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医療事務職のための電子カルテ入門                
病院管理
医療事務職のための電子カルテ入門

個数:
医療事務職のための
電子カルテ入門

[ 編集 ] 津村 宏 中村雅彦
[ 発行年 ] 2014年1月15日
[ 分類 ] 医学一般 病院管理学
[ 仕様 ] B5判 本文140頁
[ 定価 ] 本体 2,600円+税
[ ISBN ] 978-4-907095-09-3
[ 主な内容 ]
●医療事務職を目指す学生のための電子カルテの入門書。
●医療事務職教育にも最適な研修テキスト。
●電子カルテの基礎はもとより、カルテの記載方法などを、やさしくわかりやすく説明。


編集にあたって

 高度に細分化された現代の医療において、質の高い医療を継続して提供していくためには、診療にあたるそれぞれのスタッフが専門性を十分に発揮し業務に専念できるように、スタッフ間での役割分担が求められている。さらに、チーム医療を効率的に進めるためには、スタッフ間で患者の診療情報を共有し、患者が抱える問題の解決に向け密接な連携を図ることが不可欠である。電子カルテは、このスタッフ間での役割分担、連携を実現するための有益なツールの1つといえる。
 わが国の電子カルテ導入の歴史は新しく、1999年4月に厚生省(当時)3局長名で出された「診療録等の電子媒体による保存について」の通知に始まる。この通知により、真正性、見読性、保存性の3条件を満たすことを条件に、診療録の電子媒体による保存(電子カルテ)が認められた。その後に策定された「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」にもみられるように、国は医療のIT化を積極的に進め、現在では400床以上の大規模病院の6割に電子カルテが導入されるに至った。電子カルテは、施設内であれば、場所や時間の制限なく閲覧が可能になるなど利便性も高い。また、開示に値する読みやすくわかりやすい診療録の作成・管理、長期保存などの点でも従来の紙カルテに比べはるかに優れている。一方、運用にあたっては、個人情報保護、情報セキュリティ対策の徹底など、診療情報の目的外利用の禁止や漏えい防止には万全の体制が求められている。
 医療機関には、医師、看護師をはじめ薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師などコメディカルスタッフと呼ばれる多くの職種が勤めている。医療に関する国家資格だけでも20数種に上る。さらに、臨床心理士、糖尿病療養指導士、消化器内視鏡技師など学会による資格認定にみられるように、それぞれの医療分野で専門職の養成が進められている。医療事務職の業務も、受付、会計、診療録の作成・管理、診療報酬請求、診療統計の作成、収支・経営分析など多岐にわたる。これらは、従来、医事課の業務としてまとめられ、特別な資格をもたない職員が担当することも多かった。しかし、近年では診療録の管理・保存などを行う診療情報管理士、診療録や医療書類の作成補助を行う医師事務作業補助者、電子カルテの運用管理・保守などを行う医療情報技師、さらには医療と経営に必要な知識、経営課題を解決する能力を求められる医療経営士など、医療事務職にも役割分担が進み、かつ専門性が求められている。今や医療事務職もチーム医療を担う重要な一員となっている。
 医療事務職の教育は、それぞれの医療機関や民間の教育機関によって進められているが、教育内容や到達度に差異がみられる。本書は、医療事務職が電子カルテについて学ぶ際の入門書として編集された。執筆者はいずれも各分野の専門家であり、電子カルテの基礎を体系的に網羅し、カルテ記載、オーダリング事例も提示されている。図表を多用し、わかりやすい内容を心がけた。第9章の情報セキュリティで津村宏先生が、The Strength of a Chain is in the Weakest Link.(鎖の強度は最も弱い環で決まる)の言葉を紹介されているが、まさに多職種がかかわるチーム医療にもこの言葉が当てはまる。診療に医療事務職が介在することで、診療の質の低下や医療安全上の問題が生じてはならない。本書が医療事務職教育の一助になれば幸いである。
 平成26年1月吉日
              中村 雅彦


目次


1 電子カルテとは 瀬戸僚馬


Ⅰ.カルテの概念と法的位置づけ
Ⅱ.電子カルテシステムの概念
Ⅲ.病院情報システムの全体像
Ⅳ.電子カルテシステムを導入する意義、導入効果
  および普及に向けた課題
Column 生涯健康医療電子記録(EHR)と医師事務作業補助者

2 医療情報化の歴史 津村 宏


Ⅰ.コンピュータの歴史
Ⅱ.医療情報化の年代別変遷
Column 人工知能の医療応用

3 診療録電子化の歴史 津村 宏


Ⅰ.診療録の記載
Ⅱ.診療録の電子化
Column 医療情報の標準化

4 電子カルテ利用の3条件 津村 宏


Ⅰ.電子カルテの3条件
Ⅱ.真正性とは
Ⅲ.見読性とは
Ⅳ.保存性とは
Column セキュリティと保全性を高める秘密分散記憶方式

5 カルテ記載 中村雅彦


Ⅰ.チーム医療に求められるカルテとは
Ⅱ.POMRとは
Ⅲ.POMRの作成方法
Ⅳ.カルテの入力方法
Column 診療録とカルテ

6 オーダリングシステム 中村雅彦


Ⅰ.投薬オーダ
Ⅱ.注射オーダ
Ⅲ.画像オーダ
Ⅳ.検査オーダ
Ⅴ.リハビリテーションオーダ
Ⅵ.栄養オーダ
Ⅶ.処置オーダ
Ⅷ.予約オーダ
Column 医療事務職の役割分担





7 クリティカルパス 野村一俊


Ⅰ.クリティカルパスとは
Ⅱ.クリティカルパスの原則
Ⅲ.電子カルテでのクリティカルパスの作成
Ⅳ.電子化クリティカルパスの運用の活性化に必要なこと
Ⅴ.医療安全上の電子化クリティカルパス運用の注意点
Ⅵ.クリティカルパスの見直し
Column クリティカルパス見直しの実際

8 部門システム 中村雅彦


Ⅰ.薬剤部門システム
Ⅱ.放射線部門システム
Ⅲ.検査部門システム
Ⅳ.リハビリテーション部門システム
Ⅴ.栄養部門システム
Column 医療機関で取得したい情報管理に関する資格

9 情報セキュリティ 津村 宏


Ⅰ.情報セキュリティとは
Ⅱ.情報セキュリティ事故発生の3要件
Ⅲ.情報資産への脅威
Ⅳ.情報セキュリティ対策の5つの機能
Ⅴ.情報セキュリティ対策の分類
Ⅵ.物理的セキュリティ対策
Ⅶ.技術的セキュリティ対策
Ⅷ.組織的セキュリティ対策
Column ハッカーとクラッカー

10 個人情報保護 津村 宏


Ⅰ.プライバシーと個人情報
Ⅱ.守秘義務
Ⅲ.医療情報の二面性(一次利用と二次利用)
Ⅳ.個人情報保護の動き
Ⅴ.EU理事会指令
Ⅵ.日本における個人情報保護への歴史
Ⅶ.個人情報保護法
Column 日本国における法の構成
2018年10月 新刊追加