(症例32)
20 リストカット(症例33)
21 せん妄状態(症例34~36)
22 興奮状態(症例37)
23 昏迷状態(症例38、39)
24 不眠(症例40)
25 不安(症例41)
26 パニック発作(症例42)
27 過換気発作(症例43、44)
28 解離(転換)症状(症例45)
29 酩酊状態(症例46、47)
30 幻覚・妄想状態(症例48、49)8
31 うつ状態(症例50)
32 躁状態(症例51)
33 診療拒否(症例52、53)
34 不搬送事例(症例54、55)
病院前 周産期救急実践テキスト

個数:
病院前 周産期救急実践テキスト

[ 著 ] 高橋文成
[ 発行年 ] 2015年12月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学 産婦人科
[ 仕様 ] A4判・81頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-29-1
[ 主な内容 ]
●母体搬送に必要なエキスが満載!!
●病院前周産期救急の基本を簡潔にまとめた解説書。
●さまざまな場面を想定した10個のケースを提示。
●母体急変対応の基礎が学べる必携書!!。


発行にあたって

 救急救命士、救急隊員の皆さんは、日々大変な思いをしながら現場活動をされていることと思います。
 交通事故による多発性外傷に対応したり、火災現場での救急救命活動であったり、災害現場での救助活動であったり。
 どのような場所であっても、どのような人であっても、また、どのような年齢層であっても適切な判断と対応が要求される大変な仕事だと思います。
 傷病者の搬送を速やかに適切にするためには、重症度と緊急度の判断を適切に行い、適切な処置を行うことが要求されています。心肺機能停止、意識障害、呼吸困難、腹痛、外傷、熱傷、溺水など、ケースにより要求される内容は異なると思います。
 さまざまなケースの傷病者の搬送がある中、周産期救急は病院前救急での対応がわかりづらい領域かと思います。
 何よりも母体と新生児(胎児)2人の傷病者の対応を1回の活動で行わなければならないということが特殊だと思います。
 今回紹介した京都産婦人科救急診療研究会の「京都プロトコール」の中では、「急変の感知」の中で救急救命士に関する記載があります。このプロトコールの中で記載されているということは素晴らしいことだと思います。
 本書では、まず初めに女性に関する話を書いています。直接救急救命には関係のない内容かも知れませんが、知っておくとよいことを中心にまとめました。
 その後、周産期救急救命総論の中で京都プロトコールを紹介しています。この内容は目の前で急変しつつある母体を、高度医療機関に搬送するまでの間に、その場にいるメンバーが行うべき救命処置に関するアルゴリズムです。この中で周産期救急救命の基本を理解できると思います。
 また基本的に理解しておいてもらいたい疾患(病態)をケーススタディとして10ケース挙げています。ここで具体的な内容を各論として理解してもらえると思います。
 周産期領域の救急現場学を習得するには、教科書の勉強も大事ですが、可能であれば分娩に関する研修実習や、新生児蘇生法に関する講習会などに積極的に参加することをお勧めします。
 ただ、救急救命士を対象にした実習や講習会が少ないことも事実です。定期的に、実習や講習会を受講できるような社会的な環境整備を行うことも重要なことだと考えます。
 この本が皆さんにとって、どのくらい役に立つのかはわかりませんが、周産期救急救命の総論や各ケーススタディをしっかりと読んで頂ければ、妊産婦の傷病者搬送にあたっても、少しはドキドキを緩和できると信じています。
 最後に「京都プロトコール」の引用に関してご快諾を賜わった、京都府産婦人科医会理事・京都産婦人科救急診療研究会幹事・ハシイ産婦人科院長の橋井康二先生に改めて深謝致します。
 平成27年11月吉日
高橋 文成


目次


Ⅰ・総 論


1.はじめに
2.女性のからだ
3.月経とは

  1.「搬送時に聞いておきたい内容(問診)」について

4.妊娠

  1.妊娠による母体の変化、胎児の発育
  2.妊娠に関連する疾患について
  3.未受診妊婦について

5.高齢妊娠について

  1.合併症妊娠について

6.分娩に関して
7.母体搬送に関して

Ⅱ・周産期救急


1.搬送時の母体急変のサインとは
2.バイタルサインのおさらい
3.妊婦の急変対応(病院内では)
4.急変対応の心肺蘇生
5.死戦期帝王切開

Ⅲ・ケーススタディ


1.妊娠初期に出血をきたしたケース

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  病院到着時
  院内で行われた処置
  ●解説 流産

2.切迫早産治療中患者が子宮収縮抑制不能となったケース

  傷病者情報
  現場(病院)到着時
  救急車内
  高度医療機関到着時  
  高度医療機関で行われた処置
  ●解説 切迫早産

3.正常分娩後に出血が増加し、全身状態悪化のため母体搬送と
  なったケース

  ●解説 弛緩出血
  このケースでの搬送に際して行うべきこと
  搬送中の急変サイン(例外もあるため参考値)
  弛緩出血について
  産婦人科領域の救急救命処置の範囲について
  子宮輪状マッサージ

4.胎盤娩出直後に腹部激痛および大量出血を引き起こしたケース

  ●解説 子宮内反症
  救急車に乗った後にモニタリングする項目
  このケースで搬送に際して行うべきこと
  搬送中の急変サイン
  子宮内反症について




5.未受診妊婦が自宅で性器出血をきたし搬送となったケース

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  高度医療機関到着時  
  高度医療機関で行われた処置とその後
  ●解説 前置胎盤
  未受診妊婦について

6.常位胎盤早期剥離のケース

  陣痛室
  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  高度医療機関到着時
  高度医療機関で行われた処置
  ●解説 常位胎盤早期剥離

7.けいれんと意識障害を起こした妊婦

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内での母体管理のポイント
  ●解説 妊娠高血圧症候群・子癇
  妊娠中の頭痛、けいれん、意識障害を起こすもの

8.破水妊婦が分娩進行とともに呼吸苦を訴えたケース

  「入院後個室」午後12時30分
  「陣痛室」午後12時50分
  午後12時55分
  傷病者情報
  13時00分
  現場到着時
  救急車内で行われた処置
  ●解説 羊水塞栓症

9.精神疾患合併妊娠について

  症例
  ●解説 精神疾患合併妊娠

10.車内分娩のケース

  傷病者情報
  現場到着時
  救急車内
  今回のケースの児の状態
  産婦人科領域で可能な処置
  一連の流れ
  胎盤の処置  
  新生児の蘇生(口腔内吸引、酸素投与、保温)
  アプガースコア
  ●参考 酸素投与
  ●まとめ

POTファシリテーター養成マニュアル

個数:
POTファシリテーター養成マニュアル

[ 著 ] 南 浩一郎
[ 発行年 ] 2015年12月1日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A4判・96頁
[ 定価 ] 本体3,500円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-28-4
[ 主な内容 ]
●傷病者観察のトレーニングに最適!!
●救急振興財団救急救命東京研修所の南先生らが中心となって進めているPOT講義のファシリテーター養成マニュアル。
●講義の進行役として参加者の意見交換を促し、相互理解が得られるための指南書として、具体的にわかりやすく解説している。


はじめに

 現在までの救急救命士(救命士)の職務は、心肺蘇生法の質の維持と、心肺機能停止傷病者の救命率の向上に重点がおかれていた。そのため、多くの研修機関では心臓機能停止後の特定行為の習得に多くの時間が割かれていた。包括的除細動を含む特定行為等の業務拡大・高度化も専ら心肺機能停止後の措置に関するもので、現在、心肺機能停止前の医療行為および応急処置を含む救急業務には、空白地帯というべき停滞が生じている。
 本来ならば、心肺機能停止を防ぐための医療行為こそ院外救急業務の本質である。2011年から救急救命士の処置範囲に係る研究による吸入βアドレナリン受容体刺激薬、静脈路確保、ブドウ糖投与の3項目からなる心肺機能停止前における業務拡大の実証研究が開始されたが、これは救命士が病態把握を行うことが、今後の活動の中で極めて重要であるということを示すことになった。
 心肺機能停止前における特定行為の可否を判断するには、心肺機能停止の判断以上に高度な医学的知識・ 技術に基づいた初期観察・全身観察が必要となるからである。これは、心肺機能停止前における特定行為と並んで、今後20年の救急救命士の在り方を方向づける、重要なブレークスルーとなる可能性がある。現在、心肺機能停止を予防するための応急処置・医療行為こそ、今後の救急救命士制度発展の鍵になると考えられている。
南 浩一郎


目次

POTとは何か
POTにおけるファシリテーターとは
POTの講義の進め方
会場の設営
講義資料の準備
POTの構成
POTでの症例提示の方法
症例提示のポイント
プレゼンテーションのやり方
プレゼンテーションの評価
ディスカッションのやり方
講義のやり方



  症例 1 乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全症
  症例 2 急性心筋梗塞(左冠状動脈)
  症例 3 亜急性細菌性心内膜炎による敗血症性ショック
  症例 4 急性心筋梗塞(右冠状動脈)
  症例 5 急性心筋梗塞(左冠状動脈)
  症例 6 僧帽弁閉鎖不全症
  症例 7 大動脈解離・心タンポナーデ
  症例 8 髄膜炎
  症例 9 くも膜下出血
  症例10 脳出血
  症例11 脳梗塞
  症例12 脳ヘルニア
  症例13 喘息
  症例14 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  症例15 気胸
  症例16 窒息(上気道閉塞)
  症例17 緊張性気胸
  症例18 肺炎
  症例19 肺血栓塞栓症

ERドクター便利帳 輸液再確認!!

個数:
ERドクター便利帳
輸液再確認!!

[ 編集 ] 三宅康史
[ 発行年 ] 2015年10月5日
[ 分類 ] 輸液 救命・救急医学
[ 仕様 ] 新書判・305頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-25-3
[ 主な内容 ]
●若手医師・初期研修医・ERナースのための、ポケットサイズの輸液実践本。
●簡潔な文章で輸液の基礎を集約。あやふやに覚えていたことを、何度も読んでぐらつかない知識に!
●どこから読んでもすぐに役立つ便利帳。どこをみて、何を考え、何をもとに輸液を決定していくのか、その過程とスキームが学べる必携書。


緒言

 この度、ぱーそん書房から、若手の救急医、初期研修医の先生方や救急外来・救命救急センターの看護師の皆さんに、現場でササッと使ってもらうポケットサイズの輸液実践本を上梓致しました。
 まずは、聞き慣れない“ぱーそん書房”ですが、代表の山本さんが平成24年6月に永井書店から独立し設立した出版社です。歴史は浅いですが、結構、救急関連の出版物があります。皆さんも手に取ったことがあるかも知れません。また、本書の「便利帳」という呼称については、特に山本さんのこだわりがあるようです。今回の企画を契機にシリーズ化されるのか!? それも本書の売れ行き次第といったところでしょうか…。
 輸液が予後を左右するような症例があるとすれば、それは経口摂取ができず、必要なものすべてを輸液に頼らざるを得ないような症例です。実のところ、軽症の患者さんでは輸液の内容や投与量を間違えても、患者さん自身の腎機能やホルモンの働き、必要なものをなんとか口から摂りながら、自身のもつ回復力でなんとか治っていってくれます。そのため、受け持った症例に輸液を行う場合、始める前はもちろん、輸液の最中、そして終了後に、今回行った輸液の功罪を評価していって頂きたいのです。その輸液がどのくらい効果を上げたのか、むしろharmfulなことをしていなかったか、常に反芻しながら、その経験を次の症例の糧として頂きたいと思います。
 レベルや必要度に合わせて、どこから読んでもすぐに役立つ便利帳です。ぼろぼろになるまで使って頂ければ、この本の企画・編集・執筆にかかわった1人としてこれに過ぐる喜びはありません。
 平成27年9月吉日
三宅 康史


目次


最初に読む! 基本初期輸液


1 輸液を始める前に読んでほしい!
  体内の水と電解質の生理学

  Ⅰ 輸液はどこに入っていくのか?
  Ⅱ それでは、血管内(血液or血漿)と間質(組織間)を分けて
    いるのは?
  Ⅲ それでは、細胞内と細胞外を分ける細胞膜の役割は?
  Ⅳ このような定常状態を保つために、毎日われわれ
    人間はどこで水や電解質を失い、それらをどこから
    補充(または再利用)しているのだろうか?

2 基本初期輸液:まず何をつなぐか

  Ⅰ そうなると脱水、体液喪失、それぞれにどのような
    輸液が最適なのであろうか?
  Ⅱ 輸液は脱水補正用の5%ブドウ糖液と、体液喪失
    補正用の細胞外液補充液の2種類だけで足りる?
  Ⅲ 初期輸液とは別に、水、電解質、エネルギーの1日
    必要量(維持量)は実際はどれぐらいになるのか?
  Ⅳ これ以外にもたくさん輸液の種類が輸液・栄養製品
    組成早見表に記載されているが、これらは何?

3 救急専門医の初期輸液

  Ⅰ 何を根拠に輸液戦略を立てるか
   1.水電解質の補給→細胞外液でまず間違いなし
   2.栄養の補給→ブドウ糖だが、まず必要ない
   3.血管の確保→細胞外液でまず間違いなし
   4.病態の治療
  Ⅱ 主訴、現病歴と身体所見から考える輸液戦略
  Ⅲ バイタルサインの回復を目的とする、いわゆる蘇生
    輸液

4 腎臓内科医の初期輸液

  Ⅰ 何を指標に、何を見極めて輸液計画を立てるのか
    (初療患者を通して原則的に)
   1.救急外来における輸液療法の目的
   2.輸液療法の種類
   3.体液量の評価
   4.救急外来での適切な初期輸液
  Ⅱ 水分バランス、電解質、浸透圧、酸塩基平衡異常と
    その補正
   1.酸塩基平衡の異常
   2.ナトリウム代謝異常
   3.カリウム代謝異常


初療直後に読む! 救急疾患別輸液法


1 脱水(体液喪失と水喪失)

  Ⅰ 診断の見極め
   1.高張性脱水
   2.等張性脱水
   3.低張性脱水
  Ⅱ 具体的な疾患と鑑別診断
   1.低Na血症を認めた場合
   2.血管内容量が低下している場合
   3.血管内容量が正常から軽度に増加している場合
   4.水分喪失量増加をきたす疾患(Na正常~高Na血症)
  Ⅲ 輸液を含めた治療計画 いつ、何に変更するか?
  Ⅳ 「かくれ脱水」、「冬脱水」とは?
   1.かくれ脱水
   2.冬脱水
  Ⅴ 輸液療法からみたその後のフォローアップ

2 心原性ショック(心筋梗塞、心不全)

  Ⅰ 診断の見極め
   1.ショックについて
   2.心原性ショックの定義・病態
   3.心原性ショックの診断
   4.急性心不全の病態把握
  Ⅱ 具体的な疾患と鑑別診断
   1.バイタルサインの確認
   2.病歴聴取と一般身体診察
   3.検査
   4.鑑別診断
  Ⅲ 輸液を含めた治療計画
  Ⅳ 輸液療法からみたその後のフォローアップ

3 急性腎障害、慢性腎臓病

  Ⅰ 診断の見極め
   1.急性腎障害の定義、疫学、重症度分類
  Ⅱ 具体的な疾患と鑑別診断
   1.急性腎障害の分類と鑑別方法
  Ⅲ 輸液を含めた治療計画:いつ、何に変更するか
   1.急性腎障害における緊急透析の適応
   2.急性腎障害に対する疾患特異的な治療
   3.急性腎障害に対する支持療法
   4.急性腎障害に対する腎代替療法(血液透析)
  Ⅳ 輸液療法からみたその後のフォローアップ

4 嘔吐・下痢および急性腹症

  Ⅰ 嘔吐を起こす疾患の診断手順と治療
   1.初療時のポイント
   2.問診のポイント
   3.嘔吐患者の輸液治療
  Ⅱ 下痢を起こす疾患の診断手順と治療
   1.下痢のメカニズム
   2.下痢の輸液治療
  Ⅲ 急性腹症を起こす疾患の診断手順と治療
   1.初療時の対応
   2.急性腹症の診断
   3.急性腹症の輸液治療
   4.急性腹症手術と術後管理

5 重症感染症

  Ⅰ 診断の見極め、定義・病態
   1.定義(敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック)
   2.病態
  Ⅱ 具体的な疾患と鑑別診断
   1.具体的な疾患
   2.鑑別診断
  Ⅲ 輸液を含めた治療計画:いつ、何に変更するか
   1.実際の初療室での動きについて
   2.生理学的アプローチ、EGDTについて
  Ⅳ 輸液療法からみたその後のフォローアップ

6 出血:外傷、消化管出血(吐・下血)

  Ⅰ 病態と診断の見極め
   1.病態
   2.診断
   3.各論
  Ⅱ 具体的な疾患と鑑別診断
   1.外傷
   2.消化管出血
  Ⅲ 輸液を含めた治療計画:いつ、何に変更するか
   1.初期対応、 全身管理
   2.成分輸血
   3.輸液・輸血療法の注意点
  Ⅳ 輸液療法からみたその後(術前・術後)のフォロー
    アップ
   1.腹部コンパートメント症候群(ACS)
   2.カテコラミンの使用




7 アナフィラキシー

  Ⅰ 診断の見極め
   1.診断
   2.機序と誘因
   3.リスク因子
   4.アナフィラキシーショック
  Ⅱ 鑑別疾患
  Ⅲ 輸液を含めた治療計画
   1.初期治療
   2.急性期にはどの輸液製剤を、どれだけ投与したら
     いいのか
   3.輸液投与量の指標について
   4.輸液療法の限界と、その他の治療方法について
  Ⅳ 輸液療法からみたその後のフォローアップ
   1.二相性反応について
   2.自己注射型エピネフリン(エピペン)について
   3.運動誘発性アナフィラキシー

8 脳血管障害

  Ⅰ 診断の見極め
  Ⅱ 具体的な疾患の超急性期管理
   1.くも膜下出血(SAH)
   2.脳出血
   3.脳梗塞
  Ⅲ 具体的な疾患の急性期管理
   1.くも膜下出血(SAH)
   2.脳出血
   3.脳梗塞
  Ⅳ 輸液療法からみたその後(亜急性期管理)

9 血糖異常(糖尿病患者の急性代謝失調)

  Ⅰ 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧性
    高血糖症候群(HHS)の病態生理
   1.DKAの病態生理
   2.HHSの病態生理
  Ⅱ DKAとHHSの診断
   1.DKAの診断
   2.HHSの診断
  Ⅲ DKAとHHSの治療
   1.初期輸液
   2.その後の輸液
   3.インスリン投与
   4.電解質補正
   5.原因検索と支持療法
  Ⅳ 低血糖
   1.交感神経症状
   2.中枢神経症状
   3.大脳機能低下
  Ⅴ 乳酸アシドーシス(LA)
  Ⅵ アルコール性ケトアシドーシス(AKA)

10 特殊な病態

  Ⅰ 急性中毒
  Ⅱ 環境障害
   1.熱中症
   2.低体温症
  Ⅲ 特殊な外傷、外因性障害
   1.脊髄損傷
   2.熱傷
   3.溺水
  Ⅳ 終末期

11 高齢者、小児

  Ⅰ 高齢者
   1.生理学的特徴
   2.高齢者の輸液療法の実際
   3.まとめ
  Ⅱ 小児
   1.成人との違い
   2.生理学的特徴
   3.維持輸液
  Ⅲ 小児のショック
   1.ショックの輸液療法の実際
   2.まとめ
  Ⅳ 小児の脱水
   1.基本
   2.輸液の組成・速度
   3.まとめ


一段落したら読む! 輸液エキスパートへの道!


■腎臓内科専門医が見極める腎機能評価と腎障害の程度

  Ⅰ なぜ、輸液に際して腎機能評価が重要なのか
   1.尿浸透圧
   2.輸液による溶質負荷
   3.「CKD患者は高K血症にも低K血症にもなりやすい」
   4.「CKD患者は高Na血症にも低Na血症にもなりやすい」
   5.「CKD患者はアシドーシスにもアルカローシスにも
      なりやすい」
   6.「CKD患者は高血糖にも低血糖にもなりやすい」
   7.「CKD患者の血清Ca/P/Mg値は高値にも低値にも
      なりやすい」
  Ⅱ 腎機能低下時の体液量評価のピットフォール
  Ⅲ 輸液に際しての腎機能評価のピットフォール

■非公式ながらよく使う裏ワザ

  ・冷やしラクテックあります
  ・維持輸液=3号液?
  ・FENaとは
  ・動脈血液ガスと静脈血液ガス
  ・浸透圧脱髄性症候群(ODS)
  ・高Na血症とhypovolemic shockの合併を認める場合
  ・橋中心髄鞘崩壊症(CPM)
  ・Swan-Ganzカテーテルについて
  ・TPTDを用いた循環動態の評価
  ・カテコラミンの選択
  ・入院後の輸液管理
  ・急性腎障害の発症場所と頻度
  ・血清Cr値はGFRが極端に低下しても……
  ・緊急透析を行う可能性がある症例に対しては……
  ・急性腹症術後の輸液のポイント
  ・いつ中心静脈カテーテル(CVC)を留置し、いつ血管収縮薬を
   開始する?
  ・ショック指数を用いるときの注意点
  ・Permissive hypotension, restrictive fluid resuscitation
   という考え方
  ・大動脈遮断バルーン(IABO)
  ・アドレナリンの投与について
  ・原因不明の遷延する意識障害
  ・迷ったときの抗血栓薬の選択
  ・HHSの治療の主体は……
  ・フルマゼニルはベンゾジアゼピンの拮抗薬であるが……
  ・高体温に対していち早く冷却輸液を投与するが……
  ・加温輸液が足らない場合は……
  ・頸髄損傷患者は体温調節機能も低下しているので……
  ・初期の重症度評価において、サウナ内、岩盤浴での
   熱傷は……
  ・淡水による溺水で、低Naに陥るような……
  ・治療撤退と現状維持を識別することそのものが……
  ・小児の静脈路確保
  ・経口補液療法

標準多数傷病者対応MCLSテキスト

個数:
標準多数傷病者対応MCLSテキスト

[ 監修 ] 一般社団法人日本集団災害医学会
[ 編集 ] 大友 康裕
[ 発行年 ] 2014年5月1日
[ 分類 ] 救急医学
[ 仕様 ] A4判 本文82頁
[ 定価 ] 本体2,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-12-3
[ 主な内容 ]
●待望のMCLSテキストがついに刊行。
●多数傷病者現場医療の対応の要点をわかりやすく解説。
●災害現場で活動する消防、警察職員必携の書。

コース主催者からの一括注文の場合は、1冊税込み2,000円とさせて頂きます。弊社ホームページからお申込みの際は、備考欄に「コース主催者」と御記入下さい。


序文

 大規模事故災害など多数傷病者発生時には、災害現場で消防、警察およびDMATなどの医療チームが活動する。これらの各組織が緊急参集し、円滑に連携する必要がある。災害現場医療活動に関する標準的研修として、DMATに対する隊員養成研修会が厚生労働省や東京都・大阪府などから提供されている。一方、消防職員や警察職員は、職務としての災害現場活動は訓練を受けているものの、彼らを対象とした災害現場医療に関する研修は存在しない。災害現場では、消防・警察などの緊急対応機関とDMATが有機的に連携して活動することが求められる。このため日本集団災害医学会は、消防・警察職員を対象として、多数傷病者対応に関する医療対応の標準化トレーニングコースとしてMCLS(Mass Casualty Life Support)コースを開発し、平成23年8月より正式コースを開催している。幸い全国の消防職員等から高い評価が得られ、急速に全国でコース開催が広まっている。平成26年3月時点で、コース修了者5,105名、インストラクター1,286名(うち 世話人300名)に登っており、現在も毎月10回以上のコースが開催されている。
 コースの全国的な広まりに伴って、コースを開催している皆様から、MCLSの受講生のためのテキストが是非とも必要との意見が多数寄せられるようになった。これを受けて日本集団災害医学会MCLS運営委員会委員を中心として本書を執筆・編集した。詳細な記述を一切省略し、多数傷病者現場医療対応の要点が伝わることに重きを置いて編集している。本書はMCLS受講生のみならず、広く多数傷病者対応に興味をもつ方にも読んで頂くことを期待し、ここに上梓するものである。
              大友 康裕


目次


1 多数傷病者事故における災害現場医療対応の原則


1. 多数傷病者事故とは
2. 通常の救急対応と災害対応の違い
3. 災害に対する体系的な対応

  1) C(Command & Control):指揮命令系統の確立
                      /連絡調整
  2) S(Safety):安全確保
  3) C(Communication):情報伝達
  4) A(Assessment):評価
  5) 災害現場の医療


2 最先着隊の活動


1. 災害モードへの切り替え【スイッチを入れる】

  ・ダイヤモンドの5分

2. 指揮命令/連絡調整【C】
3. 安全確保【S】

  1) 自分(Self)の安全
  2) 現場(Scene)の安全
  3) 傷病者(Survivor)の安全

4. 情報収集・伝達【C】
5. 評価【A】

  1) 報告【A】
  2) 応援要請【A】
  3) 場所とり【A】


3 災害現場管理


1. 警防本部(指令センター)における活動体制

  1) 災害発生時への適応(切り替え)基準
  2) 警防本部の任務
  3) 部隊運用

2. 現場指揮本部における活動

  1) 設置
  2) 編成
  3) 任務

3. 区域設定

  1) 現場活動に必要な区域(「警戒区域」
           「消防活動区域・危険区域」)の設定
  2) 災害活動区域内における傷病者の動線の確立

4. 傷病者救護部門の管理

  1) 傷病者集積場所(一時救出場所)
  2) トリアージポスト(搬入エリア)
  3) 現場救護所
  4) 軽症者の扱い
  5) 遺体安置所
  6) 救急車・搬送車両の運用
  7) 無傷被災者の管理


4 災害現場の医療(トリアージ)


1. トリアージ区分
2. トリアージの方法

  1) START法
  2) PAT法

3. トリアージタグ
4. トリアージの法的倫理的問題

  ・トリアージ「黒」について
  ・小児のトリアージ


5 災害現場の医療(トリアージタグの記載)


1. トリアージチーム
2. タグ記載上の注意事項
3. タグの記載内容の変更

  1) 訂正・追記
  2) 重症化
  3) 軽症化

4. 具体的な記載手順

  1) 事前記載(現場到着前)
  2) 傷病者集積場所での記載
  3) 現場救護所搬入時や医療処置がなされた場合の
                       追加記載
  4) 現場救護所搬出時の記載





6 災害現場の医療(治療)


1. 現場治療=安定化治療(処置)

  1) なぜ現場治療が必要なのか?
  2) 病院での医療と災害現場での医療の違い
  3) 対応手順

2. パッケージング:救護所から病院へ迅速に搬送できる準備

  1) パッケージングに意義
  2) パッケージングの進め方
  3) 患者移動手段

3. その他の注意事項

  1) 持続的モニタリングが困難なので、
              繰り返し傷病者の様子を観察
  2) 先読みして物品の確保
  3) 現場処理内容の記録
  4) 優先すべきは最大多数への治療

4. まとめ

7 災害現場の医療(搬送)


1. 搬送トリアージ
2. 搬送順位を決定するさまざまな因子

  1) 患者の病態
  2) 搬送先選定
  3) 分散搬送
  4) 時間ごとの変化を考慮
  5) 搬送手段(車両、ヘリ)・道路事情
  6) 機材消費の負担

3. 情報管理
4. まとめ

8 応援要請


1. 消防本部の相互応援要請

  1) 近隣消防本部、都道府県レベルでの応援協定
  2) 緊急消防援助隊

2. ドクターカー・ドクターヘリの出動要請

  1) ドクターカー
  2) ドクターヘリ

3. DMAT派遣要請

  1) DMATとは
  2) 地域災害におけるDMAT活動
  3) DMAT派遣要請
  4) DMAT投入の原則


9 災害現場特殊治療


1. 瓦礫の下の医療(CSM)

  1) Confined Spaceと活動の特異性
  ・医療チーム投入の優先順位
  2) 安全確保
  3) CSMでみられる病態
  4) 救助隊員が現場で行う活動
  5) 医療チームが行う医療処置
  6) 消防と医療の連携
  7) 救助者のストレス
  8) まとめ

2. 圧挫症候群

  1) 病態
  2) 診断
  3) 消防と医療の連携
  4) 治療
  5) 広域医療搬送
  6) まとめ

3. 現場四肢切断

  1) 切断の決断
  2) まとめ


救急用語事典

個数:
救急用語事典

[ 編集 ] 坂本哲也 畑中哲生
[ 発行年 ] 2013年7月15日
[ 分類 ] 救命・救急医学、事典
[ 仕様 ] A5判 本文1,110頁
[ 定価 ] 本体 6,000円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-01-7
●比類なき“救急事典”、ここに刊行。
●160余名の執筆陣により、約5,000語を収録。
●充実した内容の新スタンダード事典の誕生である。
●消防職員、救急医、看護師など救急医療従事者の“バイブル”として、また、救急医療を学ぶ学生諸氏にとっての“必携の書”である。



推薦

 これまでとまったく違うコンセプトでつくられた新しい事典である。救急医療の鍵となる多職種連携を可能にする共通言語事典は、救急を担うすべての人々にとって必携の書となる。
 自治医科大学救急医学教授 鈴川正之
 本書は、医師や看護師に消防機関のしくみを解説し、消防機関の職員に医学用語を解説することで、救急医療に携わる多職種をことばでつなぐ試みを実現させた。
 聖路加看護大学 学長 井部俊子
 将来、救急救命士を目指す人、現役救急隊員の皆さん必見です。わかりやすく確かな救急医学用語辞典。救急医療・業務と法律用語を解説。手元に置きたい一冊として推薦します。
 帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科
         救急救命士コース教授 横山正巳

序文

 多職種間の協働が重要な鍵となるという点において、救急医療は代表的な存在である。多くの場合、救急医療は病院前に始まる。最初に対応するのは救急隊をはじめとした消防機関である。ドクターカーやドクターヘリが出動した時点で、あるいは救急隊がメディカルコントロールからの助言や指示を要請した時点で、既に多職種間の協働が開始される。さらに病院内では医師のリーダーシップのもと、救急隊、看護師、診療放射線技師、臨床工学技士はもちろんのこと、社会福祉士や医療事務職が同時進行的かつ密接に相互を補助しながら診療が進行する。これら関係者の協働が阻害されれば診療の効率は著しく低下する。
 しかし、救急医療に関与する多職種の間には専門的な用語の理解という点において多少の壁がある。医師や看護師にとって、消防機関の仕組みや用語は馴染みが少ない。一方、消防機関の職員や医療事務職にとって、医師や看護師が使う医学用語の理解は必ずしも容易ではない。
 救急医療に関与する人々が共有できるような事典があれば、多職種間に横たわる用語に関する壁を取り払い、コミュニケーションをより円滑にすることができるかも知れない。そのような考えに基づいて、取り扱うべき用語の選定を5名の編集幹事とともに開始したのは2009年の初めであった。作業を開始した当初、本書の必要性について一抹の不安はあった。いつでも、どこでもインターネットに接続できる現代において、用語の意味は手軽に検索することができる。このような状況で、果たして本書が存在する意義があるのだろうか。しかし、いくつかの用語の意味をインターネットに求めてみると、これは杞憂であることが直ちに明らかとなった。多くの解説は必ずしも救急医療の観点から記述されておらず、明らかな誤りを含む記述もあった。適切な記述に辿りつくには、専門家に尋ねたり、相当の時間をかける必要があった。
 作業開始から既に4年が経過した。この間、2010年のJRC蘇生ガイドラインとそれに関連した指針や活動基準の改訂作業に多くの関係者が忙殺された。さらに2011年の東日本大震災では、本書に関連したほとんどの者がなんらかの形で救護活動を支援した。このような事情があるとはいえ、本書の完成に4年もの長期間を要した理由の最大のものはわれわれ編集者の不手際である。この場を借りて、本書の作成に尽力を頂いた人々に陳謝する。
 執筆にあたっては総数164名の著者に原稿を依頼した。いずれも救急医療の第一線で活躍する医師、看護師、法律家あるいは消防職員である。そして頂戴した原稿の多くには、編集者が想定したレベルよりもはるかに深い内容が記載されていた。救急医療に対する理解を深めたいという著者の強い熱意の現れであろう。救急医療体制は病院前と医療機関での救急医療の有機的な連携によって構築される。その現れとして、当初は病院前に特化することを狙った本書は、結果的に救急医療体制のすべてを網羅したものになった。救急の初療にも活用できる内容になったと自負している。なお、原稿のいくつかには編集者の判断で修正、分割、合体などの操作を加えた。わかりやすさを優先するあまりに厳密さを欠く結果となった記述もあれば、逆に厳密さを尊重するあまりにわかりやすさを犠牲にした記述もある。編集者の力不足の故である。今後の継続的な修正・追加の作業を約束することで容赦頂きたい。
 見出し語については、可能な限りで英文表記を付した。但し、法令や制度など日本独自のものについては英文表記を省いた(公的な機関からその公式の英文表記が提示されているものを除く)。また、英文表記は必ずしも逐語訳ではなく、欧米で実際に使用されることの多い表記を用いた。例えば、欧米における「イレウス」とは、機能的イレウスのみを指すため、機能的イレウスは「ileus」、機械的イレウスは「bowel obstruction」とした。また、外科的糖尿病は「surgical diabetes」でなく、「stress hyperglycemia」とした。
 救急医療の体制はこの20年で長足の進歩を遂げた。救急救命士制度の発足、蘇生や外傷に関する各種トレーニングコースの普及、メディカルコントロール体制や初期・二次・三次救急医療機関の整備、災害対策の整備はそのうちの一部である。これに伴って、例えば2000年に3.2%であった病院外心停止患者の1ヵ月後生存率は、2011年には5.6%に達した。また、2001年には38.9%であったと推定されている「防ぎ得た外傷死」の発生率も、近年では減少しつつある。救急医療に従事する者の環境はいまだ十分に改善されたとはいえず、人的および経済的に劣悪な環境であるにもかかわらず、このような成果を上げることができたのは、ひとえにそこに従事する者の献身の賜物であろう。本書を救急医療に携わるすべての関係者とその家族に捧げる。
 最後に、本書の完成に向けて、ぱーそん書房の皆様にはひとかたならぬ支援を頂戴した。本書の企画は髙山静氏に負うところが大きい。また、山本美惠子氏には絶え間ない叱咤と激励を頂いた。彼女の無謀ともいえるほどの前向きの姿勢と楽観性がなければ、本書の完成はなかった。
 2013年7月吉日
 坂本哲也、畑中哲生

病院前血糖測定PMBG実践テキスト

個数:
病院前血糖測定PMBG実践テキスト

[ 編集 ] 南 和/小澤直子
[ 発行年 ] 2014年10月8日
[ 分類 ] 救命・救急医学
[ 仕様 ] A4判 本文70頁
[ 定価 ] 本体1,800円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-17-8
[ 主な内容 ]
●救急救命士による処置拡大で認められた血糖測定。本書は糖尿病と血糖測定の実際について、わかりやすく解説した初学者のための実践テキスト。
●症例も豊富でイラストも楽しい。


推薦のことば

 今から6年ほど前の平成20年のことですが、消防職員と「救急隊員による意識障害の観察・判断の標準化(PCECコースガイドブック)」を策定していたとき、「意識障害を呈する病態の中で、最も緊急性が高く、かつ、最も侵襲が少ない検査で判断ができて、さらに、簡単な処置・治療で意識が回復する病態は、低血糖による意識障害ではないか」という意見がありました。結果として、「救急隊員が血糖値を測定できるようになったらよいのに……」という、当時としてはまだ“現実感に乏しい願望”に近い議論が交わされておりました。
 その後、事態は大きく展開し、平成26年4月より講習・実習を修了するなど諸条件を満たした救急救命士に対して、「血糖測定並びに低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」、「心肺機能停止前の患者に対する静脈路確保及び輸液」の2つの行為が認められることになりました。
 私が救急救命士の処置拡大の議論に直接かかわるようになったのは、平成24年度厚生労働科学研究「救急救命士の処置範囲に係る研究」の実証研究を行うことの妥当性の検討を、私が委員長をしている日本救急医学会の倫理委員会が委託されたときに遡ります。私が驚いたのは、平成21年の時点で草加市立病院と草加市消防本部では既に、日本救急振興財団の調査研究において「病院前血糖測定プログラム」を開発されていたことです。処置拡大が議論されていたとき、既に教育用のテキストが作成され、使われ、数多くの修正がなされていたのです。その先見性、先駆的な事業につきまして、この場をお借りして、心より敬意を表したく存じます。
 そのときに使われたテキストの内容がさらに充実された本書は、糖尿病に関する基礎的な医学的記載を含めて、初学者にとっても非常にわかりやすく書かれており、随所にみられる注釈なども示唆に富んでおります。さらに、症例なども豊富に取り入れられて(教科書では、このような事例を記載することは性格上できないことです)実践的な内容になっており、数多くの図表も実務を行ううえで理解が促される体裁につくられています。そして、消防職員が自ら描かれたというイラストも目に優しく、本書に彩りを添える役割を果たしています。
 「病院前血糖測定」の日本の“先駆者”である草加市の救急関係者から、本書のような書物が発行されることは、非常に意義深いことであります。
 今後、全国各地域のメディカルコントロール協議会などにおいて、救急救命士の処置拡大の教育(座学ならびに実習)が展開されることと思いますが、是非、本書をその教育の場で活用して頂くことを切に望んでおります。
 そして、本書によって、1人でも多くの患者さんが救われることを祈っております。

 平成26年10月吉日
 埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター
 埼玉県メディカルコントロール協議会 副委員長
              堤 晴彦




発行にあたって

 今から5年前、私たちは草加市消防本部と共同で病院前血糖測定プログラムを開発しました(平成21年救急振興財団調査研究助成)。救急救命士さん300名を対象に糖尿病や血糖測定に関する講習会を行い、その効果を判定するものでした。事前学習のための教材が必要となりましたが、適当なものが見当たらず、自分たちで救急救命士さん向けのテキストをつくりました。本書はそのテキストをもとに、さらに内容を追加して発行したものです。「こんなの勉強する必要あるの?」と思われるような専門的な内容も入っています。はじめは読み飛ばして、必要に応じて参照する……そんな使い方で糖尿病の知識を増やして頂きたいと思います。
 80歳の患者さんですら自分たちで血糖を測定している状況の中、救急救命士さんにとって、血糖測定自体は難しい手技ではありません。しかし「他人に針を刺す」という行為は、糖尿病の定義から薬物治療まで、専門的な知識を有してこそ理解され浸透してゆくのではないでしょうか。
 5年前のプログラム開発で救急救命士さんに配布したテキストは、どれも付箋とアンダーラインでボロボロでした。「ここまで読み込んで勉強してくれた」と心から感謝したものです。このテキストも皆さんに愛され、信頼され、病院前救護活動の支えになることを心から願います。

 平成26年10月吉日
       草加市立病院 救急科
              南 和



目次


1 意識障害


1. 総 論

  1 意識の定義
  2 意識障害の病態と代表的疾患
  3 意識障害に対する病院前救護活動の目的

2. 意識障害と糖尿病

2 糖尿病総論


1. 糖尿病とは

  1 糖尿病の定義
  2 糖尿病診断基準
  3 血糖値に関する検査

2. 糖尿病の成因分類

  1 1型糖尿病
  2 2型糖尿病
  3 その他の特定の機序、疾患によるもの
  4 妊娠糖尿病

3. 糖尿病の合併症

  1 急性合併症
  2 慢性合併症

4. 糖尿病の治療

  1 血糖コントロールの目標値
  2 食事療法
  3 運動療法

5. 糖尿病の緊急症

  1 低血糖
  2 シックデイ
   ・参考:糖尿病患者の1日





3 糖尿病の薬物療法


1. 経口薬療法

  1 インスリン分泌促進薬
  2 インスリン抵抗性改善薬
  3 糖吸収・排泄調節薬
  4 配合薬

2. 注射薬療法

  1 インスリン療法
   ・症例
  2 インスリン以外の注射薬療法


4 血糖測定器の原理と血糖測定法


1. 血糖測定器に関して

  1 POCT器とSMBG器
  2 簡易血糖測定器・測定法の変遷

2. 血糖測定法の原理

  1 酵素比色法(GOD比色法・GDH比色法)
  2 酵素電極法(GOD電極法・GDH電極法)

3. 血糖測定値に影響を与える因子

  1 酸素分圧
  2 ヘマトクリット
  3 透析や輸液

4. 血糖測定の実際

  1 血糖測定手技
  2 測定器の選択
  3 測定器の保守管理
  4 自己血糖測定に関する知識
  5 血糖自己測定の落とし穴

2018年10月 新刊追加